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2014-03-09

BitSummit MMXIV イントロダクション

こちらは2014年3月7日(金)~9日(日)、京都のみやこめっせで開催された『BitSummit MMXIV』のイベントレポートです。期間前後の記事も少しだけ掲載しております、上から順にお読みください。

BitSummitとは?

年に一度、国内最大の規模で開催される『インディーゲーム(個人・小規模・独立開発など)』をテーマとしたゲームサミット。今回が2回目の開催となり、100チーム以上のインディー・同人ゲーム開発者たちが京都に集結しました。また、今回より京都府さんの力強いサポートを頂き、KYOTO CMEX2013のトリを飾る一大イベントになりました。

開催日程は2014年3月7日(金)~9日(日)の3日間で、初日の7日は1F展示場を半面使用したMedia Day(メディア向け)、8~9日は全面使用したPublic Day(一般向け・入場料500円)。開発チームの参加料は、何と無料です。

著者・Shuhei Miyazawa( @room_909 )について

京都在住、MSXや8bit文化が大好きなフリーのWebデザイナーです。『洞窟物語』を作った開発室Pixelの天谷大輔くん( @amaya_pixel )とは専門学校時代からの友人で、彼がゲームを作り始めた頃から遊ばせて貰った事が僕の人生を変えました。イベント『洞窟物語のウラガワ』にて憧れのNIGOROさんと出会い、以降カメラマンとしてチームNIGOROと行動を共にする機会が増え、現在に至ります。主なレポートは以下の通り。

BitSummit MMXIV 祭の終わり

さて、ここまで沢山のレポートを書いてきた訳だが、何となくBitSummit MMXIVの雰囲気を掴んで貰えただろうか。ステージイベントや企業ブースについては各メディアでもかなり詳しく報じられており、既に僕が書くネタもほとんど無いので少しだけ。Q-gamesさん、伊藤さん( @anatelio )、本当にお疲れ様でした。BitSummit開場直前まで制作していたという『Nom Nom Galaxy』のPV、笑わせて貰いました。余談ですが上記の写真の中に僕が思いっきり写ってます。さて、何処でしょう。Nom Nom Galaxy!

また、サンディエゴからやって来たThe BehemothのAnnaさん( @TheAnnaTheRed )、Meganさん( @KomatsuMegan )、表彰式ではお世話になりました。日米インディー文化の差異話、メッチャ面白かったです。もっと早くに出会ってお話を伺いたかったなあ。

7時間×3日間、いや、準備も入れれば4日間か。恐らくみんな、宿に戻るたび倒れ込んでいただろう。第2回目となるBitSummit。小野口さんが用意してくれたフィードバックページにもある通り、今回も様々な問題点があった。事前告知の遅れ、公式サイトの機能不全、会場音響と照明の問題などなど…やきもきした参加者も多かった筈だ。正直、僕も開幕するまでは首を捻り続け、去年抱えていた問題がちゃんと解消されるのか不安だった。

だが、蓋を開けてみればこの通り。今年のBitSummitは大盛況となった。主催者発表では3日間の入場者数は約5,000人。上記のような問題点はあれど、満足度は高い。昨年のTGSより参加チームは2倍以上多いし、何より「僕らのオリジナルゲームを遊びに来てくれた」感が強く、メチャクチャ楽しかった。東京で開催してほしいという方には申し訳ないけども、「自分のゲームを遊んで貰うためにわざわざ京都まで行く」くらい本気の人たちが集まったと思っている。実際参加したチームはみんなガチで、3日間全力を出し尽くしていた。

また、幅広い客層に来場して貰えたのも良かった。ゲーム文化が根ざしている地域で開催していれば、客層はもっとコアなほうに偏ったんじゃないだろうか。広く知って貰う、広く遊んで貰うという意味合いで、京都という場所は最適だったように思う。観光地でもあるしね。ただ、イベントの趣旨がちゃんと伝わってたかどうかは解らない。単なる変わったゲームのイベントだと思われていたかもしれない。この辺りは、来年の課題になるだろう。

忘れちゃいけないボランティアの存在。京都コンピュータ学院の学生さんたちが数十人体制で参加者のフォローをしてくれた。「手伝いをしつつ遊んでも良いし、開発者さんと交流して良いよ!」というのが功を奏したようで、彼らのお陰で盛り上がりが生まれた事もしばしば。イベント自体を楽しんで貰えたようで、参加者とWin-Winな関係になっていた。京コンの学生さん、有難う。来年は是非、参加者としても帰って来て下さい!

