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2011-03

繋がらない電話

僕の事務所には、テレビが無い。

異変に気が付いたのは、16時前の事だった。今日正式公開する予定の、バーテンダーのKさんのサイト。最終確認メールを貰ったが、念の為一報入れてから公開しようと思って電話を掛けた。が、繋がらない。ひょっとして仕入なんかで走り回られてるのかな、と思ったのだが、電話を掛けた瞬間に回線が切れる。何か変だ。

携帯に何かトラブルがあったのかと思い、喫茶店の電話を借りてみた。繋がらない。ひょっとして向こうの携帯に何かあったのかと、お店に電話をしてみたが、こちらもダメ。やはり電話を掛けた瞬間に切れる。複数の回線でダメという事は、ひょっとして、電話回線自体に何かあったか。取り敢えずニュースをと思い、時事通信のサイトを見に行った。絶句した。

急いで喫茶店へ降りる。店内には常連さんを含むお客さんが楽しく歓談していた。店内にはテレビが無い。すぐにニュースを伝え、ノートパソコンを持ち込んだ。皆の顔から笑顔が消えた。これが、僕と母が『震度7』に気付いた瞬間だ。

どうやら震源地は東北で、関西圏でも震度3という表示が出ていた。その時僕は、いつもの美容院で美容師Mさんと談笑していたのだが、僕もMさんも全く気が付かなかった。母も喫茶店のお客さんも、気付いていなかったらしい。とにかく、まずは情報を収集しなければならない。テレビが無いので、とにかくニュースサイトとtwitterが頼りだ。情報を漁り始めてすぐ、お台場が炎上している写真が出て来た。完全に思考が停止する。

東京やその近郊にも、僕の友人は沢山居る。だが先程の電話の状況を見る限り、今は繋がらないだろうし、電話を掛ける事もしないほうが良いだろう。メールもしかりだ。じゃあどうすれば良いのか。とにかくtwitter、mixi、facebookの画面を順に眺め続けた。mixi上で、神奈川・Yちゃん先生と東京・役者のYちゃんの書き込みを発見、無事らしい。だが、ろじぱらのワタナベ氏(@logipara_wata)が「石油コンビナートが大爆発した キノコ雲のような炎があがった」とtweet。とても平常心ではいられない。

その後、USTREAMでNHKの緊急特番を撮影して流している広島の中学生を発見、緊急事態につき背に腹は代えられないと視聴させて貰った。後にフランクな事で有名なNHK広報局(@NHK_PR)の人が「私の独断なので、あとで責任は取ります」とこれを公認。凄い事が起こっている。Googleも『Person Finder』という消息情報を投稿・検索出来るサイトを立ち上げた。素早い。

その後もtwitterとNHK、各種新聞社から情報収集、だが余りにも規模が大き過ぎて、誰もが現状を把握出来ていない。まずは安全に避難を、というtweetが増えて来た。主に過去の被災者や様々なジャンルの専門家が中心となって、経験に基づいた様々な知識を公開している。凄い、こういう時に力を発揮出来るのかtwitter。僕も有益そうな情報を探し、ソースを確かめてからRTした。mixiボイスにも幾つか転載する。

突如、USTREAM経由のNHKが、とんでもない規模の大津波を映し出した。家屋が、ビニールハウスが、一瞬で流されていく。全身に鳥肌。このタイプの悪寒、過去に二度経験がある。一度目は、阪神・淡路大震災。当時高校生で、学校が休みになったという事で按摩師のNと二人で帰宅、どうなってるかなあとテレビを付けた、あの瞬間。僕もNも言葉を発する事が出来なかった。二度目は、米国同時多発テロ・貿易センタービル。ICQで友人とチャットしていた時に二機目が突っ込んだ、あの瞬間。その後の惨状は直視できなかった。

