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2013-09

軽自動車で帰るぞ関西・静岡SA編

車は御殿場から新東名高速へ入った。完成してから1年ちょっとしか経っていないこの道路、非常に走り心地が良い。ところでさっきからPANDAさんが挙動不審だ。足柄SAを出た辺りから「解ってんだろうな、静岡SAには死んでも行くぞ!通り過ぎたら戻るからな!」と繰り返し吠えている。何かあるんですかと尋ねたら、「ガンダム…ガンダムだよ…」と絞り出すように。

第3チェックポイント、静岡SAに到着。車道からSAへ至る道がやたら長くて「下道に降りるんじゃないだろうな」と全員不安に、特にPANDAさんは「解ってんだろうな!(ry」と震えていた。車を停めてSAへ入ると、すぐそこにお目当てのショップが。

STRICT-G。お台場のガンダムフロントと、ここ静岡SAの下り側にしか無いという、ガンダムのコンセプトショップである。何でこんな所にあるんだ。「上京する時に行こうと思ってたら、上り側には無かったんだよ…」と感慨深そうなPANDAさん。横にはタミヤのショップもあったりする。もう一回書くけど、何でこんな所にあるんだ。ならむらさんとPANDAさんは余りにもマニアック過ぎるラインナップのTシャツで悶えている。「これマッシュの弔いで空砲バズーカ撃つヤツだ!」、スイマセン僕ガンダムはGガンダムしか視た事がなくて。ガンダムファイトしか知らないんです。あ、PANDAさんの写真はヤラセです。僕トランクス派なので。

「で、ここは何が美味いの?」とならむらさん、SA内をウロウロしていたら静岡おでんなるものを発見。関東風、関西風は聞いた事あるけど、静岡おでんって何だ?入ってみたら、見た事の無い具材が浮かんでいる。黒はんぺん…なると…フランク…卵焼き?ダシの色も関西とは随分違う。取り敢えず幾つか選んで頂いてみた。美味い。特に卵焼き、ダシがよくしゅんでる。そこに青のりや味噌をプラスして食べるのが静岡流らしい。

それにしても最近の御当地お土産はチャレンジングだ。みかんチップスだの梨カレーだのカレー醤油だの二度見するものばかり。ならむらさんは静岡茶コーラというデンジャラスなものに手を付けた。最初コーラ、後味お茶という謎フレーバー。不味くは無かったけど、一発ネタのような気がする。

時刻は16時半を回った。千葉をスタートしてから8時間、我々まだまだ元気です。いやー、まさか静岡SAで1時間以上過ごすとは。

軽自動車で帰るぞ関西・愛知岐阜編

静岡SAからは僕が運転、助手席にPANDAさん、後部座席にならむらさんという陣形になった。当然撮影は出来ないので写真が無いんだけども、話題だけは豊富にあったのでそちらを掲載する。

運転交代前、先日までの撮影データをならむらさんに渡した。バカ写真も大量に入っており、チェックしては笑い声が車内にこだまする。と、不意にならむらさんが静かになった。

「俺の秘密を暴こうとするものには、全力で報復してやる…」

そう、そのバカ写真の中に、ならむらさんの○○○○写真が入っていたのだ。あ、気付いちゃいましたか、何かに使って下さいと笑っていたら、「iPad用のペンはあるかね」とならむらさんがPANDAさんに。何が始まるんだ。

ちょっと、人が運転して抵抗出来ない間に何してんですか!バーンじゃ無いですよ「投稿した」ちょっ「破壊力F、スピードB、射程距離A…」スタンドじゃないですか!「スタンド名はパンイチマン」あああああ。

以下、下ネタ注意。

  • 「股間のカメラ部分がスタンド」
  • 「股間だけに柔軟性が高い」
  • 「ファインダーを覗くとパンイチに見える」
  • 「更に撮影した相手をパンイチに出来る」

完全にただの変態じゃないですか。「レンズは何が良いかな、やはりズームレンズか」と聞かれたので、単焦点じゃないすかと答えたらならむらさんもPANDAさんも噴き出した。これは一矢報いたと言って良いのか。飲んでないですよね?

だんだん日も暮れてくる。第4チェックポイント、上郷SA。長かった静岡も終わり、ついに愛知である。ちょっと休憩してコーヒーなどを調達、渋滞チェックなどをしつつS&Bのカレーパンを物色。S&Bって、Spice&herBの略やったんね。程無く再スタート。助手席にならむらさん、後部座席はPANDAさんにチェンジした。夜になってくると景色が見えなくなって面白みが無くなる。PANDAさんは眠りについた。

そうそう、新東名ではトランスミッターを使っているとトンネル内で酷いノイズが発生したんだけども、東名に合流してからは問題無く音が流れてくる。新しいトンネルだと何らか影響があるんだろうか。現在のBGMはならむらさんが用意したB’zで、メイク魂に火を付けたりしている。先日はSOFT BALLETとか米米(それも初期)とかチェッカーズとかばっかりだったのでちょっと意外に思ったら、「これは対一般人接待カラオケ用」との事。成程。ならむらさんは何故かシャウトや効果音の真似ばかりをするんだけども、これが異様に上手い。

笑いながら運転していたら、『いつかのメリークリスマス』が流れてきた。季節外れも良いとこですね、これ僕が中学の時に初めて買ったアルバムCDですよと話すと、「これさ、歌詞おかしくない?閉店間際に椅子買って帰るんだよね?椅子ってデカくない?」「で、荷物抱えて電車に乗る…椅子抱えてるの?閉店間際って事は、電車は帰りのラッシュ時だよね?」「いや待てよ、荷物抱えてとは言ったけど椅子はひょっとして配送…あ、違う、家帰って誇らしげにプレゼント見せてる、やっぱこいつ椅子抱えてる」「歌いながら線路沿いの家路を急いだんだよな、椅子抱えて」「オチもおかしくない?誰かが足早に荷物抱えて…こいつも椅子抱えてるのか?電車ん中、椅子抱えた人だらけか?」、参りました。

小牧JCTからついに名神高速へ。ようやくここまで来た。途中、自分のイビキで起きたPANDAさんが「2週目行くか(東京へ戻るの意)」「急に福井へ行きたくなってきたな」等と危険な誘導を促してきて大変だった。慣れてないんだから迂闊な事言わんで下さい、道間違えたら今日中に帰れなくなりますよ。