もう一つ、京都府さんの存在の大きさ。広報面において無類の強さを発揮し、交通局の吊り広告に出るわNHKに出るわ京都新聞に出るわの大騒ぎになった。ゲームに全く興味の無い複数の友人から、「今度みやこめっせで何かゲームのイベントやるらしいな」なんて言われたくらいの告知力だ。昨年に比べて規模が大きくなったのも、京都府さん(KYOTO CMEXさん)の力による所が大きい。勿論、スポンサーになってくれた沢山の企業さんの力もある。作り手だけでは絶対に成り立たないイベントだった。

逆に気になったのは、海外メディアの少なさ。昨年開催されたBitSummitでは、会場に入りきらないくらいの海外メディア(想定していた数の倍だったとの噂)が来場したんだけれども、今年は明らかに数が減っていた。昨年の苦い経験(と敢えて書く)もあって、「わざわざ日本まで行って取材するほどでもない」という判断を下されたのかもしれない。今年の盛り上がり、是非体験して貰いたかった。来年にはまた数多くの海外メディアが来てくれる事を願ってます。

さて、結局BitSummitって何だったんだろうか。概要としてはイントロダクションに書いた通りなんだけども、実際は「超ハイレベルな文化祭」だったと皆さんが口にしていた。出来るだけ縛りを設けず、面白い事はどんどんやって貰おうという方針もあって、何をやらかすか、また何が飛び出すかワクワクしていた各チーム。それでいて、どのチームも同じ『インディー』という境遇であり、同じ苦労をしてきているという一体感のようなものもあった。なるほど、インディーゲームという学校の文化祭か。イベント中にふと懐かしさを感じたのは、そう言う事なのかもしれない。

もちろん規模や予算はチームによってマチマチだけれども、様々なバックボーンを持つ開発者たちが横一線に並んで「どうよウチのゲーム!?」とやっている光景は痛快だ。フリーソフト出身、同人出身、コンシューマ出身、アーケード出身、PCゲーム出身、学生、サンデープログラマ、留学生、海外の開発者、そして伝説の投稿者までいる。こんな豪華なメンバーの巨大文化祭を京都でやったってんだから、地元民としては言うこと無いですよ。

3日間、あの空気を共有出来て最高に幸せだった。エンディング前の舞台袖で、モンケンの飯田さんが「ああ、終ってしまう、終わってしまう…」と呟いていた気持ち、良く解ります。でも、これが『始まり』なんだと思います。ようやくインディーに、ちゃんとしたスポットライトが当たったんだから。

BitSummit MMXIVに参加した皆さん、運営や関係者の皆さん、ボランティアの皆さん、本当に有難うございました。また来年、全員がエゲつなくパワーアップした上で、是非この場所でお会いしましょう。

で、撤収も済ませて、僕らは身内だけでお疲れ様会をやろうと、四条河原町で集まって地球屋さんへお邪魔したんですよ。後はもう自分らだけでゆっくりしようやと。

そしたら、ViteiさんとFunktronic Labsが宴会やってました。ちょっと遅れて店内に入った僕、理解出来ずに立ち尽くす。何これ、偶然!?こんな事あるんか!?

もうそこから先はメチャクチャでしてね。更に遅れてやって来たならむらさん達も大笑い、もうどうにでもなれ状態のドンチャン騒ぎですよ。Viteiさんの赤がFunktronic Labsさんの黄色に侵食され、「日本語を勉強してるんですよ」というEさんにならむらさんが何故か関節技を教え、「全てのアメリカ人が騒がしい訳じゃないんですよ」とNさんが愚痴をこぼし、たまたま後から入店してきた見ず知らずの大学生まで巻き込み(ノリノリでウェーブも参加)、何が何だか解らない状態が3時間近く続きまして。最後の最後まで、奇跡的な出会いの連続だったBitSummit MMXIVでした。もう何処にも体力残ってねえぞ!また来年!

