京都芸術センターで開催されている、文化庁メディア芸術祭京都展に行ってきた。アクセサリのOさんのブログを見て、あんまりにも楽しそうだったので足が向いたのだが、もうこれが最高に面白かった。以下、ゾクッと来たものを紹介。
1F、『BEACON 2010』。20分ループの映像作品。白い真四角の部屋で、東西の壁に壁と全く同じ色の額縁だけが飾ってある。そして、部屋の真ん中にはプロジェクタが背を向けあうように2台。これが、ゆっくりとしたスピードで水平に360度回転し、壁に風景映像を映し続けている。
これだけなら、単なるちょっと面白い映像表現だが、しばらく見ていて目を疑った。額縁の前を通った時に、額縁の中だけに映像が表示されるようになったのだ。最初はあまりに自然過ぎて気が付かなかったが、タイミングと位置を完璧に合わせた錯覚表現だ。恐らく撮影時も放映時も、全く同じスピードでカメラやプロジェクタを回転させているのだろうが、恐ろしく凝っている。次の場面では、この部屋自体を撮影したものに変わり、ドアや非常口に差し掛かる度に人が現れたりドアが開け放たれる映像がドンピシャで現れた。本当にドアが開いたように見える。よくこんな面白い事を考えたなあ。
2F、『scoreLight』。天井からレーザーが照射されていて、白以外のもので触れるとブロック崩しゲームのように反射しだしたり、沿って動いたりするという作品。同時に音も出る。上手くやれば手の中に収める事も出来るし、腕を沿わすことも出来るという面白い作品。レーザースキャナの技術を応用しているそうだが、何がどう動いているのか良く分らない。が、面白い。
同じく2F、『Parallel Lives』。大きな2つの画面と、小さな2つのタッチパネル。大きな画面とタッチパネルはセットになっていて、それぞれ左側には『実体のみで影がない人』、右側には『影のみの人』が住んでいる。タッチパネルで人を触ると、静電気らしきものによる触覚(驚いて手を少し引く程度)と共に、画面内の人が倒れ込む。次の瞬間、もう片方の世界の住人が増えている、という仕掛け。『人は触れられることで、その存在の形態を変えながら2つの世界を行き来する。実体と影の2つの世界が、触覚を通して結ばれることで、わたしたちの見る触るという感覚と、何かが存在するということの意味を問いかける』そうだが、何だかよく解らない罪悪感が湧く。触覚と共に人が倒れ、消えるからだろうか。
3F、『loopScape』。今日一番衝撃を受けた作品。対戦型シューティングゲームなのだが、上下左右に動き回って、相手の機体を打ち落とすという単純なもの。だが、舞台となる画面は360度ぐるっと並んだ3色LEDディスプレイなのだ。
自機の移動に合わせて、自分も歩いて追いかけないと見失ってしまう。また、世界がループしているので、無暗に弾を撃ち過ぎると一周してきた自分の弾に打ち落とされるという事も。その為、慎重に弾を撃ち、かつ自身も大きく歩き回って画面状況を把握する必要があるという、従来には無い面白さや駆け引きがある。ディスプレイを変えるだけで、これだけ斬新なゲームに変わるのかと。発想の転換って素晴らしいなあと感じさせられた。
展示案内のお姉さんが対戦相手を務めてくれるという事で、僕も喜び勇んで参戦した。2連敗。いずれも、自分の撃った弾にオカマを掘られたという結果だった。ちなみに写真は僕ではなく、次の順番待ちをしていた人。楽しそうだ。このゲームは本当に良く出来ていると思う。
他にも、2Fの講堂では映像作品を上映していたりもした。土日には『サマーウォーズ』も放映されるようだ。平日の昼間の割には若者が多く、みな芸術・美術関係を思わせる風貌だったのが印象深かった。こういう人たちが、また新たに面白い物を作っていくのだろう。結局1時間半ほど居たのだが、本当に良いリフレッシュになった。
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