車はさらに進み、一宮へ。物凄い数のラブホ街が高速の両脇に鎮座している。それまで観た事の無いような光景に一同大笑い。城みたいなんありますよあはははは写真撮りたい、と笑っていたら前方の車がハザードをたいてて減速していた。うおっやべえ渋滞だ、と強めのブレーキで難を逃れるも、久々冷や汗が出た。ならむらさん大笑い、PANDAさんは「ブワッと来たわ…」と汗を拭いていた。スイマセンスイマセン、ここの景色は要注意だ。「長いこと運転してるし、そろそろ代わろうか」とならむらさん。気が付いたら僕、3時間も運転していた。車は養老SAを過ぎた所だった。

軽自動車で帰るぞ関西・滋賀京都編(終)

第5チェックポイント、多賀SA到着。ついに滋賀県である。ここへ至るまでの間、車内では激しい論戦が繰り広げられていた。我々は決意を秘めて車外へ飛び出す。

そもそもの言いだしっぺはPANDAさんである。「確か多賀って、温泉か何かあるんだよね…」、鋭く反応するならむらさん。「温泉あるなら行くしかないだろ」「いやでも、それ行っちゃうと、ならむらさん終電に間に合わなくなるかも」、そう、我々各地のSAで遊び呆けた結果、既に時刻は20時前。まだ晩飯も食っていない。そこへプラス温泉へ寄った場合、恐らく新大阪駅へ着くのが23時近くになるだろう。新幹線は良いとして、その先の電車が無いのだ。

「じゃあ、風呂入ってメシは車内で」

風呂を取ったよこの人。「他の何が犠牲になってでも風呂を選ぶ」「このまま帰宅して一人風呂に入るのは虚しい」、力強い。PANDAさんが「ここまで来て最後はファストフードかよ!」と非難の声を上げる。僕はお二人に付き合いますよと逃げる。車内でPANDAさんが必死に時刻表を調べ、見通しを立て、結局我々は多賀SAで風呂に入る事となった。滞在目標時間は30分だ。

が、この30分という目標は脆くも崩れ去るのである。最初に道を踏み外したのは、他ならぬ僕だった。何とこの多賀SA、えびせんべいの里があったのである。うおおお、何でこんな所に!バリエーションと美味しさとコスパを誇る、個人的には最強のせんべい屋さんだ。これを見て素通りする訳にはいかない。試食コーナーへ2人を誘導して、僕らはまんまと道を踏み外した。モリモリ食ってモリモリ買う。オススメです。淡路島内には姉妹店であるたこせんべいの里もあるので是非。アホみたいにデカい工場を見学しながらモリモリいけます。

続いて風呂。温泉ではなかったけども、長旅の疲れを癒す事は出来た。ならむらさん大満足。この面子で風呂に入るのは3回目である。風呂を上がってフードコートへ移動、ならむらさんは車内食用にロッテリアへ走る。ここでPANDAさんが裏切り行為に出た。「京都駅から新幹線に乗ればまだ時間あるから、普通に飯食おう」「たまには罠にかけられるほうも味わって貰わないと」、何という鬼畜提案。僕も従い、ココイチでコロッケカレーを注文する。帰ってきたならむらさんは唖然としていた。どうでしょう的な展開である。が、近江牛メンチカツバーガーという多賀SA限定メニューを入手してならむらさんは嬉しそうだった。

ここから運転はPANDAさんへバトンタッチ。あと少しで家に帰れる。知った地名が出てくるだけで嬉しい。米原、彦根、八日市、竜王、栗東…読み上げて喜ぶ僕を見て、ここから更に奈良まで帰るPANDAさん、岡山まで帰るならむらさんが荒ぶり始めた。「ちょっと比叡山観に行きたくなったな」「(大阪)南港からのフェリーって何時まである?」「出雲そば食いたくなってきたな」「やったわしゅうさん、沖縄までフェリー40時間だって!間に合うわ」、一体何に間に合うと言うのか。これ拉致じゃないか。挙句、無事帰ったか連絡をくれた営業のIさんに「今から四国行くんで迎えに行きます」と返事を出す始末。Iさん「何で!?何で!?」って怯えてたじゃないですか。

第6チェックポイント、人生初の大津SA。いっつも京都東か南で降りるんで、このSAへ寄る機会というか必要性が無かった。「琵琶湖を一望したい」というPANDAさんの希望と、単に荷物整理の為に寄ったんだけどもこれがなかなかどうして。改装されて間もないようで建物は美しく、3階のテラスからは琵琶湖が綺麗に見えた。写真撮っておけば良かったなあ。身体は元気なんだけれども、頭が全然回っていなかった。時刻は22時前、千葉を出てから14時間が経過していた。

荷物整理をしながら、そう言えば東京からの帰り道で一人じゃないのって初めてやなあと気が付いた。学生時代から何度となく訪れた東京だけれども、帰りはいつも一人。大抵は夜行バスで、目が覚めたら京都駅だ。あの独特の『帰ってきてしまった』という寂しさ。それを、今回は全く感じることが無かった。代わりにあるのは『帰って来たぞ』という達成感である。

旅は良い。一人旅も良いけども、複数人で行く旅はもっと良い。ずっとバカ話して、沢山寄り道して、沢山写真撮って。こういう感覚って久しく忘れてたよなあ。学生時代に同級生で海行ったりした、ああいう感覚。疲れてる筈なのに、「次はあそこ行きたいよな」と笑って話してくれるPANDAさんとならむらさん。TGSの数日前、「一緒に帰る?」と声をかけて貰って本当に良かった。お世話になりました、また是非旅に誘って下さい。

車は京都東ICから1号線へ。そのまま京都駅へ向かい、解散となった。僕の3日間の非日常が、幕を閉じる。

お仕事横浜旅行・憧れのみなとみらい

打ち合わせの後は、予定が無ければ秋葉原でも覗きに行くかと思っていたんだけども、taigooooさん一家が遊びに来てくれるという事で連日お世話になる事に。居酒屋で鶏をほおばりつつ、昨日の話や最近の話についてワーワー盛り上がった。どういう訳か、途中からtaigooooさん夫婦による「で、結婚はいつ?」「出会いなんてそこら中にあるよ」等という生暖かい励ましを受け、塩をプレゼントされたナメクジのような状態に。かつ、その状態を子供たちに凝視されるという地獄絵図になった。僕なんかしましたっけ。

