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2014-03

BitSummit MMXIV Public Dayの出会い(2)

4時間半ほど寝て三度みやこめっせを目指す。泣いても笑っても、BitSummitは今日が最終日だ。1日7時間という長丁場を立ちっぱなしで、皆一様に疲労の色が濃い。だが、ひとたび会場に明かりが灯ると楽しさが優先され、疲れを忘れてしまうのだ。それくらいに今回のBitSummitには魅力がある。

たまたま会場内で見て驚いたのがこちらのニュース。写ってるのはピグミースタジオの小清水さんとPSvita版『La-Mulana』やん。いやはや、地元新聞にLa-Mulanaが掲載されるとはなあ。

開場前と後の写真。昨日ほどではないが、それでも列が出来ていた。10時からの開場だったんだけども、恐らく昼から来るお客さんが多いのではないかと予想した。辺りにあまり飲食店が無いからだ。実際お客さんは徐々に増え、昼を過ぎれば会場は大賑わいになっていた。それでは今日、僕が出会ったゲームをご紹介する。

Disco Pixelさん(C-09)の『Jungle Runble』。ドラムのリズムに合わせて移動や攻撃を行うゲーム。だが、音ゲーとはちょっと違う。普通の音ゲーはノートを待ってタイミングよくタップするのがほとんどだけれども、このJungle Runbleは常に四つ打ちに合わせてタップし続けないといけない。その代わりに、タップする場所を自分で選ぶのだ。行きたい場所と自分の場所を交互にタップx2すると移動、自分の居場所を3回タップして違う場所を1回タップすると攻撃、といった具合になる。慣れるまではちょっと難しいが、理解出来ればずっとリズムを刻んでいられる気持ち良さがある。

代表であるTrevorさん( @TrevorStricker )にお話を伺った。いきなり流暢な日本語で話しかけられたので、日本語お上手ですねと話したら「お世辞がお上手ですね!」と返ってきた。出来る!Trevorさんはボストンからやって来たそうで、経歴については僕が書くよりLinkedInの情報を見て頂いたほうが早いだろう。「子供たちに、もっと気軽にゲームを遊んでほしいんですよ」と笑顔のTrevorさん。ブースには常に沢山のお客さんが詰めかけていた。

勝手に『もっと評価されるべき』とタグを付けたくなる、ARTIFACTSさん(D-11)のマジック・ボーション・ストーリーズ。つい先日発売されたばかりのウディタ製ビジュアルノベルなんだけども、見せ方・演出が実にユニーク。初めてお会いした時、天谷君が「彼のゲーム面白いよ、やったほうが良い」と勧めてくれたんだけども、その言葉に間違いは無かった。軽妙なテンポで進むストーリーは2年かけて組み上げたそうだ。公式サイトには世界観を共有する前作(フリーソフト)も用意されているので、まずはそちらからお楽しみを。

作者の樹ひかりさん( @ARTIFACTS777 )とは、各自作業を持ち寄ってひたすらもくもく何か作る『もくもく会』で天谷君と会ったのがキッカケで仲良くなったゲーム制作仲間だ。今日は同じもくもく会で知り合った漫画描きのすぎむらさん( @tokiwa777 )も応援に駆け付けている。すぎむらさんは大阪から洞窟物語のウラガワにも来てくれたナイスガイで、以来ウチにもちょくちょく遊びに来てくれている。

当初、「僕みたいなペーペーが参加して大丈夫でしょうか?」なんて言ってたけども、沢山のお客さんに見て貰えて、また沢山の開発者さんに会えて、更にはストーリーテラー賞(Narrative Design)で次点入賞になって。ね、参加して良かったでしょう?

今日一番の新鮮さだったWinning Blimpさん(D-01)の『STRATOLITH』。攻撃手段を持たない都市を、敵機をハッキングする事で護るリアルタイムシミュレーション。そのハッキング方法がユニークで、敵機をタップして3つの波形を確認、それを打ち消す波形(位相反転)を1つずつ打ち出してハッキングするというもの。昔ながらのラジオで波長を合わせるような、独特のUIが面白い。リアルタイム進行するので焦る焦る。

作者の一人であるAlex Mayさん( @atype808 )は関西在住で日本語ペラペラ。『日本語OKやで』のカードが眩しい。実は去年のPLAYISM2周年パーティにも参加されていたんだけれども会いそびれて、1年越しにようやくお会いする事が出来た。前作の『Mozaique』、買いましたよ。じっくり考えるタイプの良質パズルゲームです。Winning Blimpさんはデザインが非常にスマートで、ゲームも味がある。


こちらは御馴染みプチデポットさん(A-02-b)の『メゾン・ド・魔王』。訛り実況のキリンさんもお気に入り、生活感溢れるタワーディフェンスだ。このゲームに関しては実況を見て貰うのが一番良いだろう。夏には何と3DSでもリリースされるとの事、世界征服は順調に進んでいるようだ。

代表であるめづかれさんとは今日初めてお会いした。初めまして、NIGOROさんから色々お話伺っております。「おお、有難うございます!MSXユーザだそうですね、イーアルカンフーっつたらイーガー皇帝の逆襲の事ですよね!」、ぬお、その通りです。けっきょくなんきょく大冒険じゃなく、夢大陸アドベンチャーです。「ですよね!」、そこから非常にディープかつレアなお話を沢山聞かせて頂き(西と東の話など)、腰が引ける。BitSummit、右も左もスゲー人一杯ですよ。

ハイドレンジャーさん(D-10)の『Perilous Dimension』。ついに初体験、Oculus Rift対応のシューティングだ。更にはLEAP Motionにも対応しており、僕みたいなオールドゲーマーにとっては未知の世界そのものである。実際にOculus Riftを装着してもらわないと説明出来ないのがもどかしい。仮想世界の遊園地というか。「正面から大きく外れると、急加速して酔いますよ」と言われたのに、気持ち良くなって真上に頭を振って、酔った。

代表である野生の男さん( @yasei_no_otoko )は、僕を見つけてわざわざ声をかけて下さった。有難うございました、お陰で未知の領域に踏み入れる事が出来ました。Oculus Riftのフレームレートの話をしたり、うぉううぉう唸りながら遊ばせて貰っていたら、いつの間にか傍にならむらさんが。これスゲーですよ、とOculus Riftを渡して遊んで貰う。成程、傍から見るとこう見えるのか…

3日間通してずっと興味持ってたんだけれども、いつ行っても人が居て遊びそこねてしまったPlatineDispositifさん(C-22)の『Fallendom』。幸い公式サイトから体験版がダウンロード出来たので遊ばせて貰った。ローグライク+ゼルダ的なアクションRPG。あらゆる行動でダイスが振られ、その目によって攻撃力などが変動するユニークなシステムだ。ドット絵が秀逸でアクションも爽快、メチャクチャ良く出来てます。