BitSummit MMXIV ゲームという名の巨大な渦

この3日間、沢山のゲームに出会えて最高に幸せだったんだけども、それと同じくらい幸せだったのは様々な出会いや交流を見届けられた事だった。知らない人同士が、憧れだった人が、作る人が、遊ぶ人が、最新の技術が、最古の技術が、国籍も人種も関係無く『ゲーム』で繋がっていく。これが興奮せずに居られるか。上記の写真は、Metanet Softwareさんのブースで話し込むFunktronic LabsさんとCuBeatさんだ。

まずは王の巣窟のキングさん( @king_75 )とtaigooooさん( @taigoooo )。DIYの達人であるtaigooooさんが「何かBitsummitに持って行きたいなあ」とミニ駄菓子屋筐体を作ったのが始まりで、会期中それを知ったキングさんが打診、設置と相成った。「誰かのネタになれば良いなと思ってね」とアテもなく制作し、神奈川から運んできたtaigooooさん。見事に実を結んだ。

カラーリングも含めて、恐ろしくマッチしている。先日まではテーブルの上にノートPCを置くだけの簡素なブースだったが、今日は遠目から見てもインパクト抜群。顔を出すたび居るわ居るわ、お客さんが一杯だ。特に女性人気が高く、通りがかったPANDAさん( @shoji_nakamura )が「あァ!?」だの「チッ」だの解りやすく嫉妬していた。筐体にマッチするオリジナル版をチョイスした為か、肝心の新作『ROKKO CHAN 3D』が霞んで…

続いては先日も紹介したピコリンネソフトさん( @picorinne_soft )。あまりの80年代っぷりに恐れおののいた『INFINOS2』。僕がtaigooooさんに勧め、taigooooさんがNIGOROの開発陣に勧め、上記のような結果に。オールドスクールにとことん厳しいサミエルさん( @Samieru_NIGORO )が、「これ良いわ、ちゃんと解ってる」と絶賛していたのだ。勿論細かい部分でこうしたほうが良いという指摘もあったけど、BitSummitが終わった後も「あれは良かった…」と繰り返し呟いていたのが印象的だった。どうやらこの後、ZUNさん( @korindo )も遊びに来られたようで。BitSummit主催者のJames Mielkeさん( @jamesmielke )も上記の通り大喜び。ピコリンネソフトさんには、どうかこのスタイルを貫いていって欲しい。

こちらも先日紹介したPixelCrusadersのIoさん( @wizards_io )。先日帰宅してから気が付いたんだけども、このゲームのサウンドをやってるのが『夢大陸アドベンチャー』のアレンジを公開しているGryzor87さん( @Gryzor87 )だった。今日再びIoさんの元を訪ね、Gryzor87さんの事を尋ねたら「ああ、仲の良い友人だよ!」と笑顔。僕がMSXバカで、彼のアレンジの大ファンですと伝えると、「ホントに!?MSX良いよね!欧州に来る予定はある?遊びに来なよ、彼を紹介するよ!」と大興奮。何だ、IoさんもMSX好きだったのか。BitSummit、MSXユーザだらけか!

話は更に広がっていく。よくみたら、椅子に座ってるのはKIDD GAMESの謝さんと、昨年のIndieStream会場へ向かうバスの中で一緒だった台湾のKEITAIさんじゃないか。今回、KEITAIさんは「新作が無いから、メディアとして来たんですよ」との事。ここにギリシャ、中国、台湾、日本という異色のグループが産まれる。謝さんもKEITAIさんもバイリンガル(英語・中国語・日本語)で、僕らの会話を手助けしてくれた。ようやくIoさんとマトモに会話出来るようになり、気になっていた質問をぶつける。Ioさん、日本語のポップは用意してこなかったんですか?