連休中という事もあって店を早めに出ねばならず、折角なので何処か行ってみたい所は無い?との事だったので、迷わずみなとみらいを希望した。リッジレーサーの舞台になったのがみなとみらい、という噂を聞いて以来一度は行ってみたいと思っていた場所だったのだ。しかしまさか、横浜駅そばではなく隣の桜木町駅にあったとは。

駅を降り、遊歩道を歩いて見えた帆船。うわ、日本丸だ!幼少の頃、大阪の南港でやっていた’83大阪世界帆船まつりで見た以来の再会。よもや、ここで会う事になろうとは。実はウチのオトンが帆船バカで、「世界中を公開してる船で、滅多に見られないから」と僕らの手を引いて連れて行ってくれた事を今でも覚えている。夜の波止場で迷子になった事も。僕は帆船に然程興味は無いんだけども、この日本丸と海王丸にだけは思い入れがある。

ランドマークタワー。何故だか『レリクス暗黒要塞』といった単語が頭をかすめる。下から見ると、何故だかあんまり大きく見えない。土台がどっしりしてるからかなあ。下のオブジェは、何だこれ。

美しいみなとみらいのミニ遊園地、よこはまコスモワールド。この観覧車にも憧れがあった。折角なので真下まで行ってみたんだけど、途中で小雨が降って来て大変だった。雨の予報なんてなかったのに。

そうそう、taigooooさんにこんな写真を撮られました。順番待ちのカップル(しかも外国人)に神妙な顔で見守られ、死ぬほど恥ずかしかったです。このお礼はいずれ必ず何らかの形で。2日間、ホントお世話になりました。千葉の宿舎に戻りお風呂に入ったら、ならむらさんが僕を見て「パンイチじゃない、理解出来ん」と。今日の千葉寒いんですって。

お仕事横浜旅行・おしゃれランチには程遠く

10時半起床。起きてから、自分が風邪を引いている事を思い出した。一応6時間くらい寝られたので元気と言えば元気だ。PANDAさんに駅まで送って貰い、千葉から一路横浜へ。PiTaPaが使えるという話を聞いて、便利になったのうと思いながら昨日から使ってるんだけども、今日使ったら改札でバシーンとやられた。オートチャージはせんのかい、中途半端な。

12時半、横浜着。ファストフードで昼飯でも、と思ったが、おしゃれな街横浜駅にはファストフードが見当たらない。コンビニも見当たらない。13時にクライアントさんと会うので大慌てである。かなり歩きまわってローソンを発見、サンドイッチと栄養ドリンクで飢えを凌ぐ。何だっておしゃれな横浜でこんな貧相な飯を食わねばならんのか。

待ち合わせの場所は横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ、駅前一等地にある高級そうなホテルのラウンジである。この日の為にマシな服を持ってきたので荷物が膨らんだという説が。いやはや、ホテルのラウンジで打ち合わせなんて初めてだ。キョロキョロしていたら、真っ直ぐこちらへ向かってこられるご夫婦が。クライアントのMさんだった。

2時間以上の打ち合わせ(うち半分以上が趣味雑談の話)で大変盛り上がる。こんなご縁もあるんやなあと思いながらMご夫妻にお礼を言い、ホテルを後にした。お仕事が終わったら、また詳しく日記に書かせて頂きます。さてさて、小腹が空いてきたので何ぞオヤツでも…と思ったら、駅前に立ち食いうどん屋さんを発見。お、これは願っても無いチャンスやも。

「関東のうどんはヤバい」、悪い大人のtaigooooさんとサミエルさんが口を揃えて言う。二人とも関西出身で関東在住の経験があるんだけども、こっちのうどんは筆舌に尽くしがたいアレなんだそうだ。余談だが二人とも阪急そば信者である。とにかく、僕もその洗礼を受けたほうが良いと思ったのだ。おしゃれな街横浜でのおしゃれランチは無くなった。

これが意外な事に美味しかったんですよ。超ハイスピードでリリースされる黒いうどん、美味い。こんな筈では無かった。かけうどん一杯260円、大満足である。お店の名誉の為に名前を掲載しておこう。きそば 鈴一さんである。あれー、じゃあ関東のうどんがアレってのは何やったんや…とtweetしてみたら、どうやらヤバいのはJR駅構内にあるとの事。曰く「殺意が湧く」らしいので、次回はそれにチャレンジしたい。

インディーゲーム東京旅行・イントロダクション

(注)この日の日記だけ、見易さの為に掲載順が逆になっています。上にあるほど古い記事、下にあるほど新しい記事ですので何卒何卒。

東京ゲームショー、通称TGS。ゲームに興味の無い人でも、ニュースなどで名前くらいは聞いた事があるんじゃないだろうか。千葉の幕張メッセで年に一度開催される、国内最大のゲームイベントだ。会場内の至る所に巨大な企業ブースが鎮座し、新作や話題作が溢れかえっているというゲームマニア垂涎のお祭りである。4日間の開催日のうち、最初の2日がビジネスデイ、残り2日が一般公開日となっている。

日々ゲームに明け暮れ、ゲーム開発者を目指していた高校・専門学校時代。僕はこのイベントに強い憧れを持っていた。ここへ行けば、ありとあらゆる最新のゲームに触れる事が出来る。僕にとっての夢の国は舞浜ではなく、海浜幕張にあったのだ。しかし遠方という事もあり、結局一度も足を運ぶ事が出来ず終いに。しばらくすると僕は音楽へ傾倒し、最新のゲームから少しずつ離れていき、気が付けばTGSは、僕にとって限りなく縁遠い存在となってしまった。今でもゲームは大好きだけれども、僕が遊ぶのはもっぱらレトロゲームやオールドスクールライクなゲーム、独立系開発のインディーゲームなのだ。コンシューマやアーケードの最新ゲームは、今となってはほとんど触れる機会が無い。

  • 東京ゲームショウ2013に独立系開発者向けの「インディーゲームコーナー」が登場。「SENSE OF WONDER NIGHT 2013」のアイデア応募受付は本日スタート(4Gamer.net)
    http://www.4gamer.net/games/999/G999905/20130510046/

転機が訪れたのは今年の5月。TGSに独立系開発者向けのインディーコーナー(通称インディーゲームフェス)が設けられるというニュースが飛び込んだ。なかなか国内で日の目を見なかった『インディー』に、初めて脚光が当たる。学友である開発室Pixelの天谷君や、イベント洞窟物語のウラガワ以来ずっと仲良くさせて貰っているNIGOROの皆さん、そしてインディーズゲームのダウンロード販売に特化しているPLAYISMさん達にとっては大きなニュースだろう。話を伺って、僕も喜んだ。

