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森毅氏の本

美品ではないけど。

僕が事務所へ持ち込んだ本の中に、森毅氏の本が2冊ある。『すうがく博物誌(上・下)』、初版、サイン入りだ。母の実家に宛てられたものだったのだが、僕が幼少の頃、算数が好きだったという理由で譲り受けた、宝物だ。

中身もかなり面白く、1ページ毎に数学用語をユニークかつシニカルに説明していくというものだった。このシニカルさがたまらないのだ。難しい言葉も多かったので幼少の頃には半分も読めなかったが、高校生に差し掛かる辺りで読み直して面白さを再発見。数学者としてだけではなく、物書きとしても一流だと気付かされたものだった。安野光雅氏の絵がまた良い味を出しているのだ。

僕は数学者が好きで、技術者が好きだ。父方の祖父(天文・物理学者)や学研の影響もあると思うのだが、数学を操る人に憧れを持ち、新たな発見を耳にする度心を躍らせた。僕の数学的知識量なんて大学生にも及ばないレベルなのだが、僕は数学の持つ世界が好きなのだ。

このニュースを聞いた時、しばらく呆然とした。人間なのだから寿命があるに決まってはいるが、何となくこの人は不死身だと思っていた。年を経てもユニークさは一向に衰えず、老いてますます盛んというイメージを持っていたからだ。

時間が作れれば、森毅氏の本をもっと読んでみたいと思う。心からご冥福をお祈りいたします。

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