他の方がプレイしている間に作者さんにお話を伺ったんだけれども、「ウチは一人サークルで、全部一人でやってます」との事。ええっ、一人!?「はい、10年近く活動してます」、お見逸れしました。Fallendomは昨年のコミケC85で頒布されたそうで、既にご存知の方も多いかもしれない。スイマセン、僕コミケ詳しくないのです…やっぱり一度は体験せんといかんね。

最後は僕らの後輩(と言っても10年以上離れている)である、Team Poyhaymenさん(C-10)の『ラクガキ忍者』。HAL×PLAYISMゲーム制作・販売プロジェクトで校内選抜を勝ち抜き、実際に販売されたゲームの1つだ。オールドスクールなアクションゲームを目指したという本作、僕もリリース直後に遊ばせて貰い、そしてサミエルさんと2人でかなり厳しい意見を連投してしまった。ちなみに彼らとは当時から相互フォローで繋がっている。

実は彼らともPLAYISM2周年の時に会っていた事が判明、改めて顔を合わせて、キツい事を言ってゴメンねと謝った。実際僕らが作った卒業制作のゲームよりずっと良く出来てるし、喜んで遊んでくれている人も居る。でも、だからこそ、ここまで作って何故基本のここが抜けてしまったと歯痒かったんよね。あの時発した辛辣な意見は、偽りなく本心です。

あれから4か月。彼らはめげずにBitSummitにやって来た。多くの耳目に晒される場に、腹を括って出てきたのだ。結果はご覧の通り。おめでとう、Team Poyhaymenさん!

BitSummit MMXIV 特別編 ポリポリ☆クラブin京都

「しゅうさんとこの店、何人くらい入ります?」

随分前の話だ。ニコニコと良い笑顔で話すPANDAさん。もうこのセリフと表情自体がフラグみたいなモンだけど、今度は一体何やらかすつもりですか。「いや、ここ貸し切って生放送やろうかと」、はい来ました。無茶来ました。「ポリポリクラブのメンバーが来るそうなんで、折角だからみんなで集まってワイワイやろうって」、マジですか。「今の所、参加するメンバーは20ちょいで」、いやあのちょっと待って下さい、そんな危険な人らが集団でウチ来るんですか!「何人行けます?」、25…いや、30くらいは何とか。「生放送もやります」、はい!?「じゃ、それで」、それで!?

17時、木村さん・ZUNさん・ならむらさんのトークセッションを終えて急ぎ店へ戻る僕。今日に至るまで、最低30人は来るという計算で準備を行ってきた。オカン、兄、オカンの友人で臨時手伝いに来て下さったMさん、たまたまBitSummit会場に遊びに来ていた鉄の羊毛(居酒屋店員)、僕の5人で一気に店の形を変える。今日だけは、ここは宴会場である。

平行して、ポリポリの配信を担当されている杉山圭一さん( @fiberjelly )、ポリ☆アンナさん( @PORI_ANNA )も来訪、準備を開始。まさかここで、僕のミキサー(MACKIE 1402-VLZ PRO)やマイク(SHURE SM57)が役に立つとは思わなかった。本職である杉山さんに触って貰えるこの喜び。「安いケーブル買うならサウンドハウス一択ですよ、300円とかで売ってますから!」といった美味しい話も沢山聞かせて頂いた。ポリ☆アンナさんともメチャクチャ面白い話をしたんだけども、謎の女性という事なので秘密とする。

ここでポリポリクラブについて簡単にご説明を。ポリポリクラブとは、「30~40代のおっさんゲームクリエイターたちが、お菓子をポリポリ食べながら、真面目にゲームのことを語り合っちゃうUstream(時々ニコ生、時々リアル)番組(公式サイトよ転載)」だ。主催であるOnion Games( A-15-a/C-30)の木村祥朗さん( @yoshiro_kimura )は『moon』『チュウリップ』『NO MORE HEROES』『王様物語』などを手掛けた方で、NHKで放送されて大きな反響を読んだ『れんまん!』の考案者でもある。エリック・シャイー討論会に遊びに来られた時にたまたま声をかけて頂き、今では何故か普通に遊びに来て貰ったり。縁ってホント不思議です。今回木村さんは、独立して初めてのゲームとなるアクションパズル『Million Onion Hotel』を引っ提げてBitSummitに参加、その流れでウチへ来て頂く事になった。

開場。はい、あっさり30超えました。カメラに入りきりません。最終的には40を超え飽和点に達し、流石のPANDAさんも青い顔。更には主役の木村さんたちが放送5分前になっても到着せず、杉山さんもポリ☆アンナさんもヒヤヒヤだった。場内はアクシデントに飢えているダメな大人たちで一杯だ。開始2分前、ようやくタクシーが到着。場内の盛り上がりはマックスに。

それでは本放送をお楽しみ下さい。提供は『野犬のロデム』PSVita版『La-mulana』のピグミースタジオ・デジタルおもちゃ工場長さん( @PygmyStudio )です。

見ての通り、無茶苦茶である。大人しかったのは最初の内だけで、後は生放送そっちのけであちこち大騒ぎになっていた。デベロッパーが、パブリッシャーが、メディアが、BitSummitの運営さんが。飲んで食って、立って座って、闇鍋のような状態が延々と続く。カメラマンも無茶苦茶多くて、生放送を撮影するという訳の解らない状態に突入。遅れて『モンケン』の飯田和敏さん( @iidakazutoshi )たちが、とどめにUnityの大前広樹さん( @pigeon6 )が来店され、もう理解が追いつかない。恐らく今、日本で一番インディーな店になってます。石を投げたら開発者に当たる。

大体ね、ウチの椅子に上海アリス幻樂団のZUNさん( @korindo )が座ってる時点で異次元なんですよ。場のテンションに煽られてか、あの真面目なPLAYISMの水谷さん( @playismJP )が出演と同時に壊れ、あのボコスカウォーズを作ったイタチョコシステムのラショウさん( @itachocosystems )が舞い(しかも全員でボコスカウォーズの歌を歌う)、Maruchuさんが( @Maruchu )ニコニコで自分が提供した番組の宣伝(!?)を行い、ええいもう誰がまとめるんだこの場を。

一方その頃二階の荷物置き場では、天谷君の師匠であるnao_uさん( @nao_u )さんが「ホントはBitSummitに間に合わせたかったんだけど…」というオリジナルゲームを公開、サミエルさんやduplexさんによる品評会が行われていた。自由過ぎる。下の写真は我らが悪い大人の長であるtaigooooさん( @taigoooo )による写真。特等席羨ましい。