ただ、それでも僕はTGSへ行く予定を立てなかった。天谷君はGero Blasterの開発に追われて出展どころではないし、NIGOROさんやPLAYISMさんが参戦するのは知っていたけれども、いつもの悪い大人関東支部の面々が総出でサポートするので出番は無いなと思っていたのだ。ある一本の電話がかかってくるまでは。

「夜に皆で集まります、天谷さんの保護者として是非来て下さい」

PLAYISMの本体である、AGMの営業Iさんからの電話だった。あまりにも唐突過ぎて、言葉が出てこない。詳しい話を聞き、変な汗が出てきて、僕は大急ぎでスケジュールを確保した。そうか、僕、TGSへ行くのか。昔憧れていた、あのTGSへ。

NIGORO

http://nigoro.jp/

MSXやレトロゲームを心底愛している『ならむら』『サミエル』『duplex』の3人からなるゲーム制作チーム。チームのコンセプトは「ゲームが2Dのまま進化していたらどうなっていたか」。代表作は、国産ゲームで初めてSTEAM Greenlightを突破した遺跡探検考古学アクションゲームLa-Mulana。国内外に熱狂的なファン多数。僕が出会った経緯などは以下の記事をどうぞ。

Studio Pixel 天谷 大輔

http://studiopixel.jp

2004年にリリースされ、未だにプレーヤーが絶えないアクションゲーム洞窟物語の生みの親。プログラムが書け、絵が描け、曲も書け、ストーリーまで書ける恐るべき友人。専門学校1年からの付き合いで、一番初期のゲームからずっと遊ばせて貰っている。現在はiOS上で動くGero Blasterを製作中。年々天然っぷりが酷くなってきてる気がするんだけど気のせいか。ちなみに彼のバックボーンはファミコンではなく、ゲームボーイとスーパーファミコン。

PLAYISM

http://www.playism.jp/

インディーズゲームのダウンロード販売に特化しているサービスサイト。PLAYISMの本体である株式会社アクティブゲーミングメディア(AGM)はゲームや漫画などの翻訳・ローカライズを主たる業務としており、日夜海外に向けて国産インディーズゲームをリリースし続けクリエイターを支えている。本社は大阪にあり、スタッフのほとんどは日本語ペラペラの外国人。関西弁すら操るスタッフまで在席している、陽気で愉快なスペシャリスト集団。最近では僕らの母校であるHAL大阪と共にプロジェクトを進めている。

悪い大人

Studio PixelやNIGOROさんの周りに居るクリエイターたちの総称。何故か30代半ばが多く、その全員がレトロゲームやレトロハードに脳をやられている。しょうもない悪巧みばかりする事から、悪い大人と名付けられた。このブログを『悪い大人』で検索すると、その活躍ぶりを見る事が出来るので是非。ウチの喫茶店をゲーセンにしたのも、この悪い大人たちだ。メンバーについては、後々紹介していく。

僕(Shuhei Miyazawa/くろいひと)

http://909.xii.jp/

小2でMSXと出会い、そこからPCの世界へ転がり込んだ器用貧乏。プログラマ志望→サウンドへ逃避→何故かWebデザイナーとして細々生活しつつ、洞窟物語やLa-Mulana等のデバッガ(テストプレイヤー)をやってます。最近じゃ天谷君やNIGOROさん専属のカメラマンをやったり、enchant.jsでゲーム作ったりも。宜しければ以下からどうぞ。

インディーゲーム東京旅行・田舎者上京する

9月22日。京都発東京行き8時6分のぞみ110号、5号車8番A席。毎度の事ながら、最初の行程が一番リッチな東京旅行である。時間に余裕があったので、しっかりお土産を選んでホームへ移動。大量の荷物を抱え、三列シートの一番窓側に腰を下ろし、ノートPCを広げる。おおよそ持ち運びには適していない17インチノート Dell Vostro3700、重さ3kg。ホントは事務所に置いてきたかったんだけども、少しでも仕事を進めるために止む無く持ってきた。iPhone5のテザリングでネットも快適である。あ、そういや新幹線内でテザリングするのは初めてか。環境が整ってしまったので、旅行しているという気分に全くなれない。

道中、盗み聞きするつもりは無かったんだけども、隣に座っている二人組女性の会話が耳に入ってきた。どうやら二人はインディーズミュージシャンらしい。その苦労話や悩みが、あまりにもインディーゲーム開発者とダブってしまったので声を掛けそうになったが止めておいた。頑張ってねと心の中から応援しておく。

仕事している間にも新幹線はどんどん進む。目指すは東京、ではなく、品川駅。夜の集まりの事を考え、この大量の荷物を会場の最寄りである品川駅のロッカーに叩き込んでおくという手筈だ。どうやら先に東京入りをしているMaruchuさんが襲い掛かってくるらしいので、新幹線を降りたら警戒しなくてはならない。程無く新幹線は品川へ。やれやれと重い荷物を抱え、通路へ向かう。

「や、おはようございます」

全くの不意だった。真正面から、聞き覚えのある声が。あまりの出来事に目を剥いた僕に向かって「いやー、メッチャ素で疲れた顔してましたねー」って、何やってんすかMaruchuさん。何で同じ新幹線乗ってんですか。駅じゃなくて、新幹線内でアンブッシュ(待ち伏せ)します普通?「驚きました?驚きました?」、ああもう参りましたよ、そりゃ僕の座席やら全部伝えてましたけど!聞けばわざと隣の車両に席を取り、下車時に正面から鉢合わせるよう仕組んでいたらしい。とんでもない策士だ。あと徹夜したって聞きましたけど、まさかこの為だけに…ホントは夜だけ参戦する予定やったって…

Maruchuさん

http://maruchu.nobody.jp/

名古屋が産んだHSP界の巨人。HSPプログラムコンテスト皆勤賞で、最新作のカラフルマインが見事PLAYISM賞に選ばれた。パズルゲームを溺愛しており、定期的に赤味噌とレッドブルを摂取しないと震え出す危険な人。不意打ちに全力を尽くすタイプ。ちなみに、世界には3人の㊥が居るとの事。