本当に辛いが、それでも情報は出来るだけ仕入れておきたい。有志が各所で様々なサービスや情報を提供しているのを見ると、本当に涙が出そうになる。聞けば岩手の方は停電でテレビが見られないそうだが、携帯やモバイル機器、通信自体はそれなりに生きているようだ。被災地の人の為にも、正確で解り易い情報を提供するのが一番だろう。ただ、バッテリーにも限度がある。可能な限り、長持ちさせるような使い方をして貰いたい。

twitterと言えば、被災地ユーザーのタイムラインが、みんな15時前後で悲壮なtweetをしているのを見てしまった。平和だった日常が一転する様子が、手に取るように伝わってしまう。そのまま書き込みが無くなってしまったユーザーも居た。バッテリーが無くなっただけだと信じたい。本当に無事でいて欲しい。

夜になって、気仙沼の映像を見た。街の灯りは、炎以外ほとんど見当たらない。阪神・淡路大震災と同じじゃないか。聞けば福島の原発までヤバい状態にあるとか。とにかく夜の間は何も出来ない。何とか朝まで持ちこたえて欲しい。

そんな中、世界中のtwitterユーザーから、#prayforjapanというタグで日本の為に祈ってくれているという情報が届いた。画像まで投稿してくれているユーザーが居る。緊急支援声明も各国から届いているそうだ。感謝、という言葉以外何も出て来ない。

落ち込んでばかりいても仕方が無い。出来る事から始めよう。

デジタル一眼の楽しさに目覚める

素晴らしい。

バーテンダーのKさんのお店に、プレオープン前にお邪魔した。先日に引き続き、写真撮影をする為だ。少し雨の心配もあったが、急いで原チャで祇園へ向かう。幸い近くに駐車場があった。

店内に入ると、久々にタキシードを着たKさんが。やはりカッコ良い。店内全体も綺麗に整っており、テンションが上がる。あと1時間後にはお客さんが来るので、急ぎ撮影を開始した。

ロクすっぽマニュアルも読めていないが、やはりNikon D7000の性能は素晴らしい。僕みたいな初心者でも、フォーカスさえ合わせれば思い通りに写真が取れる。明るさの調節も実に賢く、ほとんど一発撮りでOKなものばかり。こんな手軽に、良い写真が撮れて良いのだろうか。もっともっと勉強して、良い写真を撮れるようになりたい。デジタル一眼、楽し過ぎる。

その後、外観を撮影しに外へ。ここでも威力を発揮してくれたD7000、暗い場所でもバッチリ写るしノイズが少ない。コンデジとは比べものにならない鮮明さ。三脚が無くても手振れ補正が効いているのか綺麗に撮影出来る。何という気持ち良さ。

一通り良い写真が撮影出来たので、後は事務所に戻って作業をするだけだ。本格的なオープンは明日からだが、今日からKさん念願のお店がスタートする。本当に感慨深いと思う。また近々、今度はお客さんとしてお邪魔したいと思う。

余談だが、デジタル一眼を抱えながら外観撮影の為に走り回ってたら、何となく『Dead Rising』を思い出した。

高校の授業で情報処理

僕は工業高校に通っていた。情報電子科という学科で、当時ではまだ数少ないPCを専門にした学科…の筈だったのに、PCに触れたのは週1回の1時間だけ、後はほとんど旋盤とか回路設計とかハンダごてばっかり扱っていた。今思えば、あれは詐欺だったんじゃないか。

あれから15年、時代は大きく変わった。まさか普通高の授業で、ここまでしっかりと情報処理について勉強しているとは。これだけの基礎知識があれば、若い内から色々とPCを使いこなせるようになるだろうし、僕としても色んな説明がしやすい。上記の記事でも触れられているが、この教科書、企業でも配った方が良いんじゃないだろうか。今の情報社会、『知らない』では困る事も多々あるのだ。