しっちゃかめっちゃかの内に生放送は終了、そこからまだ飲み会は続く。流石に僕らスタッフも体力が持たずにグッタリ、元から衰弱していた僕は干からびそうになっていた。24時を過ぎて少しずつ解散し始め、全ての片付けが終わったのは26時過ぎ。手伝って下さったtaigooooさん、Maruchuさん、QのIさん、鉄の羊毛に深い感謝を。

しかしまあ、とんでもない盛り上がりを目の当たりにしちゃったな。2年前のあの頃は『インディーゲーム』なんて単語、ほとんど見かけなかったのにね。気付いたら色んなジャンルの色んなの人たちが立ち上がって、スクラム組んで、突き動かして。勿論今日来られなかった人たちも一緒になって、今まさに、僕らは黎明期の真っ只中に居る。こんな面白い事、そうそう無いよ。幸せです。

BitSummit MMXIV TPM.COさんとの出会い

リストの中にその名前を見つけた瞬間、声を上げそうになった。『TPM.CO SOFT WORKS』さん(C-10-a / E-14)が居る。知る人ぞ知る伝説の投稿者さんが、BitSummitにやってくる。

小学2年生の頃。発売から1年経っても大人気のファミコンを尻目に、我が家にやって来たのはテレビに繋げるホームパソコン・MSX2(Panasonic FS-A1mk2)だった。「ゲームソフト買ったらそればっかやってアホになるから買わん」という親の方針の元、図書館でゲームプログラミングの本を漁る毎日。じき、とある雑誌と運命的な出会いを果たす事になる。徳間書店の『MSX・FAN』だ。

ファミマガの兄弟誌でもあるこの雑誌、MSXのゲーム情報なども満載なんだけども、何といっても一番人気は読者投稿プログラムコーナー『ファンダム』だった。毎月10本前後のアマチュア投稿プログラムが採用・掲載され、採用者には自分のゲームが入ったROMカセットが送られてくるという夢のようなコーナー。採用されたプログラムはどれも輝いて見え、僕ら兄弟はこぞって入力したものだ。遊ぶために入力をする、それは僕らにとって当たり前の行為だった。後期になったらオマケディスクがついて、打ち込む必要も無くなっちゃったけどね。MSX・FANを買ったら、まずはここをチェックした人も多かっただろう。

投稿コーナーと言えば、当然常連投稿者がいる。小粋なミニゲームを連発したり、投稿プログラムとは思えないほどハイクオリティなゲームをリリースしたり。常連投稿者さんはみなユニークで憧れの的だった。Beta.Kさん、Nu~さん、木内ヤスシさん、TEIJIROさん、GENさん、EMGVT-HALT9918さん、Romiさん、HIDEYUKIさん、NAGI-P SOFTさん、YAX-Zipさん、SILVER SNAILさん、OZOさん、川本健二さん、米屋のチャチャチャさん…彼らの名前を見るだけで興奮したものだ。そして。

TPM.CO SOFT WORKS、東郷 生志さん。MSX・FANを購読していてこの名前を知らない人は居ないだろう。一貫してMSX1向けのゲームを作り続け、『まものクエスト』以降とんでもない超大作をリリースし続けた伝説の投稿者さんだ。上記の『GREY COLLEAGUE』を見た時は顎が外れるかと思った。これ、MSX1のRAM32kで動いてんですよ。TurboRでも2+でもなく、MSX1ですよ。何で全方位に1ドットスクロールしてんですかね。しかもこのゲーム、物凄く面白くて。ハンパ無い技術力+ハンパ無い面白さ。TPM.COさんは僕らにとって、神様のような存在だった。

その伝説の人が、どういう訳か目の前に居る。1988年7月号に掲載された『DULVERS』でその存在を知ってから、実に26年。僕らがMSXから離れていった後も、東郷さんはMSX1でゲームを作り続けていた。ブースに置かれた3台のノートPCではエミュレータが動き、右端にはあろうことか実機の、それも2台のFDDが搭載されているという激レアMSX2『SONY HB-F900』が設置されている(上のMacはモニタ替わり)。それらの中で動き回るはTPM.CO最新作の『SRC-RPG(サラチRPG)』。MSX1の32kで、普通に拡大縮小表現が行われている。全くもって意味が解らない。

「今の所、これが最速、これが限界ですね」と話す東郷さん。「PCGをリアルタイムに書き換えて拡大縮小表現してるんですが、奇数倍だとどうしても端数が出ちゃうじゃないですか?そこの処理がキモでして…」、目の前で動いているものがあまりに現実離れしていてボケた質問をする僕。これ、turboRの高速モードじゃないですよね?「勿論ですよ、MSX1で動かないと意味無いじゃないですか」、ですよね、失礼しました。すると東郷さん、笑いながら拡大処理中にctrl+stop。文字化けした『Break in xxx』が表示された。SCREEN1だ、BASIC上で動いてる。僕は声にならない声を上げ、うずくまった。勿論中身はほぼマシン語で作られてるんだけども、この衝撃を、一体僕はどう表現すれば良いのか。

ブース内には『GRAY GROFA』と『タロティカ・ブードゥー』も展示されていた。技術詳細書(タロティカ・ブードゥーは2DDフロッピーのゲーム本体付き!)も販売されていたので即購入。「まさかBitSummitで売れると思わなかったんで、ちょっとしか持って来てないんですよ、さっきも買って下さった方が」と東郷さんは驚かれていた。後でサミエルさんに聞いたところ、「俺らも技術書買ったよ!」と良い笑顔。「そういやさ、これ2DDでしょ?2HDじゃなくて2DD…何処で調達したんですかって尋ねたら、無くなりそうになった数年前に段ボール5ケース仕入れた、って」、何ですって。ならむらさんは「NIGOROさんのこと尊敬してますって言われたけど、逆だよ逆、大先輩だよ」と苦笑していた。

「MSX1で出来る事って、まだまだあると思うんですよね」、真剣な顔で話す東郷さん。Z80の可能性ですか、と尋ねたら、「いや、VDPですね」と。なるほど、そこまでやりますか。東郷さんは心の底からMSXが好きなんだ。もうホントに嬉しくて嬉しくて、ミーハーで申し訳ないのですが当時の雑誌にサインを頂いた。僕ら兄弟(まものクエストIIは兄が入力したっけ)が入力した痕跡を見せると、東郷さんはとても喜んで下さった。いやいや、お礼を言うのは僕らのほうです。MSX・FANのお陰で、ファンダムのお陰で、僕らはここに居るんです。お会い出来て良かった。MSXが好きで本当に良かった。この後、兄も東郷さんに会う事が出来たようで、大層喜んでいた。

その後場内を歩き回り、何度もTPM.COさんのブースを訪れたんだけども、そのたび必ず遊んでいる人が居たのが嬉しかった。それも一人二人ではなく、人だかりが出来ている事も。「サインして貰えますか、って結構言われましたね!」と嬉しい悲鳴の東郷さん、どうやら僕らみたいなファンダム野郎は少なくなかったようだ。BitSummit中、一番反応があったのが上記のtweetだ。MSX still alive!