「いや、ちゃんと用意してたんだけどね…今、アフリカにあるんだ…」

驚愕する僕ら。聞けば今回のポップやチラシは全て空輸で送ったそうなんだけれども、配送事故でアフリカに足止め。「3日後にお届け出来ます」と連絡があったそうだ。3日後って、丁度BitSummit終わっとるわ。気の毒過ぎる…「良いんだよ、今回こうやって、沢山友達が出来たからね!」、Ioさん、メッチャ良い人です。これも後で気付いたんだけども、Linkedinを見てみたら、Ioさんは拘りまくったオールドスクールゲームを作っているLocomalito gamesに在席していたそうだ。道理でGryzor87さんと仲が良い訳だ。

折角なのでもう一度宣伝しておこう。PixelCrusadersさんの『Wizards The Magical Concert』はiOS向けに$0.99で配信中。タップでタイミング良く花火を炸裂させるアクションゲームだ。打ちあがった花火はどんどん煙が短くなり、花火本体と煙が重なった瞬間にタップするとPERFECT。連鎖や連爆が気持ち良い。多種多様な花火と、いかにも洋ゲーらしい世界観を是非お楽しみあれ。

ARTIFACTSの樹ひかりさん( @ARTIFACTS777 )は、ウディタの生みの親であるSilverSecondのSmokingWOLFさん( @WO_LF )や『ファタモルガーナの館』のノベクタクルさん( @Novectacle )、記事を書いてくれた窓の杜の記者さんにも『マジックポーション・ストーリーズ』を体験して貰い、更には外国のお客さんにも遊んで貰えたようだ。樹さん大満足。

そうそう、ブースにはならむらさん( @naramura )もふらっとやってきまして。ウディタ製で面白い表現してるんですよと紹介すると、画面をジーッと見て「おお、これ良いなあ、見たことない表現だ」と興味津々。樹さんから詳しい説明を受けた上で「これ、パクって良い?」と聞いていた。ド直球過ぎます。

更に面白い事に、樹さんの手伝いに来てくれていた漫画描きのすぎむらさん( @tokiwa777 )も交流という名の渦に巻き込まれていた。神出鬼没のMaruchuさん( @Maruchu )、貴方はもう出会っただろうか。

BitSummitの中において、一番インパクトのあった人と言えばこの人、イタチョコシステムのラショウさん( @itachocosystems )。自身が26年振りに手掛けたゲーム『野犬のロデム』のロデムになりきり、ブース前でじっと座ってたり、寝転んだままピクリともしなかったり、差し出した手にお手をしたり。「ボコスカウォーズの作者さんです」と聞いて更に衝撃を受けた人も多かっただろう。以下にまとめがあるので、現場に居なかった人も是非衝撃を味わってほしい。

先日のポリポリ☆クラブ生放送でもお会いしたんだけども、ラショウさんは実に真摯で物腰柔らかな方で、プロの役者さんだなと感じさせられた。Macユーザで前作の『野犬ロデム』を遊んだ事のあるならむらさんは、「ラショウさんスゲーよ、伝説の人なのに身体張り過ぎだよ!」と恐れおののいていた。

そう言えば、クアッドアローさんの『EF-12』の手伝いに来ていた足プレーヤーのコッペリアさん( @doll_coppelia )も、小野口さん( @EF12project 通称・覇王)とはBitSummitで初対面なんだった。悪い大人たち経由でコッペリアさんの事を知った小野口さんが、twitter経由でヘッドハントしたのだ。結果、ブースは大盛況となり、コッペリアさんまでもが海外メディアに取材を受けるという超展開に。