二人仲良く下車した品川駅。初めて訪れた駅なので全く勝手がわからないんだけども、取り敢えず会場方面へ歩いてロッカーを探す事に。Maruchuさん品川は?と聞くと「前に一度だけ…ここロッカー無いんですよねー」と。地図を見ても、確かにロッカーが見当たらない。途方に暮れて、まさかの品川交番デビュー。「高架の下にあるんですよ」と教えて貰った。何でこんな変な所にロッカーあるんやとボヤいたら「品川って超一流ビジネス街じゃないですか、だからロッカー使う(荷物を抱えてる)人も居ないんじゃ?ロッカー使うのは田舎者、という意思表示では」、おのれ品川。

何とか荷物も整理出来た所で、改めて千葉を目指す我々。小野口さんに教えて貰った経路を辿ろうとするも、まず最初の大崎が見当たらない。路線図を前にあたふたし、結局東京から京葉線に乗ろうという事になった。聞けば東京駅の京葉線ホームは尋常でなく遠いらしく、行き倒れの人間が出たとか出ないとか。ナンボのもんじゃいと東京駅へ降り立ったら、京葉線の道案内にだけ番線ナンバーが振られていなかった。これもまた田舎者に対する仕打ちか、おのれ東京。

行けども行けども『←京葉線』『↑京葉線』と書かれた案内板を目にし、我々は構内のラーメン屋T’sたんたんでビバークする事にした。単純に幕張メッセの飯がショボいからここでという事もあったんだけども、やってられっか東京駅。「これ一駅分くらい歩いてますよね」とMaruchuさん。ラーメンを食いながら、初期のHSPにおけるフレームレートのヤバさや、一見使い道が無さそうなdo while文などについてMaruchuさんに熱く語って貰った。これがなかなか面白い話で。

思った以上に美味しかったラーメンを経て、どうにか辿り着いた京葉線のホーム。ここから乗り換え無しで海浜幕張まで40分少々。少しは落ち着けるかなと思っていたら、駅に止まる度にどんどん人が乗ってくる。何事か、これみんなTGSへ行く人か。今まで一度もTGSへ行った事の無い僕らは戦慄した。いやいや大阪行きの通勤電車でもここまでは酷くないぞ。命の危険を感じ始めた頃、電車は舞浜へ到着。ザッと人が降りていった。そうか、京葉線にはここがあったかネズミーランド。おのれ千葉の癖に東京などと名乗りおって。僕らが行くのも千葉だけど。

それでもまだ電車内にはかなりの人が残っている。と、ここで初めて気が付いた。ソフトバンクやロッテのユニフォームを着ている乗客が多数居るのだ。降りて納得、海浜幕張駅は幕張メッセだけではなくQVCマリンフィールドの最寄り駅でもあったのだ。更には同じ幕張メッセで、NMB48のイベントをやってるとか。誰だこんなスケジューリングしたのは、支配人を呼べ。グッタリした僕とMaruchuさんは、人に飲まれるようにして幕張メッセへ向かった。

デカいわ。視界の端から端まで建物ってどういう事よ。しかもこれで小さいほうのホールとか、どうかしてるぞ幕張メッセ。呆気にとられながら、僕らはようやくTGSに到着した。中は一体どうなってるんだ。

インディーゲーム東京旅行・爆裂NIGOROブース

幕張メッセの展示場は大きく二つに分かれている。メインの大きいほうが国際展示場1~8ホール、少し離れた場所にある小さい(といってもかなり大きい)ほうが国際展示場9~11ホール。今回、インディーズゲームコーナーは小さいほうの9ホールにスペースを設けられていた。同じホール内には、いまいち何をやっているのか解らない吉本のブースと、その名の通り家族でいろいろ楽しめるファミリーコーナーが陣取っている。その他の、いわゆる大手一般企業は大きい1~8ホールを丸々使用している訳だ。

大ホールと小ホールでは、やはり来客数にかなりの開きがあるらしい。木金に開催されていたビジネスデイではインディーズゲームコーナーも大ホールにスペースがあったそうだけども、今回はここのみ。もう少し大ホールと小ホールの行き来が近ければなあ。それでもTGS初参戦の僕から見たら、結構な来客数だったように思う。

入ってすぐ、NIGOROのならむらさんやPANDAさん、PLAYISMの皆さんと会う事が出来た。TGS最終日と言う事もあって若干疲れが見えるけど、まだ頑張れそうな感じだ。新しくPLAYISMのメンバーになったナイヤンさんとも初対面、どうも初めまして。今まで色んな場所で会ってきたクリエイターさんや記者さんも多数参戦されているようで、取り敢えずまずはお世話になっているNIGOROのブースへお邪魔した。

ならむらさん


NIGOROのボス、ディレクター・グラフィッカー。ツッコミ鋭くボケは際どいオールラウンダー。絵が恐ろしく上手く、高い技術力を使って全力でふざけるタイプ。La-Mulanaではトラップを仕掛ける事に命を懸け、老若男女問わず平等にプレーヤーを殺しては喜んでいた『プレーヤー殺しの男』。先日息子たちに自宅で初めてゲームを遊ばせたそうなんだけども、何をプレイさせたのかというとこちら。流石。

PANDAさん

http://asterizm.jp/

NIGOROの運営元である株式会社アスタリズムの社長さん。NIGOROメンバーからは雑用扱いされているが、サーバ構築からデザイン・撮影・スケジュール管理・企画運営・会計・法律など、恐ろしいまでの守備範囲を誇っている超人。電波が入らないと元気が無くなり、カメラを持つとイキイキする。恐ろしく行動が早い。気配りの人。

PLAYISM 水谷さん

http://www.playism.jp/


PLAYISM twitterアカウントの中の人。NIGOROさんに心中を迫られたり(上記動画参照)フリーダムなクリエイターやスタッフに翻弄されたりしつつも、インディーズゲームの為に日夜走り回っている。設立2年ちょっとでPLAYISMを世に知らしめた立役者。激務でフラフラになってる所をよく見かけるので、会ったら優しくしてあげて下さい。

PLAYISM ジョシュさん


ゲームとガンダムに命を懸けている米国出身のナイスガイ。ローカライズ担当、通称PLAYISMマン1号(上記動画参照)。仕事でゲーム、プライベートでゲーム、暇が出来たら日本橋をフラフラしているとの噂が。10年近く日本に在住していて、日本語どころか日本文化に染まりきっている。最近、英語を喋っている所を見ると違和感を感じるようになってきた。