余談だけれども、TPM.COさんの真後ろにOculus Riftを使った株式会社Viteiさん(C-10-b / E-13)のブースがあったのも面白かった。恐らく、会場内における最新技術と最古技術が背中合わせだったんだから。ちょっと離れた所にはファミコン実機を持ち込んでるRIKIさん(C-06 / E-05)も居られて、僕の中ではBitSummitで一番アツい場所だった。

BitSummit MMXIV Public Dayの出会い(1)

ピコリンネソフトさん(D-4)の『INFINOS2』。画面を見た瞬間に足が止まり、吸い込まれるように台へ座ってしまった。誰がどう見てもモロ80年代の横シューである。1レバー1ボタンの超シンプル仕様、撃って避けてちょっとだけパワーアップして。蛇足は一切無い。

開発者さんにお話を伺ってみる。あのう、お二人とも若そうに見えますけど…「はい、僕ら学生卒業して数年の20代です」、答えてくれたのはRYOさん( @picorinne_soft )。何でまた80年代の、僕らみたいなオッサンホイホイなシューティングを?「いやあ、好きなんですこういうのが」、渋いなあ!これ、1ボタンなのもやっぱり?「はい、ボムとかは邪道だと思って」、その若さでエラい世界に足を踏み入れちゃったね、歓迎します。プレイ中、幾つか気になる点があったので報告したんだけれども、それ以外はかなり出来が良くて、特にステージ構成が解り過ぎていて怖い。ちなみに彼ら、BitSummitがチームとして初参加のイベントで、関東から車を飛ばしてここまで来たとの事。素晴らしい根性だ。

こちら、本日の僕的ナンバーワンであるKIDD GAMESさん(B-04-a)の『Sheeeeep』。走り続ける羊をタッチで左右に動かし、障害物を避けたり花を食べさせたりする単純な内容なんだけども、レベルが上がると羊が増えてパニックになる。10点マルチタッチ対応で、手の形をせわしなく変えながら羊を動かしていくスタイルが斬新かつ面白い。障害物に引っかかって画面下まで流された羊は狼に食べられてしまい、連続で何匹か食べられてしまうとゲームオーバーとなる。見た目はポップだけれども細かい所までキチッと作られていて、実に完成度が高い。特にアニメーションがお見事。

「複数人で遊んでも楽しいんですよ」と話すのは、開発者であり中国から留学中の姚(ヨウ)さんと謝(シャ)さん。現在も開発中との事で、リリースが待ち遠しい一作だ。どうせやるなら大きなタブレットの方が良いだろうなあ、これ老若男女問わず絶対にウケますよ。

新しい出会いもあれば、懐かしい再会もあるのがBitSummit。Metanet Software Inc.さん(C-20)の『n++』。まさかここで、あのFLASH忍者ゲー『n』の続編に出会おうとは。動いてる線画の忍者を見た瞬間、十数年前の記憶が一瞬にして蘇った。遊んだよ、メチャクチャ遊んだよこのゲーム!どうやらこれは、nシリーズの三作目にして最終作になるらしい。プラットフォームはPS4。今でも初代のnは公式サイトで遊べるので是非。壁ジャンプが出来る忍者を操り、ドアスイッチを押してから脱出するシンプル&スタイリッシュなアクションゲームだ。

日本語が話せないとの事だったので、必死に英単語を並べて話をさせて貰ったんだけども、開発のMare SheppardさんとRaigan Burnsさん( @metanetsoftware )はカナダはトロントからやって来たそうだ。当時メチャクチャ遊んだ事、デザインもゲームバランスも素晴らしい事、続編が出て興奮している事をジェスチャー交じりに話す36歳。英語力の無さを痛感したけども、それでも伝わるんだからガンガン行くべきよね。ポストカードにサインを頂き、バッジとシール、更には握手もして頂いた。嬉しい限りだ。

Japanese Flash Game Developers & mogera.jp(C-13~15)には王の巣窟の『RokkoChan3D』が置かれていた。またとんでもない隠し玉を持って来たなキングさん( @king_75 )。「ほぼ3週間、寝ずに頑張った突貫工事なんですけど…」と謙遜するが、しっかり遊べるようになってるじゃないですか。「Unityだとかなり早く作れますね、アセットストアにも随分助けられました」、なるほど。当たり判定などに怪しい場所が沢山あったけど、時間をかければかなり良い形になるんじゃないだろうか。ゲームは現在公式サイトからダウンロードが可能だ。

TGSで震えていたキングさんはもう何処にも居ない。正しい自信は人を強くする。ちなみに稲船さんからは「愛が足りない(作り込みが足らない)」と言われたそうで。そんなキングさんの次回作はオリジナルとの噂ですが、そこんとこいかがなんでしょうか。

何度も前を通っている内に、気になって近づいたPixelCrusadersさん(B-17-b)の『Wizards The Magical Concert』。タイミングを見計らって花火をタップし炸裂させていく、リズムゲームに近いアクション。レベルが上がると一気に上がる花火の数が増え、軌道も複雑になる。これもまたマルチタッチを上手く使った面白い操作方法だ。花火の形によってはスワイプで一気に連爆という事も出来る。どうやら先月、iOS向けに発売されているようだ。

代表でありデザイナーのIo Moutafoglouさん( @wizards_io 「苗字がやたら難しいから、Io(イオ)と呼んでくれ!」と言われた)に話を伺う。そもそもなぜこのブースが気になったのかというと、Ioさんから「日本語が出来なくてコミュニケーションが取れない」という雰囲気が出ていたからだ。ブース上には日本語の説明ポップなども無く、これは苦戦するやろうな、と心配になって片言の英語で話し掛けたら沢山話をして下さった。折角ゲームは面白いのに、勿体ないな…と思うんだけど、それをどう英語で伝えれば良いのか解らず頭を抱える。が、この件に関して、次の日に驚きの展開が待っていた。

企業ブースにも恐ろしいものが用意されていた。こちら株式会社ウェブテクノロジさんに置いてあった『GAIA(妄想版)』。これを見てすぐ理解出来た人はMSXクラスタの、それも相当濃い人だと思う。GAIAは本当に存在しているのかどうかも怪しまれ、一部で熱狂的なファンが存在する幻のMSXソフトなのだ。今回、愛に溢れるウェブテクノロジさんの総力を持って、GAIAが具現化してしまった。ここ、企業ブースですよね?