その上、コッペリアさんは強い。「格ゲーは苦手なんですけど」と言いつつ、自慢の足でお客さんを葬り続けていく。じゃあ僕が土を付けてやろうじゃないのと対戦を申込み、あっさり敗戦。いや、これは使い慣れてないコントローラだから。僕いっつもキーボードだからと再戦を申込み、今度は辛勝。どうよ見たかキーボードの力!と、後ろを振り返ったら凄い人だかりが出来ていた。うわあ。格ゲー全盛期の対戦台時代でも、こんなギャラリーついた事無いぞ。足vsキーボードの対戦がこれほど耳目を集めるとは。時間を置いて決着を付ける第3戦を行ったんですが、結果は上記の4コマ通りで。握手を求めたら足を差し出してきたコッペリアさん。ガッチリ握ったら撮影されまくりました。おのれ覚えておれ、この借りは必ず。

一方その頃ブースの主である覇王はステージをジャックし、EF-12のBitSummit版特別デモンストレーションを行っていた。対戦相手はPLAYISMのジョシュさん( @BudokaiMR2 )、対戦前からこの有様である。何と覇王、イベント公式キャラであるBitRiderをEF-12に登場させてしまったのだ(「二日で作った!」覇王談)。試合の方は覇王が完勝、まあ創造主ですから…と思ったら、そこに主催者のMielkeさんがやって来た。

覇王、まさかの敗戦。後で話を聞いたら、「ガチだよ…」と悔しそうに笑っていた。恐るべしMielkeさん。ねぇ覇王どんな気持ち?ねぇどんな気持ち?とは口が裂けても言えない。ここにまた新たなリベンジの誓いが打ち立てられた。

最後は、僕の友人であるFochaさん。重光あさみさん( @achabox )、オオギシトモヒロ君( @azurefox13 )の二人による映像ユニットで、僕の日記にもたびたび出てくる巨大ショートケーキのGranewton( @_Granewton_ )主催者でもある。今回、BitSummit側で映像を撮れる人を探しているとの事で、僕が彼女らを巻き込んでしまったのだ。

正直、彼女らを巻き込んだ事を、僕はかなり気にしていた。無類のゲーム好きでTHE KING OF GAMESさんのモデルもやった事があるとはいえ、3日間という長丁場、100を超えるブースがある大規模なイベント、事前情報もあまり渡す事が出来ず、ぶっつけ本番に近い撮影。出来る範囲で、無理の無いようにやってくださいと繰り返し頭を下げ、イベント中も常に気に病んでいた。出来ればイベントを通じて、沢山のクリエイターさんと仲良くなって欲しい。そう願っていた。

杞憂。3日間、精力的に会場内を歩き回り、ゲームを遊び、目をキラキラさせながら「ホント楽しいです!」と言ってくれたFochaの二人。「重光が夢中になり過ぎて、しょっちゅう撮影の事忘れるんですよ」と苦笑するオオギシ君。

重光さんやオオギシ君の横に、ならむらさんやPANDAさん、PLAYISMさん、木村さんたちが立って談笑している。フランス人ゲーム記者のアンさん( @katsudon45 )ら撮影チームと技術談義しいてる。何だこの画、夢でも見てるのか。つい先日まで全く交わる事の無かった線が、こうも綺麗に交わるものなのか。いや、当たり前っちゃ当たり前なんだけども。これ、僕が繋いだのか。まるで実感が無い。

この写真を見た時、彼女らを呼んで良かったと心の底から思った。リスペクトを持って人と人とが繋がっていく、この面白さ。僕が見た範囲でもこんなに凄いのに、これが会場全体で起こりまくってたんだから今回のBitSummitは神憑ってる。そりゃ参加した人みんな良い顔して帰って行くよ。

夢のような三日間。BitSummit MMXIVはそろそろエンディングを迎えようとしていた。

BitSummit MMXIV 春だ一番NIGORO祭り

さて、いよいよ我らがNIGORO班である。3日通して驚かされたのが、プログラマ陣が日々開発を続けバージョンアップを計った事。聞けば毎日ホテルで開発を続け、最終日には連続ムチ振りアクションまで実装されていたという恐ろしさ。開場10分前に「うーん、2フレーム!」と目測でウェイトを増やし、より自然なアクションを作るサミエルさん。気持ち悪い程に気持ち良くハマり、後ろで見ていたtaigooooさん達が恐れおののいていた。