知る喜び

面白い子だ。

教え子だった三塁のKが来訪。顔を合わせるのは1年半ぶりだ。大学入試も終わり、春休みという事もあって遊びに来てくれた。全力で打ち込んでいたソフトボール部も引退し、随分体育会系の印象が無くなっていた。ちょっと寂しくもある。それでも野球やソフトボールは大好きという事で盛り上がった。

三塁のKは、その名の通り三塁を守っていた。このポジションは右打者の打球が一番強く早く飛んでくる『ホットコーナー』で、内野手の中では一番度胸を必要とするポジションだそうだ。特にソフトボールはダイヤモンド自体が小さい(=打者との距離が短い)ので、「一瞬でもビビったら、守備どころか立ってるだけでも怖くなる」らしい。知らなかった、てっきり遊撃手が一番怖いモンだと。

そう言えば前回会った時に、ちょっと浮いた話を聞いたので、今はどうなっとるんやとオッサン根性丸出しで聞いてみたら、そこを皮切りに色んな話が噴出した。それと同時に、この子のとんでもない背景を知る事になる。話は幼少時、東南アジアから始まる。Kは幼い頃、オヤジさんの仕事でインドネシアに住んでいたらしい。現地の学校に通い、話す言葉はインドネシア語。それが『インドネシア暴動』により帰国を余儀なくされる事に。毎日軍の戦車を見たり、投石を見たりしていたそうだ。そうか、その頃のイメージがあって球を投げるスポーツに興味が、と言ったら怒られた。スイマセン。

日本に帰ってからは各地を転々とし、京都に腰を落ち着ける事に。親御さんの教育方針もあって、テニス、陸上(中距離)、ソフトボールとスポーツ漬けの毎日を送ったそうだ。この経緯や理由が、子供とは思えないくらい明確かつシビアなのだが、諸事情により割愛。少なくとも同じ環境に僕が居たら、逃げている。

学業のほうもバリバリの進学校に通っていたのだそうだが、ゆとり教育の方針転換と時期が重なり、ただでさえ厳しい勉強が毎日7限、3年間続いたそうだ。脱落者も多かった(!)らしく、K自身もかなり追い込まれたらしいが、ソフトボールのお陰で何とか耐えきったらしい。それはそれで大変な苦労があった筈なのに、Kはあっけらかんとしている。

そんなKの将来の夢は、ホテルマンか旅行会社に勤めて、海外勤務する事。それも東南アジア、インドネシアなどだ。この辺りの話の流れから、この子の視点が子供のそれではなく、完全に大人の、それも客観的なものである事が解り始めて鳥肌が立った。ずっと冗談交じりに話をしていた僕だが、気が付いたら大人同士の会話にシフトしている。話す事で、彼女が色んな事を得ようとしているのが解る。僕の向かいに座っているのは、本当に18歳か。豊富な人生経験と『完全な一人っ子』が、Kを早熟にさせたのだろうか。

「話してる内に気付く事ってあるやん?喋ってから、自分が考えてた事に気付くっていう感覚」、これ、今日一番驚いた発言だった。自分が持っている漠然とした思考が、会話を通じて形を成していく、あの感覚。決して口から出任せを言っているのではなく、自分の内側からスッと湧き出る、ストレートな思考。僕がこういう感覚に気付いたのは、ここ数年の事だ。まさかこんな若い子と、この意識を共有する事になろうとは。

進学する大学は北のほうにあるらしく、僕の事務所からもそれなりに近いほうだ。入学したら、またちょくちょく遊びに来れば良いと言ったら喜んでいた。15も年下の子と、バカ話だけではなく、マジメな話でもウマが合うとは。僕にとっても嬉しい誤算だ。これからは、もう子供と思わずに話をしていこうと思う。ひょっとしたら、僕のほうが教えて貰う事が多くなるかもしれない。

そうそう、「トイレが綺麗なお店は良いお店」と言ったのにも驚いた。商売人の娘とかならともかく、一般的な家庭の高校生でそんな事に気付く子、居るだろうか。

掃除は大好きなんですが

来客があると部屋が綺麗になるので、出来るだけ沢山来客があって欲しいと言ったのはウチのオカンだ。失礼な話だが反論出来る余地は無い。実際お客さんが来ると綺麗になるのだ。