「これ、起動するとちゃんとMSXのタイトルから始まるんですよ」と嬉しそうに話すは同社の営業マンである烏丸さん( @Karasuma_usb )。「ちゃんと作り込めてなくて、右端まで歩くと壁ブチ抜いて画面外に落ちます」、そのバグすらMSXらしく見えるのは何故。「当時の説明書に、移植出来た人連絡して下さいって書いてあったから連絡しないと…」、なるほど、これUnityで動いてますもんね。えーと、えーと。

念の為フォローしておくと、大きいモニターのほうではちゃんと企業のPRも行われていまして。La-Mulana2でも使用しているという超汎用2Dスプライトアニメーションデータ作成ツール『OPTPiX SpriteStudio』のデモが流れていました。インディー向けに無料ライセンスも用意されているので、膨大なスプライトパターンでお悩みの方は是非ご検討を。メチャクチャ優れたツールです。

何処で紹介しようか迷っている間に入れ忘れるという失態を犯してしまいました、申し訳ないですPLAYISMさん(A-04)。今や国内インディー界で知らぬ者は居ないレベルに成長したダウンロード配信サービスだ。愉快なジョシュさん( @BudokaiMR2 )、ナイヤンさん( @thetrin )のコンビも勿論健在だ。今日は名作『Papers, Please』などの最新作を持ち込んでいた。NIGOROさんとクアッドアローさんに挟まれているとあって、両方からスタッフが行き来する状態に。余談ですが、ジョシュさんはイベントが終わって帰宅してから、またゲームやってたらしいです。ツワモノ過ぎる。

そしてもう一人、ITmedia ねとらぼの記者イケヤさん( @tekken8810 )。洞窟物語のウラガワで司会をして頂いた事から知り合い、以来インディー系のイベントでは必ずといって良いほど顔を合わせ、お世話になっている方だ。前日まで強烈なカゼを患っていたという事もあり参加が危ぶまれたけども、何とか無事に京都までやって来られたようで。病人同士、久々の再会。

上記の記事にもあるように、今回イケヤさんは自費で京都まで取材に来られたそうだ。色々話を伺っている中で、ああ、やっぱりプロは違うなと痛感させられる事が幾つもあった。そして仕上がったのが上記の記事。身体を張ったり、三枚目なキャラを押し出しているいつものイケヤさんは何処にも見当たらない。ホンマにゲームを愛してるんやなあ、こんな熱い人やったとは。イケヤさん、また今度ゆっくりゲーム談義しましょう。

BitSummit MMXIV Public Dayの驚き

BitSummit2日目。いよいよ今日から一般日となる。9時間睡眠でかなり回復した僕、開場1時間前にみやこめっせへ到着した。前日と比べて2倍の広さとなった会場に圧倒される。いやはや、ホンマに1F全部使っちゃうのね。このデカいみやこめっせを、ワンフロアまるまるインディーゲームが占拠している光景。ゾクゾクする。

NIGOROブースに顔を出すと、既に全員集まって準備が行われていた。さとうさんが缶バッジ用くじびき箱を作り、サミエルさんとduplexさんがギリギリまでゲームの調整を行っている。今回のバージョンから新動作である『伏せ』が出来るようになったのだ。この状態で鞭も振れる。「この2014年に、新たなアクションとして『伏せ』を実装しました!って、ウチらしいよね」、サミエルさん談。

開場時間が近づいてきた。地下鉄の吊り広告やNHK京都放送でのミニ特集、様々な形で宣伝が行われてきたBitSummit。twitterで検索する限り、そこそこ話題にはなっているようだが、果たしてどれだけのお客さんが来てくれるのか。ドキドキしながら、ロビーへ足を運んだ。

うおっ、

マジですか。

開場5分前、待機するお客さんの列は東側入口の前にまで伸びていた。あまりに嬉しくて場内にとんぼ返りし、辺りの人らにお客さんメッチャ並んでる!と伝える。「マジで!」「来たか!」一気に高まるテンション。これはエラい事になるぞ。さあ、開場だ!

が、受付が一つしかなく、配布物などの手渡しもあって、実に緩やかな入場シーンに。もっとこう、ドーッと来てですね、はい走らないで下さい落ち着いて下さいみたいなですね。いや良いんですけど。

何だこれ、何だこれ。何処へいっても人、人、人。どのブースにもお客さんが居る。ある程度は入ってくれると思ってたけど、こんなフィーバーするとは思わなかった。参加したチームの皆さんもメチャクチャ笑顔になっている。やっぱ不安やったやろうね、地方開催の未知のイベントやし。でも皆さんの頑張りもあって、これだけお客さんが集まったんやと思います。いざ、祭りじゃ祭りじゃ。

場内を歩き回って気が付いたのが、お客さんの層の広さ。カップルや女性同士で遊びに来ているお客さんも居る。インディーゲーム、いつのまにそんな広い層に…いや単に、ゲームの面白そうなイベントやってるから来たという可能性もあるけども。「このイベントを何で知りましたか?」とかの来場者アンケートを取ったりしてたんだろうか。余談だけれども、特にクアッドアローさん(A-02-a)の『EF-12』にはひっきりなしに女性の方が来られ、寿司を堪能されていた。寿司モテモテ。

場内で目立ったのがまゆまろ( @kyotomayumaro )の存在。まゆまろの往く所、人だかりが出来る。この体型でゲーム出来んかいなと思ったら、案外頑張れるんだから大したもんだ。NIGOROブースでも面白い事が沢山あったんだけど、これは後ほどに。

そしてもう一つ目立ったのが、ソニーのスタッフさんの存在。『PS Love Indies』と書かれた真っ青なTシャツを着て、様々なブースのゲームをプレイし、開発者さんと真剣に話し合っているシーンに何度も出くわした。遠目に見ていても彼らの本気度が伝わってくる。だからこそ、なおの事、このページもうちょっとどうにかですね…

さて、次のレポートはこの日に出会ったチームとゲームのご紹介をば。

BitSummit MMXIV Media Dayの出会い

ここからは昨日の設営時と今日のメディアデイに出会ったゲーム・チームをご紹介。僕自身が熱心なレトロゲーマーなので、かなり偏りがありますがご了承を。このとんでもない腕章は、さとうさん( @Satohk1 )が用意してくれていました。出発2時間前に完成したそうです。貴重な時間を使って何してくれてるんですか。ちゃんとこれ付けて場内歩き回りましたよ。ああもう恥ずかスー。

まずはハチビッツ ファナティクスさん(C-07)の『1001 Spikes』。針山地獄とも言うべき迷宮内を突破していくアクションゲームで、エゲつないトラップ満載の死にゲーだ。本作はAban Hawkins & the 1000 SPIKESの続編なんだけども、導入部分が前作よりマイルドになっていて初心者でも安心。不安になるくらい安心。少し進んだらいつも通りなんだけども。

