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大切なのは『引き算』

  • 2011-02-06 (日) 0:40
  • 知識

「表現とは、捨てることである」という先達の言葉にもあるとおり、相手の言ったことの本質や核心をうまく際立たせなければ、伝えたいことも伝えられません。「ところで、要点はなんなの?」と聞き返されるだけの話です。これでは、ビジネスの効率は上がりません。
 
本質、あるいは、骨格というものだけを残し、あとはぼかす、あるいは捨て去ってしまってこそ、伝えたいところだけを浮き彫りにすることができます。それができれば、相手はストレスを感じることなくスッと理解できるのです。

僕がこういった話を聞かされたのは、学生時代、それも作曲の授業を受けていた時の事だった。恩師I先生曰く、「大切なのは、いかにして無駄を省くかという『引き算』だ」と。特に音の場合、一番の情報源である『視覚』に頼る事が出来ない為、主張が多過ぎると文章や映像以上に意味が解らなくなってしまう。主張だらけの作品を持ち込んだ僕は、その事を痛感した。

何かを表現する時、慣れていない人は「詰め込めるなら詰め込めるだけ」と思いがちだ。僕もずっとそうだった。余白があるなら埋めれば良い。あれもこれも目立たせて、沢山主張を見て貰いたい…だが、それは大きな間違いだ。読む側の人は、そんなに一度に情報を取り込む事が出来ない。何より、解りやすい主張が無いと、足も止めてくれない。

僕がこの仕事を始める際に一番時間を割いたのが、『引き算』の練習だった。情報を精査し、使う色を限定し、余白を作って活かす。いかに読み易く、伝わり易く、印象に残り易くするか。大事なのは読み手の印象であって、身内からの印象ではない。この部分に関して、僕はかなり頑固なほうだと思う。まだまだ至らない所も多く凹む毎日だが、練習は続けている。

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