作業も終わって帰ろうかと思ったら、雪が降っていた。ちょっと待て、もうすぐ4月の筈じゃないのか。慌てて外に出たら、少しずつ雪の勢いが増してきた。軽装の僕に死ねと申すか。
仕方なく雨合羽を引っ張り出して外に出たのだが、ひょっとしたら桜と雪の滅多に見られないコラボが見れるのではと思いテンションマックス。寒さも忘れて咲いている桜を探しに出た。幸い桜はすぐに見つかり、何度もシャッターを切る。出来上がった写真は、何だかよく分からないものになっていた。それでも良い物が見られたと満足し、帰路に着く僕。
異変が起こったのは、道中も終わりに近づいた頃だった。
皆さんはガソリン入れたての原チャや車を運転した際、なかなか減らないガソリンメーターを見てほくそえんだ事は無いだろうか?僕なんかは無敵モードに突入したと安い興奮に包まれたりするのだが、そのまた逆もしかりで、メーターが『E』になってもかなり走れる事に喜びを感じたりしないだろうか?それに慣れてしまい、メーターを信用しなくなったことは無いだろうか?
結論を言おう、ガソリンが尽きた。
19の時に原チャの免許を取って以来、一度として経験したことの無かったガス欠。目的地まで持つだろうかとヒヤヒヤした事もあったが、今までただの一度としてガソリンが尽きた事は無かった。ショックよりも、新鮮さを覚える僕。あ、ホンマに止まるんや、と。
不幸中の幸いか、自宅までは押して歩いても15分程度の距離。寒いが仕方が無い、ノンビリ帰るかと思ったが、明日はどうすれば良いのだ。朝っぱらから最寄のスタンドまで押して歩くのか。一番近くのスタンドは地域一高い有人スタンドだし、かと言って安い所は徒歩20分。何より、そこまで押して行くのが恥ずかしい。兄や母のバイクからガソリンを貰おうにも、醤油チュルチュルが無い。
腹をくくって、現場から最寄のガソリンスタンドに向かって歩き出した。恐らくここからでも20分程度で空いているスタンドがある筈。深夜の為、営業を終了しているスタンドがあちこちにあるのが恨めしい。寒いわ重いわ遠いわ、さっきまでのテンションは何処へ行ってしまったのか。
面白い事に、数分押している間にタンクに残ったガソリンが少しずつ集まり、10秒程度だけ走行する事が出来た。これは大きなアドバンテージだ。地図を頭に思い浮かべ、住宅街などを使って可能な限り最短距離を走行。が、普段通りなれない道、しかも夜とあってミスを連発。行き止まりにブチ当たって半泣きになる。結局3回走行する事が出来た。一滴一滴のパワーを思うと、ちょっとガソリンが愛しくなったりする。
何だかんだ言いながらスタンドへ到着。恐らく15分程度かかったが、生きて辿り着けた事に感謝したい。雪の桜に始まって、ガス欠、空のタンクに満タン給油というレア体験までさせてもらったので、今日は良い日と言うことにしておこう。山の中とかでガス欠にならなくてホントに良かった。
- Newer: これ本当に僕が作ったのか
- Older: 予算7万円弱で高度35000mから地球を撮影