PLAYISM ナイヤンさん

今年アメリカから日本にやって来た、PLAYISMさん待望の新メンバー。お会いするのは今日が初めてで、この後いろいろと面白い話を聞く事になる。

NIGOROさんのブースでは、このTGSに合わせて超急ピッチで作ったLa-Mulana2のプレイアブルデモが展示されていた。PANDAさんからイベント用Tシャツを受け取り着替える。こんにちは、スタッフです。既に何人もプレイして貰っているようで、昨日のレポートでは見かけなかったものも発見。皆さんご愁傷様です。このあと僕もこの中の一人になりました。デモ版も一応クリアがあるらしいんだけども、まだ誰もクリア出来ていないとか。それなのに今日になって罠を増やしたと聞いたんですが、どういう事なんですかならむらさん。

ブースのほうは朝からずっとお客さんが途切れず、総じて好評だそうだ。デモ版なのでかなり内容も制限されているんだけども、それでも画面がワイド対応(16:9)になっていたり、横スクロールのステージがあったりと目新しい部分も見受けられた。主人公である娘のドット絵も凝っている。ポーズするとちゃんとカレー食うんだけども、アニメーションが父親とはかなり違うらしい。気付いた人は居ただろうか。あと、この娘ってLa-Mulanaエイプリルフール動画にネタとして一瞬出てたんよね。エイプリルフール動画の紹介記事には「ウソにきまっておる」って書いてあるけど、聞けばこの頃から既に…

沢山のお客さんが遊びに来てくれたNIGOROブースだったけども、意外だったのは女性や子供さんが多かった事。La-Mulanaというと、どうしても濃いオッサンゲーマー達がヴォーと雄たけびを上げてる画を想像しちゃうんだけども、この日はかなり様子が違った。たまたま通りがかったのか、それともLa-Mulanaを知っていたのか、聞いておけば良かったと今更後悔。最初の写真は脳波をキャッチして耳が動くnecomimi付き女性。頻繁にピコピコ耳が動いて興味津々だった。La-Mulanaとnecomimiの歴史的邂逅である。2枚目は少年プレーヤー。試行錯誤しながらプレイしていて応援したくなる。どうか僕らみたいじゃなく、真っ直ぐな大人になって下さい。3・4枚目は2人組女性のプレイシーン。協力して歩を進めて、ルームガーターにブッ飛ばされていた。終始楽しそうで良かった良かった。

ここでNIGOROブースの愉快なスタッフを紹介しておこう。さとうさん、キングさん、hasuさん、そして僕。お客さんとして、taigooooさん一家も遊びに来てくれた。悪い大人関東支部祭りである。一般公開日の初日はさとうさんとキングさん、今日はキングさんとhasuさん、そして僕がブースを守る陣形だ。キングさんは連日の立ち仕事でヘバっている様子。hasuさんは何と夜勤上がりである。上京組も関東組も満身創痍である。さとうさんは夜になったら再び合流の予定だ。

さとうさん(げばらも)

http://u-k-design.com/
http://www.gebsite.org/

悪い大人関東支部の一人。イベント『洞窟物語のウラガワ』で出会ったデザイナーさん。紙・Webを問わずデザインしまくりフォント作りまくり。ゲームフォントを大量に公開しているgebsiteの運営主でもある。新旧問わずシューティングに目が無く、特に怒首領蜂最大往生にハアハアしている三児の父。M2さんのアホ毛ちゃんばらの公式サイトを作ったりも。

王の巣窟 キングさん

http://king-soukutu.com/

あのロッコちゃん人生オワタの大冒険を作ったFlashプログラマ。春のBitSummitにて初遭遇し、PLAYISM2周年にて再会(わざわざ東京から来てくれた)、気が付いたら悪い大人関東支部の一員になっていた。内気なように見えて実は大胆。既に複数の情報が出ているので知っている方も多いと思うけども、本日の陰の主役。

hasuさん

http://hasumarie.blog103.fc2.com/


悪い大人関東支部の一員。ギタリスト・ベーシスト・そしてレトロゲームBGMのアレンジャー。楽器を愛し、音源(FM音源やSSGなど)を愛し、原曲を愛する熱い漢。レトロゲームが好きな人、まあ良いから黙ってこれ聴いて下さい。漏らすから。その次は下にある動画一覧に手を出して下さい。このグラディウスシリーズがキッカケで悪い大人たちと親交を持つようになり、今ではすっかり中の人に。レトロゲーム大好きで、特にコナミ・ファルコムが大好物。【追記】hasuさんもTGSのレポートを書いてくれました。

taigooooさん

http://cyberworld.web.fc2.com/

イベント『洞窟物語のウラガワ』で出会った、悪い大人関東支部のドンとも言うべき技術者さん。本職は購買なんだけれども、若い頃からPC-8001などをイジり倒し、工業高校時代にマシン語を使ってエレベータの制御プログラムを書いた事もある豪の人。さとうさんとのタッグで作ったスマホゲーム部長の印2012年のHSPコンテストでHSP3Dish部門・優秀賞を受賞。今でもメガドライブやスーファミなどが瞬時に起動できる環境があり、二人のお子さんに英才教育を施している。日曜大工が大好きで、駄菓子屋ゲーセン筐体を作ったりも。

chabokoさん

taigooooさんの奥さん。超似た者夫婦で、二人ともお酒が入ると倍面白くなる。プロフィールがあまりに面白いので、そのまま以下に転載。「神奈川在住 人生初のハードがテレビゲーム15とレーシング112だったと最近気付きました。クリスマスプレゼントにファミコンでなくセガマークⅡが来たり同時期にMSX2が家にあったあたりで人生の方向性が決まった気がします。初ボーナスでメガドラ&CD買っちゃうとか。」

しばらくブースの前に立っていると、ならむらさんに向かって少年が近づいてきた。笑顔で「Wiiware版のLa-Mulanaプレイしてます」という彼、何と8歳(当初間違って9歳と書いていました、ごめんなさい!)。流石のならむらさんも驚いていた。握手をして記念撮影、お父さんにもご挨拶して別れたんだけれども、いやー嬉しいですよねならむらさん。あんな小さな子まで遊んでくれてるなんて。