個人的な話で恐縮なんだけれども、作者のヲサ田サムさん( @wo60000 )は今回のBitSummitで絶対お会いしたい人の一人だった。だって、ハチビッツ ファナティクスさんですよ。僕らの学生時代からハイレベルなゲームネタ画像作ってる人ですよ。洞窟物語のウラガワにハイクオリティな絵を投稿してくれた人ですよ。あの『きよしの挑戦状』をツクール(!)で作った人ですよ。コンシューマ版洞窟物語と同じパブリッシャーという事で天谷君は何度も会った事があるらしいけど、どんだけ羨ましかったか。

昨日の設営中の話。たまたま近くで、1001 Spikesのポップを置いてあるブースを発見した。近づいて行くと、傍にいた男性から「ひょっとして、宮澤さんですか?」と声が。ヲサさんだった。おお、初めまして…って、何で僕のこと知ってるんですか!?「いや、カメラ持ってる背の高い人って聞いてたんで」と人懐っこい笑みを浮かべるヲサさん。「天谷君からも聞いてます、BumperBumpも遊ばせて貰ってますよ!」、ぎゃあ。あのヲサさんが、僕のゲームを遊んでる。もうこれ以上ない位に恐縮した。

聞けばヲサさん、本当は2人態勢で来る予定だったんだそうだけども、トラブルが発生して自分一人京都へやって来たそうだ。右も左も解らない状態との事だったので、出来る限りの情報をお教えしてサポートする事を約束する。3日間、頑張りましょう。

続いてはDot Warrior Gamesさん(B-01-b)の『BLOCK LEGEND』。レトロチックなアクションパズルRPGだ。現場では音まで聞こえなかったんだけれども、メチャクチャ良いチップチューンじゃないですかこれ。ゲームルールは単純明快、2つ以上くっついているブロックをタップして消す、これだけ。ただ、本作にはかなり色濃いRPG要素があり、レベルアップあり、買い物有り、モンスターとの戦闘有りで、どの場面でどのパネルを消すかの選択を迫られ続ける訳だ。

作者のAlivi Phuさん( @datponpon )はアメリカ出身で東京在住のソフトウェアエンジニアさん。「
日本のレトロゲームが大好きで、アメリカのゲームと日本のゲームを融合させたものを作りたかった」そうだ。BLOCK LEGENDは何と本日iOSにてリリース、Androidでも発売されているとの事。現在は英語表記のみなんだけども、「いずれは日本語でもリリースしたいですね、やっぱりドラクエみたいに平仮名だけが良いですか?」との拘りを見せたAliviさん。僕も平仮名オンリーが良いと思います。

この日、僕が触った中で一番グッと来たのがFunktronic labsさん(B-05)の『NOVA-111』。基本はターンベースのローグライクなんだけども、幾つかリアルタイムで動くキャラが居て、これらが絶妙のバランスで成り立っている。突如リアルタイム敵に囲まれ、急いで倒そうとしたらターンベースの強敵がハンパない勢いで肉薄というパニック具合はなかなかのもの。デザイン良し、音楽良し、世界観良し、ゲーム性良し。隙が無い。非常に良く練り込まれており、プレイしながら何度も唸らされた。現在もまだ作り続けているとの事で、リリースされたら間違いなく購入するゲームだ。

Funktronic labsさんは基本2人で、何人かのサポートメンバーが居るという小規模開発チームだ。全員京都在住の外国人だそうで、代表はEddie Leeさん( @eddietree )。そう、以前僕ら悪い大人が迷惑をかけてしまった、あのEddieさんだ。TGSにも参加されていたそうなんだけども、あの時にはお会いする事が出来なかった。まさかこんな形でお会いする事になろうとは。パンイチ腕章を見せ、謝りに謝る僕。Eddieさんもすぐ僕を解ってくれたらしく、「大丈夫よ、No problem!」と笑って許して下さった。他のメンバーさんにも腕章を見せ大笑い。ぼく汗びっしょり。おそろいのロゴ入り黄色Tシャツに黄色のハッピと、実にお祭り感たっぷりのチームです。

ひときわ異彩を放っていたのがRIKIさん(C-06)の『キラキラスターナイト』。以前動画で拝見した事があったんだけれども、まさか京都にまで来て頂けるとは。ご覧のとおり、ファミコン実機にオリジナルのROMが挿さっている(写真有難うございますtaigooooさん)。この時点でも若干ビビるのだが、ゲーム画面で更にビビる事に。僕が撮影したVineのビデオと、Youtubeに上げられている前バージョンのビデオ、大きく違う所があるんだけども解るだろうか。そう、地面を見てみると、今回のバージョンでは背景がラスタースクロールしているのだ。他にもスプライト64枚出して処理落ちしない(スプライトダブラーでは無かったそうです、失礼しました)、チラツキを最小限にまで抑え込むなど、見たことも無いような技術満載。どうなってんのこれ。

ハアハアしながら画面を見てたら、RIKIさん( @riki2riki )に声を掛けて頂いた。RIKIさん自身はプロの漫画家・イラストレーターで、ゲームが好きでチームを作り、こういった活動を続けられているそうだ(RIKIさんはグラフィック担当)。「ROM焼いたりもしたんですけど、これがなかなかコストがかかって…」なるほどガチですね。すぐ隣にはオリジナルハード(!)の格闘ゲームまで置いてある。これ、パッドMSXのやつじゃないですか!「いやー、このハードATARI規格なんですよ」爽やかな笑顔でサラッと言い放つRIKIさん。漫画家さん、ですよね…?

こちらはクアッドアローさんの『EF-12』。各地で話題をさらっている3D格闘MODだ。遊ぶだけでは無く、作る事も出来る非常にクオリティの高いソフトなんだけども、キャラコンテストを行ったら何故かカオス(かつハイクオリティ)なキャラばかりが集まる稀有(?)なソフトでもある。これが無料だって言うんだから恐ろしい。今回BitSummitでは、メッチャ強いボスキャラを3体引き連れて、『俺たちを倒してみろキャンペーン』を行っていた。これがまたアツくてですね。僕も事前にテストプレーヤーとして参加させて貰ってました。

ブースのほうにはクアッドアローの代表である小野口さん( @EF12project )と、悪い大人たちの縁で繋がったコッペリアさん( @doll_coppelia )が仁王立ちしていた。かつてPLAYISMさんの2周年パーティーで、足を使ってLa-Mulanaをクリアした、あのコッペリアさんである。新しい足コントローラを携えて、遠く石川からやって来たのだ。上記の寿司と彼のプレイは大いに耳目を集め、EF-12界隈は常に盛況だった。このあと彼とも対戦をしたんだけれども、その話はまた後日に。

