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本物には程遠いセッション

  • 2010-04-10 (土) 0:40
  • 日常

事前に王将へ寄った。

バレエのAちゃんが生ピアノを見たいと言う事で、打ち上げも兼ねてジャズバーへ招待した。

数年前まで、友人たちの前でピアノを弾く事はほとんど無かったのだが(テンパるから)、一度だけ大勢の友人の前で演奏した事がある。それが、Aちゃんの結婚式で弾いた『Santa Claus Is Coming To Town』だった。あれ以来、僕は度々人前で演奏をするようになった。開き直る事を覚えたのだ。

が、今日は酷い出来だった。上達した所を見せようという気持ちが力みに繋がり、結果ミスタッチ連発、音数多過ぎ、会話にならない。挙句、飲まれてしまった(まさかBluesで飲まれるとは思わなかった)。また、「手癖だけで弾いてるな」というマスターの指摘に返す言葉も無かった。最低限の事はやれていたので少し前だったらこれでもまあ良いか、と思えたが、今はとてもそうは思えない。解っているのに出来ていない自分にとにかく腹が立つ。Aちゃんは上達を喜んでくれたが、僕は申し訳無さで一杯だった。

今日唯一の収穫は、初見の曲について行けた事だった。『There Is No Greater Love』は思った以上に簡単で、レパートリーが一つ増えた。スケールだけだが、B♭mの曲について行けたのも良かった。今日はホントにそれだけだ。

昔、マスターに言われた事を思い出した。「まずは手癖を付けて、フレージングが出来るようになったら、次はそれを全部捨てるねん、そこから生みの苦しみが始まるんや」と。僕もそろそろ、全部捨てて1からやり直す時期が来たのかもしれない。

一頻り凹んだ後、Aちゃんと雑談。改めて感じさせられたのは、Aちゃんのプロ根性だった。爪先立ちの影響か、足の爪は8本真っ黒になってしまっているそうだ。また、発表会の次の日以外、ずっとスタジオで練習を続けているらしい。何故そこまでしてバレエに打ち込むのか。根底にあるのは、人を喜ばせたい、力を与えたいという表現者としての矜持だった。怪我の克服法を身につけ、また戦場へ帰っていく。Aちゃんは本物だ。

帰り道、何だかとことん情けなくなってきた。Aちゃんと比べて、何と自分の小さい事か。面倒な事から逃げて、都合の良い事だけやっている節がある限り、飛躍は望めないだろう。人間油断すれば、絶対楽なほうに流れていくのだ。ピアノを始めて今年で10年。僕も本物になりたい。

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