そもそも、僕は掃除が好きなのだ。だが、やりだしたら止まらないからやれないのだ。今も昔も、一度掃除を始めたら半日くらいアホみたいに掃除し続けるので、通常業務に差支えが出る。一時期『ルンバ』の導入なんかも考えたが、足元に資料を置く癖があるので、結局人力が一番効率的なようだ。

デジタル一眼が火を噴く

Nikon D7000を引っ提げて、バーテンダーのKさんの店舗へ。ついにオープンまで残す所3日。サイトはデザインは仕上がっており、後はテキストと写真を流し込むだけ。今日はその、写真を撮影しに行ったのだ。

素人カメラマンと、初めてのデジタル一眼。前職で何度か触った事はあったが、正直かなり不安がある。取り敢えず試しで撮影してみるか、と適当に撮影した。不安は杞憂に終わった。このデジタル一眼、とんでもない性能だ。こちらがやりたい事を見越しているかのようなオートっぷり。出来上がりも、とても素人写真とは思えない。Kさんと一緒にプレビューを見て、あまりの凄さに笑いが止まらなくなった。残念ながら今はまだ公開出来ないのだが、11日には表に出せると思う。

Nikon D7000、買って良かった。ホントに良かった。

Skype片側通行

P社のNさんと久々にskypeしたのだが、どうもNさん側のPCでトラブルがあって声が聞こえない。Skype自体の効果音は聞こえるので、僕のほうに原因がある訳ではなさそうだ。取り敢えずNさんがチャットで話し、僕が声で答えるという奇妙な状態に。何だか良く解らないが、物凄く恥ずかしい。これはあれか、ニコ生とかの実況みたいな感じか。

ノリノリで夜明けを拝む

良い感じ。

2つのサイトの締切が近い。同じ時期に依頼を受け、同じ時期にリリースというかつてない状況に戸惑ってはいたが、やれば出来るものだ。完全同時並行作業、とでも言えば良いのか。

朝の9時から終始ノリノリで作業していたのだが、気が付いたら29時になっていた。トイレとメシ以外は一切席から離れていない。ノリノリ過ぎた。お陰でかなり仕事は進んだのだが、明日の予定がちょっと怖い。

外道ビジネス

『炎上マーケティング』というものをご存知だろうか。はてなキーワードでは、『新製品や新サービス、飲食店などを宣伝する目的で、批判や感情的な反応を呼ぶような言動をあえて行うことで注目を集め、知名度向上や売り上げ増に転換させようという商法』と紹介されている。これをどうやら実際にやっている輩が居るらしい。

リンク先の記事を読めば解るが、この騒動を要約して言うなら『知らない人をいきなり後ろから殴って、それを全世界配信してPVを稼ぐという新しいビジネス』だ。何が凄いって、殴った方やPVを流した方が、メディアの人間と自称している。匿名からの罵倒なんてのはよくある話だが、肩書を公開している人間が、見ず知らずの人間を、公の場で言葉で殴ったのだ。しかも後ろから。

本当に反吐が出る内容だが、被害者になって泣き寝入りする事が無いよう、読んでおいた方が良い。これからの世の中、一体何処で何が起こるか解らない。

否が応でも

結構キツい。

いつものやり方が通じない。それは想像以上にプレッシャーのかかる壁だった。それに加えて、他人が作ったものをイジらなければならない。解析・検証・デザインを同時並行で行うのは、想像していたよりずっとキツい。いつもならスンナリ出来る事が出来ない、この歯痒さ。

だが同時に、今までにないスピードで色んな技術が身についている。他人のソースは勉強になるし、自分が知らない技術と直に接する貴重な機会でもある。ここさえ乗り切れれば、また幅が広がる。残り時間は1週間。

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