そして現れましたMaruchuさん一派(B-04)。名古屋のHSPレジェンドMaruchuさん( @Maruchu )、ゲームジャマーのくるくるさん( @mkd214 )たちが集まっているテーブルだ。それぞれ先日開催されたGlobal Game Jam(通称GGJ・初顔合わせの人同士が48時間で1つのゲームを作る全世界同時開催のイベント)で作ったゲーム『TRIRIS』『Janken Tag!』を持ち込んでいる。同じくGGJに参加していた久野裕介さん( @YusukeHisano )、Hiroshi Ogawaさん( @hiropon808 )、matsudasuさん( @matsudasu )も一緒に参戦。すぐ隣のテーブルには樹さんが居られるんだけども、彼の紹介は後日しっかりさせて頂く。ここのメンバーとは、何かと色んな場所で顔を合わせているよなあ。

パズルゲーム大好きのMaruchuさん、イチオシはと聞くと「『EXITRIS』ですね、一番気に入ってます!」との事。さんざん『ぐっすんおよよ』と言われたそうな。あちらと違い、こちらはバンバン振り続けるブロックをマウスで並べるちょっとユニークなゲームだ。隣のテーブルのくるくるさんは会期中に結婚式があるそうで、「今日は正装で来ました!」とスマホ版JumpGun片手に良い笑顔。うむ、会場内で一番ジェントルマンに見える。

写真を撮影したのに掲載し損ねていたノベクタクルさん(A-10)、大変申し訳ございませんでした。ブースでは開発に4年の歳月を費やした珠玉のビジュアルノベル『ファタモルガーナの館』の英語版デモやノベルスフィア版デモを初公開。日本語版の売上を全てローカライズに回しているとの話だったけども、来ましたかついに!サミエルさんがしきりに「ファタモルはもっと評価されるべき」と言ってたけど、世界デビューすれば一気に…

代表であり、『レイトン教授VS逆転裁判』のゲームデザインも手掛けた縹けいかさん( @hanadakeika )とはPLAYISM2周年の時にお会いしてたんだけども、なかなかちゃんとお話する機会が無かったので良い機会になった。「よく間違われるんですが私はシナリオライターで、絵は彼なんですよ」と靄太郎さん( @moyataro3 )を紹介して頂く。更に劇中歌を歌われているがおさん( @GaoAquila )まで居られ、「普段みんなバラバラの所で引き籠ってるから、これだけ集まるのはレアなんです」と縹さん。チームの皆さんはみな『この世は腐った水の底』Tシャツを着用していた。何となく『水曜どうでしょう』を思い出しますねと話すとバカ受けしてくれた皆さん。スイマセン要らんこと言いました。

今日は体力が尽きたのでここまで。少し見てはロビーで休憩、少し見てはロビーで休憩を繰り返し、何とか最後まで参加出来たけども、taigooooさんに支えられる形で帰宅、21時には床に就き、泥のように眠った。今日回れなかった分は、明日から一気に取り戻す。

BitSummit MMXIV Media Dayの安堵

大袈裟でも何でもなく、起き上がるのがやっとの状態。取り敢えずPANDAさんに入電、相当ヤバいけど何とかして顔出しますとだけ伝える。幸い僕以外のメンバーはみな元気だった。じゃあ一体何で僕だけ。何にせよ、僕が居ない=カメラマンが居ない(PANDAさんはカメラを持ってきていない)という事になってしまうので、這うようにして家を出る。液体以外を口にすると吐くという極限状態。ポカリスエットとウィダーinゼリーだけ購入して、開場ギリギリで何とか会場へ到達した。何もしていないのに、息が切れる。

パスを貰って中へ足を踏み入れると、そこは薄暗いクラブのような、しかしそれでいてゲームの熱気溢れる空間になっていた。各ブースやテーブルは全てスポットで照らされ、スモークのようなものが焚かれている。遠方に居るまゆまろを撮影したら、ハッキリ写り込む程度にスモーキーだ。この記事の画像は全て明るめだけれども、これはフラッシュとPhotoshopの力です。ホントはもっと薄暗いです。

驚いたのは各チームが用意したポップやディスプレイの力強さだった。巨大なモニターを複数持ち込んだり、ポップスタンドも巨大な吊り下げ等を用意していたりと企業ブース顔負け。特に感心したのが上記写真の飛翔システムさん(A-04-b)。「何だよ、何処もかしこもガチ過ぎんじゃねえか!」と狼狽するPANDAさん。

いやはやこれは予想外だった。右も左も、新作や最新バージョンのゲームが溢れかえっているじゃないか。地元から、関東から、地方から、海外から。大手と言われるチームも、個人のチームも、持てる力を全てここにぶつけているのが解る。出展者も遊ぶ側も、みんな目を爛々とさせている。どんどんお客さんが入ってくるけども、通路は十分な広さがありふさがる事はない。いける、今年のBitSummitはいける。あちこち歩き回り安堵した僕は、一旦ロビーへ出てベンチに座り込み、そのまま動けなくなってしまった。

恐らく国内最大の、インディー開発者たちのお祭りであるBitSummit。初めての開催となった昨年は、運営側も参加者も勝手が解らず、また会場のレイアウト等に難があったために全体的に消化不良のまま終わってしまった。だからこそ今回は、という思いを持っていた人も多かっただろう。僕もその一人で、宿情報を流したり場内地図を作ったり、出来る事は何でも手伝わせて貰った。蓋を開けてみるまでは不安だったけれども、運営の皆さんの努力と参加している皆さんの情熱で会場は凄い盛り上がりになっている。良かった。本当に良かった。

BitSummit MMXIV 前夜祭

ついに明日からBitSummitだ。今まさに、沢山のゲーム開発者たちが京都入りを果たしているのだろう。勿論我らがNIGOROさんも京都へやってきた。「取材を受けるので場所を貸して下さい」との事で、店のテーブルを一つ貸してゆっくりしてもらう事に。取材内容についてはじき公開されると思うのでここでは触れないが、何だろう、危険な言葉ばっかり飛び交ってたのは気のせいか。どういう記事に仕上がるんだろうか。

そうそう、ならむらさん( @naramura )に会った瞬間に例のアレを詰問されました。目を合わせられませんでした。

無事取材も終わり、さあボチボチみやこめっせに資材を運びますかという段階でPANDAさん( @shoji_nakamura )が声を上げる。「duplexさん、取材受けてるのに頭モサモサ過ぎ」、ここでまさかの散髪タイムに突入、近場の安い散髪屋に駆け込んで貰った。以下、劇的ビフォアアフター。

何だこれ。折角だからご紹介いたしますと、左からNIGOROのボスであるならむらさん(ディレクター・グラフィッカー・サウンド)、長老のduplexさん(プログラマー)、武闘派のサミエルさん( @Samieru_NIGORO プログラマー・サウンド)の愉快な3匹です。この愉快な人らがLa-Mulana2作ってます。余談だけれどもduplexさんは九州からの来訪で、上着も無しにこのクソ寒い京都をウロウロしていたそうで。あまりに気の毒なので、会期中は僕の上着を貸す事に。