ひとたび開場すると、ブースの前は人だかりに。盛況、大盛況である。先日公開されたKickStarter版のデモから上記の通りギリギリまでアップデートを重ねた最新版La-Mulana2。お子さんも、女性も、外国の方も楽しんで(苦しんで?)下さったようだ。開発陣が全員揃っているというレアな状態、技術的な質問も沢山あったとの事。ちなみにアナウンスもあったのでご存知の方も多いと思うけれども、本番のLa-Mulana2はシステムもろもろ一から作り直されます。これはあくまでLa-Mulana1のシステムを使ったデモなんです。なのに当日まで更新を続けるという熱の入りよう。

また、ニゴラー(NIGOROの熱心なファンの事らしい)も非常に沢山遊びに来て下さった。事前に僕が勝手企画をブチあげたんだけども、まあ来るわ来るわ見たことも無いカレーが。ここには写ってないけども、何だ18禁カレーって。更にはnanoblockや紙粘土(!)で作った博士なども届けられ、ブースが祭壇状態になってきた。

一番ビビったのはこちら。これ、ステージは村だけだけども、ちゃんと動くのだ。勿論NIGOROさんが作ったものではない。「2~3週間ほどかけて徹夜で…」、世の中とんでもない人ばっかりだ。

また、La-Mulanaを実況プレイしているSORUさん( @chirorian0154 )、ゆりぃさん( @Yuryi_jp )も遠路はるばる来訪。SORUさんは昨年のTGSでもお会いした女性2人組の実況者さん。ゆりぃさんは先日4人で朝まで実況という過激なプレイをしていた方だ。二人ともちゃんとならむらさんに会えたようで良かった良かった。

ならむらさんは誰にも平等である、というのが良く解るワンシーン。ブースには沢山の開発者さんも訪れ、散っていった。勿論クリアした方も居られましたよ。

衝撃だったまゆまろ×ならむらさん。最初は友好的なムードで手を取り合った両者だが、「押さえたら軽くシューって言ったぞ、アイツと同じだ!」とならむらさん。次の瞬間。

抑え込もうとしたり、鋭いジャブを連打するならむらさん。やめて下さい、ウチ(京都)の子なんですよ!と声を上げたら、まゆまろが抱きついてきた。可愛いじゃねぇか。「あの野郎、目が外側にあって真正面が見えてないから、握手したあと真っ直ぐタックルして来たぞ」とならむらさん。どうやら報復だったらしい。

まゆまろのターン。物欲しそうにLa-Mulana2の画面を覗いていたと思ったら、コントローラを右手の中に取り込み(!?)、器用に遊び始めたではないか。度肝を抜かれるチームNIGORO、まゆまろの身体は一体どうなっているのか。と、よく見たら右袖の所にLa-Mulanaバッジが付いてる!ならむらさんの仕業らしい。

プレイしてくれたお客さんにはもれなくポストカード5種と缶バッジ1個(3種類)をプレゼントしていた。バッジはドット絵、イラスト、ならむらさんの3種類だったんだけども、「ならむらさんのキャラを知らない人がこれ引いて、物凄い微妙な顔してたのがツボにハマって」とさとうさんが大笑いしていた。「これ、青の缶バッジに手書きの方が味があったな…」とこだわりを見せるならむらさん。次はそれでお願いします。

ステージにも何度も呼ばれ、引っ張りだこだったならむらさん。国内でも少しずつ、彼らの名は広まりつつある。勿論大変なのはこれからで、来年末にはLa-Mulana2をリリースしなければならない。これからも様々な場所で彼らの暴れる姿を見られると思うので、是非応援してあげて下さい。きっとまた、見たことも無いような飛び道具(企画)が飛び出すと思いますので。

BitSummit MMXIV Public Dayの出会い(2)

4時間半ほど寝て三度みやこめっせを目指す。泣いても笑っても、BitSummitは今日が最終日だ。1日7時間という長丁場を立ちっぱなしで、皆一様に疲労の色が濃い。だが、ひとたび会場に明かりが灯ると楽しさが優先され、疲れを忘れてしまうのだ。それくらいに今回のBitSummitには魅力がある。

