- 2011-06-17 (金) 0:35
- 日常
何の自慢でも無いが、生まれて以来、南山城という地域に行ったことがない。それどころか、JR奈良線に乗るのは、恐らく人生で2回目。京都駅から乗ったのは、人生初だ。今日はこれから、Nikon D7000片手に茶畑を走りまわるのだ。多分。お茶のKさん曰く、「汚れても良いカッコで」との事なので、ダメージジーンズと呼ぶにはダメージを受け過ぎたジーンズで出撃。
駅ではお茶のKさん夫妻(ご主人は社長さん)が車を止めて待っていて下さった。ブレンドされたお茶と、何故かクリームがガッツリ乗ったプリンを頂き、車に揺られること一時間。とある山中の中に、有機栽培の茶畑が広がっていた。というか、ここが何処かのかさっぱり分からないし、方角すら分からない。今ここに置いて行かれたら、確実に遭難出来る。
Kさん夫妻が、お茶や茶畑の事について詳しく教えて下さった。聞けば、有機栽培をしている茶畑というのは、全国的にもかなり希少だそうだ。その味は、どちらかというと旨みが控え目で、香りがとても高い。実は肥料に含まれる成分に、旨みを増幅させる物質があるそうなのだが、こちらの有機栽培は肥料を使用していない為、旨みが控えめになるそうだ。また、守られる事無く育て上げることで、素朴で昔ながらの味や香りが出てくるとの事。
また、クモにまつわる面白い知識も教わった。クモは殻が非常に薄く、農薬を撒いたら一発で全滅してしまうそうだ。逆に言えばクモが畑に居るという事は、農薬を巻いていないという何よりの証拠になる、と。こちらの畑では、あちこちに蜘蛛の巣が見られた。なるほど。面白いもので、有機栽培の畑では小さな食物連鎖が常に起こっており、然程手を入れなくても最良の状態が継続出来るそうだ。自然の力、恐るべし。
その後、会社へ案内してもらう前に、様々な場所に連れて行って頂いた。どこも京都市内では見かけられない、ワイルドかつ自然満開のスポットだらけ。仕事に来たはずなのに、心の底から思いっきりリフレッシュ出来てしまう。これで羽虫さえ居なければ、本当の天国なのに。なのに。
会社へ到着、ここからはKさんのご主人自ら、『茶師』としての仕事振りを披露してもらうことに。知らなかったのだが、自社ブランドで長年リリースしているお茶というのは、毎年茶師によって同じ味になるようブレンドされるものだそうだ。収穫期、山城じゅうの茶が体育館くらいの大きさの場所に並べられ、その中から色と香りをみてチョイスするとの事。その数、およそ1,000。同じ畑で取れた茶葉でも、収穫時期、天候、日当たりなどで味が変化する。それを眼と鼻で見極めるという恐るべき職人、茶師。舌は使い過ぎると麻痺するので、それほど使わないそうだ。傍から見てたら魔法使いか超能力者にしか見えない。
その後、一緒に晩ご飯を頂くことになった。ここで予想だにしなかった話題が飛び出す。ご主人が、僕の着ている『minimoog』のTシャツに気づいたのだ。何とご主人、茶師になる前は映画畑に居られたそうで、シンセやクラブミュージックに精通されていたのだ。まさか茶畑の撮影をしにきて、音楽談義になるとは思いもしなかった。何だか不思議な繋がりが出来た感じがしつつ、北大路へ帰還した。
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