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インディーゲーム東京旅行・キングさんの夢

  • 2013-09-22 (日) 0:25
  • 日常

ロッコちゃん(ROKKO CHAN)というフリーのFLASHゲームがある。ファミコン時代を経験した人ならすぐに解る、あのロックマンのパロディゲームだ。オワタの大冒険を作ったFLASHプログラマのキングさんがリーダーとなり、2年の歳月をかけて一から作り上げられた超大作。リリース直後から大きな話題を呼び、海外のMEGAMANファンも狂喜したというゲームである。設定資料集やサントラ、関連グッズまであるので是非公式サイト王の巣窟でご確認いただきたい。

僕がキングさんと出会ったのは今年3月のBitSummitでの事。開発室Pixelのブースを尋ねてくれた彼と仲良くなり、PLAYISMさんの2周年ではわざわざ夜行バスで関東から駆けつけてくれ、気が付けば今日はNIGOROさんのブーススタッフとして手伝いに来てくれている。そんな彼、実はこのTGSに懸ける大きな夢があった。

話はTGSの撤収後にさかのぼる。片付けをhasuさん達に任せて、バス移動組である僕、Maruchuさん、キングさん、taigooooさんは出入り口のエスカレータ前に待機していた。定員漏れしたら品川まで何で行こうか、みたいな話をしていたその時。トークライブを終えて、舞台裏から出てくる人影が見えた。稲船さんだった。

稲船 敬二さん

http://inafking.exblog.jp/


ロックマンシリーズや鬼武者シリーズ、デッドライジングシリーズなどでプロデューサーを務めた元カプコンのゲームクリエイター。現在はコンセプトの代表取締役に就任し、Mighty No.9を製作中。Kickstaterにて資金を集めると発表してすぐにゴールを達成して大きなニュースとなる。当初はイラストレーターだったそうだ。

キングさんの表情が一気にこわばった。あのロックマンの、稲船さんが目の前に居る。実はキングさん、TGSに稲船さんが来ることを知って、どうしても会ってご挨拶をしたいと思っていたのだ。昨日からずっとそれを考えていたんだけれども、怒られるんじゃないか、僕みたいなのが行って良いのかと相当悩んでいたらしい。こんな機会ってもう二度と無いかもしれんよ、何なら僕ら一緒についていくよと話すと腹を括ったようだが、実際本人を目の前にし、身体が硬直して「あああどうしよう」みたいになっている。

しゃなあい引っ張っていこうか、そう思った瞬間Maruchuさんが「稲船さーん」と飛び出していった。やるなあMaruchuさん、これでもう退路は無い。僕はキングさんの背を押し、稲船さんの元へ歩いていった。Maruchuさんがごく簡単にキングさんの説明してくれたようで、めでたくご対面。震えてまともに自己紹介も出来ないキングさん、フォローしようかと思ったら、同じく舞台裏からならむらさんが。グッドタイミング。昨日キングさんから相談を受けていたならむらさん、震えるキングさんを見て笑いながら彼を紹介した。名刺を手渡すキングさん、「こういうキャラがですね」とロッコちゃんの絵を見せる。

「これ女の子やないか!」「パクリ過ぎやろ!」

あ、稲船さん笑った。行ける行ける、キングさん資料とかサントラとか出して。「あああスイマセンいま名刺しか持ってないです!」、ちょ、何やってんの!急ぎiPhoneでプレイ動画を探して、キングさんと稲船さんに見て貰う事に。この記事の一番上の動画がそれである。

「これに比べたら、俺のMighty No.9なんか可愛いもんやな!」

爆笑が起こった。「スイマセンスイマセン!」と謝るキングさん、「謝るんならカプコンに謝らな」と笑いながら話す稲船さん。その後も少し話をして、お礼を言って別れた。悪い大人達と次々に抱き合って喜ぶキングさん。これは優勝モノだ。「名刺貰った…名刺交換した…」と半泣きのキングさん。良かった良かった、場所が場所なら胴上げしてたよ僕は。

が、彼の話はこれでは終わらなかった。

舞台はIndie Streamへと移る。ボチボチお開きの時間かなという頃に、キングさんが僕の所へやって来た。「宮澤さん、お願い出来ますか」と真剣な表情のキングさん、手にはノートPCとファミコン風USBコントローラを抱えていた。そうか解った、行こう。

僕らは再び稲船さんの元を訪れる。「良かったら、ロッコちゃんをプレイして貰えませんか」、今度は震えず話す事が出来たキングさん。稲船さんは笑顔で応えてくれた。ロックマンの稲船さんが、ロッコちゃんをプレイするという非現実的な光景が目の前に広がる。

笑いながら、しかし時々恐ろしく真剣な表情を見せる稲船さん。プレイ中、キングさんとずっと話をしていた。キングさんにとっては何物にも代えがたい時間だったろう。僕らは再びお礼を言って、稲船さんと別れた。Indie Streamという大きなうねりの中で、キングさんの夢は果たされたのだ。

ここでキングさんへのインタビュー記事を紹介しておこう。読んで頂ければ解る通り、今日に至るまで、彼は何度も何度も追いつめられていた。初めてBitSummitで会った日の帰り道、車で駅まで送っていった時の事を思い出す。そんな苦悩続きだった彼が見せた、渾身の喜び。彼は凄い男ですよ。尊敬します。

実はこの後、三たび稲船さんの所へお邪魔して、お願いし忘れていたキングさんとのツーショット写真を撮らせて頂いた。嫌な顔一つせず、非常に気さくに対応して下さった稲船さん。心から感謝いたします、有難うございました。嬉しそうな顔でツーショットに納まるキングさんを見て、ニヤニヤしながら「次はオリジナルを作らないとな」とならむらさん。そこでキングさんは、こんな冗談を飛ばしたのだ。

「次は、Mighty No.9みたいなのを作りますよ!」

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