「そうだね、おーそうか良く来たなー、さあこっちおいでドーン!死ねー!というのがLa-Mulana」

ならむらさんは、本当にブレない。

インディーゲーム東京旅行・新しい出会いと再会と

今回僕は一応撮影班という事で参加しているので、時間を貰って各ブースにお邪魔してきた。まずは株式会社クアッドアローさんのEF-12。代表の小野口さんはBitSummitに参加されていたんだけれども、その時はまだお互い面識がなく、今回めでたく初めましてとなった。いつもtwitterでお世話になっております。EF-12のほうはコンテストに入賞したキャラがかなり増えている上に、何とアルカナハートの主人公・愛乃はぁとが動いていた。これアーケードで動いてる現役のゲームキャラじゃないですか。この辺りの経緯は上記4Gamerさんの記事に詳しい。

そういや小野口さん、La-Mulana2をプレイして「ピットフォールみたいに左へ行ったら即死、みたいな難度かと思ってたよ、案外優しいね!」との感想を頂いたんですけど、色んな意味で、ならむらさんはそんな生易しい人ではありませんよ…

株式会社クアッドアロー

http://ef-12.com/

株式会社クアッドアロー代表 小野口さん

CGの動きをデザインするモーションデザイナーさん。鉄拳1・2の吉光やソウルエッジのヴォルドなどを手掛け、20年もの間第一線で活躍されているクリエイター。開発実績が凄まじい事に。EFシリーズ構想を10年以上前から持ち、今なお開発を続けている。冗談と野球が大好きで、良い試合の日(ex:田中のマー君が登板する日)にはtwitter上で大興奮しているオチャメな人。広報部長であるモジャモジャのウェンディー氏と毎日一緒に出勤している。

隣の列には、ニュースで何度も見た事のあるTENGAMIが展示されていた。昨年のセンスオブワンダーナイトで入選した話題作で、斬新で美しいグラフィックが沢山の人の目を引いている。折り畳んだり広がったりの動きにゾワッと静かな感動が。制作チームnyamyamの東江(あがりえ)さん夫妻がブースに居られたんだけども、この時は話せず終いだった。二次会にてメチャクチャ面白い話を山の様に聞かせて頂いたんだけれども、それはまた後程。

nyamyam

http://nyamyam.com/

英国のゲームクリエイターチーム。といってもメンバーは英国人、ドイツ人、沖縄在住の日本人2人という国際色豊かなチーム。Kinectスポーツ等を開発していたrare社の開発メンバーが集まって独立したとの事。処女作となるTENGAMIは昨年から注目を集め続けており、来年の1月までにはリリースの予定だそうだ。

更に歩いてみると、これまた見覚えのあるゲームが。リズムに合わせて動くローグライクRPG、Crypt of the NecroDancerじゃないか。以前何処かで紹介記事を見て一目惚れしてたんだけども、まさかここで見られるとは。そしてプレイしているのは、先日のLa-Mulana STEAM配信記念緊急生放送で取材をして下さったGokubutoさん。何と。

Crypt of the NecroDancer

http://necrodancer.com/

カナダ出身の3人で活動しているゲーム制作チーム。お会いした方は日本語ペラペラ。物凄い親切で、敵キャラが描かれた缶バッジと名刺を頂いた。「バッジ、ゴーストが不人気なんですよー」と笑っていた。来年の春にはSTEAMでリリースされるそうなので大変楽しみ。もっとゆっくりお話したかったチームの一つ。

Gamers Geographic 主筆 安田さん(Gokubuto.S)

http://gamersgeographic.com/ja/


La-Mulana STEAM配信緊急生放送で出会ったゲームライターさん。現在はGamers Geographicという新しいメディアサイトを立ち上げ、恐ろしいスピードで日夜記事を書き続けている。イベント等で何度かご一緒した事があって、同じ題材で自分でも日記を書いてみるんだけどGokubutoさんのほうが圧倒的に面白く、圧倒的に日本語力が高い。プロは違うなと唸らされた。ダイビングと自転車が大好きという健康的な面を持っている。

聞けばGokubutoさんもこのゲームに注目していたそうで、真剣にプレーをされていた。残念ながら僕は遊ぶ事が出来なかったんだけれども、あちこちから「これ面白いよ!」という声を聞いたゲームだった。リリースまでじっと我慢の子。

後から知ったんだけども、欧米勢だけではなく台湾勢も多数参加していたインディーズゲームコーナー。こちらはSpace Qubeさん。PLAYISMさんの他にも翻訳スタッフが多数居られ、あちこちで活躍されていたんだけれども、意外と普通に日本語を話せる外国人さんが多くてビックリした。ここまでやってくるという事は、それだけ日本に興味や関心があるという事なんだろうか。ぜんぜん関係無いけど、PANDAさんカメラ似合うなあ。

Space Qube

http://spaceqube.lynxengine.com/

ボクセルで自機を描いてゲームに投入できるのがユニークなシューティングゲーム。難度は低めで、お絵かき的な要素で楽しむのがメインかも。具体的なやり方は解らないんだけども、何と3Dプリンターでデータを出力出来るとの事。子供喜ぶやろうなあ。つい先日、iTunesでもリリースされたとの事なので是非。

そうそう、La-Mulanaブースにねとらぼのライターである池谷さんも遊びに来ていた。聞けば昨日もプレイしに通ったそうで、デモ版La-Mulana2の初クリアプレーヤーとなっていた。ドヤ顔していた所を見てならむらさんが、「中ボスから逃げ回って悲鳴あげてたくせに…」と悔しそうな顔をしていた。

ねとらぼ ライター 池谷さん

http://nlab.itmedia.co.jp/


イベント『洞窟物語のウラガワ』で司会を務めてもらったライターさん。お会いするのは2年振り。何かと洞窟物語やLa-Mulanaに縁がある。日々面白そうなものを見つけては走り回っているチャレンジャー。ライターってこんな身体を張る職種やったんですね、どうか御無事で…先日のゲームライター座談会inバンタン、違った一面を見られて良かったです。

各ブースを見て回って気が付いたのが、子供が多い事。すぐそばのファミリーコーナーからの流れなんだろうけども、子供たちは積極的にブースへ駆け寄ってはゲームを楽しんでいた。開発者さんたちも喜んでいただろう。少しでもインディーゲームに興味を持ってくれれば嬉しいなあ。ここに居るオッチャンやお姉さんら、みんな頑張ってるんよ。