たまたま会場内で見て驚いたのがこちらのニュース。写ってるのはピグミースタジオの小清水さんとPSvita版『La-Mulana』やん。いやはや、地元新聞にLa-Mulanaが掲載されるとはなあ。

開場前と後の写真。昨日ほどではないが、それでも列が出来ていた。10時からの開場だったんだけども、恐らく昼から来るお客さんが多いのではないかと予想した。辺りにあまり飲食店が無いからだ。実際お客さんは徐々に増え、昼を過ぎれば会場は大賑わいになっていた。それでは今日、僕が出会ったゲームをご紹介する。

Disco Pixelさん(C-09)の『Jungle Runble』。ドラムのリズムに合わせて移動や攻撃を行うゲーム。だが、音ゲーとはちょっと違う。普通の音ゲーはノートを待ってタイミングよくタップするのがほとんどだけれども、このJungle Runbleは常に四つ打ちに合わせてタップし続けないといけない。その代わりに、タップする場所を自分で選ぶのだ。行きたい場所と自分の場所を交互にタップx2すると移動、自分の居場所を3回タップして違う場所を1回タップすると攻撃、といった具合になる。慣れるまではちょっと難しいが、理解出来ればずっとリズムを刻んでいられる気持ち良さがある。

代表であるTrevorさん( @TrevorStricker )にお話を伺った。いきなり流暢な日本語で話しかけられたので、日本語お上手ですねと話したら「お世辞がお上手ですね!」と返ってきた。出来る!Trevorさんはボストンからやって来たそうで、経歴については僕が書くよりLinkedInの情報を見て頂いたほうが早いだろう。「子供たちに、もっと気軽にゲームを遊んでほしいんですよ」と笑顔のTrevorさん。ブースには常に沢山のお客さんが詰めかけていた。

勝手に『もっと評価されるべき』とタグを付けたくなる、ARTIFACTSさん(D-11)のマジック・ボーション・ストーリーズ。つい先日発売されたばかりのウディタ製ビジュアルノベルなんだけども、見せ方・演出が実にユニーク。初めてお会いした時、天谷君が「彼のゲーム面白いよ、やったほうが良い」と勧めてくれたんだけども、その言葉に間違いは無かった。軽妙なテンポで進むストーリーは2年かけて組み上げたそうだ。公式サイトには世界観を共有する前作(フリーソフト)も用意されているので、まずはそちらからお楽しみを。

作者の樹ひかりさん( @ARTIFACTS777 )とは、各自作業を持ち寄ってひたすらもくもく何か作る『もくもく会』で天谷君と会ったのがキッカケで仲良くなったゲーム制作仲間だ。今日は同じもくもく会で知り合った漫画描きのすぎむらさん( @tokiwa777 )も応援に駆け付けている。すぎむらさんは大阪から洞窟物語のウラガワにも来てくれたナイスガイで、以来ウチにもちょくちょく遊びに来てくれている。

当初、「僕みたいなペーペーが参加して大丈夫でしょうか?」なんて言ってたけども、沢山のお客さんに見て貰えて、また沢山の開発者さんに会えて、更にはストーリーテラー賞(Narrative Design)で次点入賞になって。ね、参加して良かったでしょう?

今日一番の新鮮さだったWinning Blimpさん(D-01)の『STRATOLITH』。攻撃手段を持たない都市を、敵機をハッキングする事で護るリアルタイムシミュレーション。そのハッキング方法がユニークで、敵機をタップして3つの波形を確認、それを打ち消す波形(位相反転)を1つずつ打ち出してハッキングするというもの。昔ながらのラジオで波長を合わせるような、独特のUIが面白い。リアルタイム進行するので焦る焦る。

作者の一人であるAlex Mayさん( @atype808 )は関西在住で日本語ペラペラ。『日本語OKやで』のカードが眩しい。実は去年のPLAYISM2周年パーティにも参加されていたんだけれども会いそびれて、1年越しにようやくお会いする事が出来た。前作の『Mozaique』、買いましたよ。じっくり考えるタイプの良質パズルゲームです。Winning Blimpさんはデザインが非常にスマートで、ゲームも味がある。