資材を積み込み、いざみやこめっせ。道中La-Mulana2の裏話がポンポン飛び出す。「どうしてみんなニーズヘッグを倒そうとするかねえ…」と話すならむらさん。「確かあれ、ダメージは通るけど倒せないって設定じゃなかった?」「いや、あれ俺が倒せるように変更したんですよ」、こちらサミエルさん。「それでか!ヘタに倒せるようにしたから、余計に苦しむ人が増えたと」、車内が悪い笑いに包まれる。「登場シーンでビビらせて逃げて貰うって狙いだったんだけども、ウチのプレーヤーみんな毒されてて、あれくらいじゃ逃げないみたいで」、ゲラゲラ笑い続ける僕ら。

程無くみやこめっせへ。事前に分かっていた事だけれども、場内はかなり広い。テーブルの数も多いし、ステージもデカい。この時点で去年のBitSummitとは比べ物にならない規模なんだけども、明後日以降はこれが更に倍になるんだから恐ろしい。導線も確保できているようだし、準備されている機材やスタッフも十分のようだ。これで取り敢えずの心配はなくなった。

今回NIGOROスタッフはかなり数が多く、社長のPANDAさん、ならむらさん、duplexさん、サミエルさん、ニュージーランド(!?)から訳者のSさん、明日から参戦する千葉のデザイナーさとうさん( @Satohk1 )、神奈川の技術屋であり我々悪い大人の長であるtaigooooさん( @taigoooo )、そこに僕が加わった総勢8名。大所帯である。更にはいつもお世話になっているPLAYISMさんや、PSVita版La-Mulanaでお世話になっているピグミースタジオさんなど、関わっている人たちを上げると恐ろしい数になる。上記の写真は、スタッフ一同による内職作業の様子。一つ一つ心を込めて、皆さまにお届けいたします。作業してるのはオッサンばっかりですけど。

設営作業も終わり、居合わせた皆さんで近場へ飲みに行く事となった。一旦NIGOROさんのホテルへ荷物を置きに戻り、店へ向かおうとした矢先にEF-12の小野口さん( @EF12project 通称・覇王)と遭遇。まさか同じ宿やったとは。折角なので一緒に飲みに行く事に。かくして、デベロッパー・パブリッシャー・メディア・開発支援会社など、何が何だか解らない組み合わせによる13名の飲み会がスタートした。

で、最初の話題が何って、僕のパンイチ話ですよ。このメンツで、何でパンピーの僕の話になるんですかね。まあならむらさんが「彼がパンイチマンです」って焚きつけたからなんですけども。「ああ知ってる知ってる、TL上でよく見かけるよね」何で知ってるんですかW社のAさん。「どうせならここのメンツで立派なパンイチマンを作り上げてですね」やめて下さいならむらさん。「素体ならすぐ用意出来ます」やめて下さい覇王。「パンツ部分はパーティクルで作って、ダッシュとかすると慣性で置いて行かれる形で」「エフェクト部分はウチのソフト使って下さい」「最終的にはUnity上で動かせるようにすれば良いですか?」ちょっとまって何言ってんのこの人ら。初対面の、パンピーですってば。違いますパンツピープルじゃないです。

ゲーム開発者はロクに飯を食わない話。日頃カロリーメイトばっかりの覇王と、ぼんち揚げばっかりのサミエルさんの殴り合いが始まった。「カロリーメイトは栄養バランス食なんだよ!?」「何言ってんすか、ぼんち揚げは米で出来んですよ、日本人の主食の米!」「ぐ…確かに3D化した場合、面白みがあるのはぼんち揚げ…」あ、覇王変な方向に走った。まあ僕に言わせれば、ちゃんと毎食普通のご飯食べましょうよと。「何だぁ!?カロリーメイトディスってんのか!」覇王やめて下さい。

突如覇王がクエスチョン。最近僕らの間で流行っている『ゲーム画面トリミングクイズ』なんだけども、「このパンイチマンは古いゲームならどんなトリミングでも当てる変態なのよ」と酷い紹介をしてくれた。しかしこれ何だ…パッと見では解らず、皆で回して検討し合う。歴戦の兵が集まってるんだから、誰か一人くらい…「ヒント、これ知らなかったら業界干されるくらいに有名なゲームです」、あ、これ森と道か。ゼビウスですか。「変態!」、失礼な!

第2問。が、これは流石に瞬殺ですわな。回し見て貰ったら結構な数の人が解ったみたいで僕も一安心。ほら、僕だけじゃないんですって。僕普通なんですって。と、ここでtwitter経由で見知らぬ外国の方から答えが飛んできて全員噴飯。後で解ったんだけども、フランス人ゲーム記者のアンさんだったのねこれ。

会はさらに暴走。たまたま近くで飲んでいるというC社のIさんを呼び出し、「おうパン買ってこいよ」などの傍若無人大会が始まる。一応念の為に言うておきますけど冗談ですからね。てか、Iさん既に酔っぱらって足元おぼついてないですけど大丈夫ですか。「いやあ大丈夫です、それより今日は僕いろいろ(ry」、あ、ヤバい雰囲気になってきた。会場大盛り上がり。「よし録音だ!」と嬉しそうな覇王。やめてあげて下さい。インディー界隈こんなんばっかりか。「大体インディーなんて怪しげなモンやってる連中にマトモなヤツなんて」ならむらさんが言うと説得力が。

散々ぱら酷い殴り合いをして、ようやく解散という事に。全員すでに打ちあがった感があるんだけども、残念なことに本番は明日からです。大人しく帰って寝ましょう。京都人が僕しか居ないということ最寄駅やホテルまでみんなを誘導して、僕も終バスに乗って帰還。用事を済ませて布団に入り、さあ目が覚めたらBitSummitだとワクワクしながら目を閉じた。

が、そのワクワクはものの数分で吹き飛ぶ事になる。布団を飛び出し、洗面にもたれ掛り、何度も何度も吐き続ける僕。まさかの食中毒だった。その日結局、一睡もする事は敵わず、全てを吐き終えた頃には朝を迎えていた。

悪い大人の名刺制作祭

突如TL上で始まった名刺制作祭。BitSummitに参加するコッペリアさん( @doll_coppelia )が名刺を持っていないという所から始まり、周囲の人が凄い早さで案や素材を提供、僕が一気に仕上げるというコンビネーションだった。いやあ、出来る人が集まると早いわ。僕が一番チンタラしてたんだけれども、それでも時間内にしっかり組み上がって入稿まで行っちゃうんだから大したモンです。こういう作業、楽しいわ。

炎のゲーム月間

ついに始まった炎の一週間、と思ったら一週間どころか10日もあったんだけどね。どっちかというと、ゲーム月間か。さあ、体力の続く限り頑張るぞ。

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