そうこうしている内に時間が経ち、ステージの方でトークセッションが始まるとのアナウンスが。PANDAさんとtaigooooさんと一緒に、急ぎステージへ向かった。

オマケ。各ブースで熱心に取材をするtaigooooさん。その成果は以下の通りだ。僕があまりブースを回れなかったので助かりました。感謝です。

インディーゲーム東京旅行・認知度の重要性

インディーズゲームコーナーにはインディーズゲームフェス2013というステージが用意されていて、随時イベントが開催されていた。といっても、ブースのエリアと背中合わせで設置されていて、こちらから直接様子を見ることは出来ない。ブースめぐりの合間にチラッと観に行ったんだけども、何かエラい事になっていた。ブースの数倍、人が居る。

まず実況主の部屋。どうやらここでインディーゲームのニコ生実況をやっているようだ。見えない。女子率が極めて高いという、おおよそ普通のゲームイベントでは見かけられない光景だ。この光景、どっかで見た事あるなあと思ったらバンドのライブだこれ。昔、ライブハウスとかでよく見た光景だ。流石にワーキャーといった黄色い声が飛び交う事は無かったけども、近くに寄ると恐ろしい熱量を感じる。時代は変わったなあ。実際、上手い人の実況はメチャクチャ面白いんだけどね。僕もちょくちょく見てます、ひえぴたとユウキのお二人とか大好きで。

ステージの方では、今日は東方のライブなど様々なイベントが行われていたようだ。そして最後のステージとして、インディーゲーム開発者によるトークライブが開催されるとの事。ここに我らがボスならむらさんも登場する。錚々たるメンバーだ。何となく、『(他)事件』を思い出す。

(他)事件

GDCにて講演する6人の日本人を紹介するニュース記事にて、記事の冒頭で6人中5人まで紹介されたのに、ならむらさんだけ「~氏など」と紹介をすっ飛ばされた事件。渡米前、「あと2年は言い続けてやる」と真っ黒な笑みを浮かべていたならむらさんを今でも鮮明に思い出す。

程無くトークライブがスタート。メンバーは、稲船敬二さん(concept)、遠藤琢磨さん(アクワイア)、南治一徳さん(ビサイド)、馬場功淳さん(コロプラ)、ならむらさんこと楢村匠さん(NIGORO)、飯田和敏さん(チーム・モンケン)、なるさん(えーでるわいす)、Nicolaiさん(エンドレスシラフ)、BitSummitでお会いした大前広樹さん(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン)。更に、エリック・シャイさんの講演でお会いした木村祥朗さん(Onion Games)も横のブースから飛び入り参加。頑張れならむらさん。そして頑張ってビデオカメラマンのtaigooooさん。遠い所からの撮影なので、僕らは腕をいっぱいに伸ばして撮っている。気付いたら池谷さんやAGMの営業Iさんもすぐ横に。

トークショーのほうは稲船さんと大前さんを中心につつがなく進み、ならむらさんが何かヤバいものを仕掛ける事も無く(内心ちょっと期待していた)無事終了。ビッグサイトの閉館を告げる蛍の光が流れる中、ギリギリのギリギリまでトークが続けられる良いセッションだった。内容に関しては、各種メディアが報じられているのでそちらをご覧頂ければと…と思ったら、こっちも稲船さんの話ばかりか。皆さん色々喋ってたのになあ。録音しておくべきだったか。ニコニコのプレミアム会員の方は、こちらからタイムシフトで視られるようなので是非。

見ていて感じたのは、やはり稲船さんの圧倒的な認知度と話題性だった。出て来ただけでどよめきが起こり、(Mighty No.9のKickstarterの件もあって)その発言ひとつひとつを観客が集中して聞いていた。当たり前の話なんだけれども、実績があって、認知度があって、話題性のある人は強い。が、インディーでこの3つが揃うチームというのはなかなか無い訳で。だからこそPLAYISMさんたちが頑張って色んな活動をしている訳で。

最後に、大ホールを少しだけ覗きに行った時の写真も掲載しておこう。これ、全体のほんの一部に過ぎない。右を見渡しても、左を見渡しても、ずっと奥を見渡しても、何処もかしこもこんな感じだった。TGS初参戦どころか大きな展示会にほとんど行った事の無い僕にとって、この光景は忘れられないものとなる。

TGSの期間中、「人ごみに疲れた時の息抜きに、インディーズゲームコーナーへどうぞ!」といったアナウンスを聞いて、個人的にイラッとしていた。そうか、ここは息抜きかと。厳しい条件の中みんな必死こいて頑張ってんのに、息抜きかと。わざわざ国外からも来てくれてるんやぞと。が、この光景を見て、僕は別のショックを受けた。ブースの規模や参加企業・ゲームのラインナップ、かかってるお金を考えれば当然なんだろうけども、強烈なまでの『認知度の差』を感じてしまったのだ。

また、インディーズゲームフェスのステージがあれだけ盛り上がっていたのに、そのお客さんがあまりブースに流れてこないという事にも感じるものがあった。ブースとステージの方向が逆を向いているというのも大きな要因だろうけども、これだけのお客さんはステージが終わった後、何処へ行ってしまったんだろうかと。主役は実況者で、ゲームはオマケなのかと。

この2年ほどの間、僕は洞窟物語やLa-Mulana、そしてPLAYISMさんと接する機会に恵まれ、色んなものを目にしてきたつもりだった。日本のインディーゲームも着実に広まってきているなと勝手に思っていた。しかしNIGOROさんやPLAYISMさんに話を伺うと、「いやいや、まだまだですよ…」と返ってくる。そういうものなのかな、謙遜なのかなと思っていた。だが今日、この大ホールで、自分の目が内側にしか向いていなかった事を思い知らされた。日本のインディーゲームは、まだごく一部でしか盛り上がっていないのだ。

ただ幸いな事に、国内外のメディアが各ブースに集まってくれて、記事を探してみると思った以上にインディーゲームを取り上げて貰えたようだ(BitSummitでお会いした方も多数居られた)。本当に有難い事だと思う。国内での認知活動はまだ始まったばかりと言えるこの業界。大ホールやステージに来ていたお客さんにも、こちらを向いて貰えるように努力しなければならない。僕に出来る事と言えば、日記を書いたり写真を撮ったりすることくらいなんだけれども。それにしてもまさか人生初のTGSで、こんな複雑な気持ちになるとは思いもしなかった。

とにもかくにもTGSは無事閉幕した。しかし今日の本当のメインは、このあと東京の品川で待っているのだ。

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