こちらは御馴染みプチデポットさん(A-02-b)の『メゾン・ド・魔王』。訛り実況のキリンさんもお気に入り、生活感溢れるタワーディフェンスだ。このゲームに関しては実況を見て貰うのが一番良いだろう。夏には何と3DSでもリリースされるとの事、世界征服は順調に進んでいるようだ。

代表であるめづかれさんとは今日初めてお会いした。初めまして、NIGOROさんから色々お話伺っております。「おお、有難うございます!MSXユーザだそうですね、イーアルカンフーっつたらイーガー皇帝の逆襲の事ですよね!」、ぬお、その通りです。けっきょくなんきょく大冒険じゃなく、夢大陸アドベンチャーです。「ですよね!」、そこから非常にディープかつレアなお話を沢山聞かせて頂き(西と東の話など)、腰が引ける。BitSummit、右も左もスゲー人一杯ですよ。

ハイドレンジャーさん(D-10)の『Perilous Dimension』。ついに初体験、Oculus Rift対応のシューティングだ。更にはLEAP Motionにも対応しており、僕みたいなオールドゲーマーにとっては未知の世界そのものである。実際にOculus Riftを装着してもらわないと説明出来ないのがもどかしい。仮想世界の遊園地というか。「正面から大きく外れると、急加速して酔いますよ」と言われたのに、気持ち良くなって真上に頭を振って、酔った。

代表である野生の男さん( @yasei_no_otoko )は、僕を見つけてわざわざ声をかけて下さった。有難うございました、お陰で未知の領域に踏み入れる事が出来ました。Oculus Riftのフレームレートの話をしたり、うぉううぉう唸りながら遊ばせて貰っていたら、いつの間にか傍にならむらさんが。これスゲーですよ、とOculus Riftを渡して遊んで貰う。成程、傍から見るとこう見えるのか…

3日間通してずっと興味持ってたんだけれども、いつ行っても人が居て遊びそこねてしまったPlatineDispositifさん(C-22)の『Fallendom』。幸い公式サイトから体験版がダウンロード出来たので遊ばせて貰った。ローグライク+ゼルダ的なアクションRPG。あらゆる行動でダイスが振られ、その目によって攻撃力などが変動するユニークなシステムだ。ドット絵が秀逸でアクションも爽快、メチャクチャ良く出来てます。

他の方がプレイしている間に作者さんにお話を伺ったんだけれども、「ウチは一人サークルで、全部一人でやってます」との事。ええっ、一人!?「はい、10年近く活動してます」、お見逸れしました。Fallendomは昨年のコミケC85で頒布されたそうで、既にご存知の方も多いかもしれない。スイマセン、僕コミケ詳しくないのです…やっぱり一度は体験せんといかんね。

最後は僕らの後輩(と言っても10年以上離れている)である、Team Poyhaymenさん(C-10)の『ラクガキ忍者』。HAL×PLAYISMゲーム制作・販売プロジェクトで校内選抜を勝ち抜き、実際に販売されたゲームの1つだ。オールドスクールなアクションゲームを目指したという本作、僕もリリース直後に遊ばせて貰い、そしてサミエルさんと2人でかなり厳しい意見を連投してしまった。ちなみに彼らとは当時から相互フォローで繋がっている。

実は彼らともPLAYISM2周年の時に会っていた事が判明、改めて顔を合わせて、キツい事を言ってゴメンねと謝った。実際僕らが作った卒業制作のゲームよりずっと良く出来てるし、喜んで遊んでくれている人も居る。でも、だからこそ、ここまで作って何故基本のここが抜けてしまったと歯痒かったんよね。あの時発した辛辣な意見は、偽りなく本心です。

あれから4か月。彼らはめげずにBitSummitにやって来た。多くの耳目に晒される場に、腹を括って出てきたのだ。結果はご覧の通り。おめでとう、Team Poyhaymenさん!

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