- 2010-03-18 (木) 0:30
- 日常
尺八のFさん来訪。相変わらず精力的に動き回っておられるようで何よりだ。少し話を聞かせて欲しいとの事だったので、急遽事務所を掃除する。残念ながら平時は散らかりっぱなしの事務所。お越しの際はご一報を。
かなり長い間話をしたのだが、その大部分が『いかに他人に興味を持ってもらうか』という内容だった。僕はものづくりを行う際、初っ端のリリースに出来るだけ労力を割くようにしている。ここで躓くと、挽回するのが本当に難しくなるからだ。
ものの溢れる時代、商品一つ一つを手にとってじっくり観察する機会なんてほとんど無いだろう。顧客の目は肥えに肥え、恐ろしい早さで判断を下して商品を手にする。告知や宣伝情報を持っていない場合、一番最初の判断基準となるのは外観やパッケージだ。いかに中身が良くても、まずは人に気付いて貰わなければ、手に取ってもらう事すらままならない。
さて、今の時代、PCを使えば誰でも気軽にデザインを行う事が出来る。特別な知識が無くても、それなりのものは出来上がるようソフトも進化した。経費削減が声高に叫ばれる中、経営者としては喜ばしい話だろう。だが、大多数のデザインは本当に『それなり』か、もしくはそれ以下の厳しい出来となる事が多い。配色が無茶苦茶だったり、レイアウトが見辛かったり、イメージが伝わらなかったり。趣味ならばそれで良いと思う。が、商品販売でそれを使うのはどうか。
結果は悲惨なもので、気付いて貰えない、関心を持たれないのならまだ良いほう、ヘタをすると「これはちょっと…」と敬遠される可能性もある。僕が一番恐れているのはこれだ。一度ネガティブなイメージが根付くと、その顧客にどれだけ訴えかけても「でもなあ…」という否定や疑いから入られてしまうのだ。例え次の商品で外観が良くなったとしても、この思考はそう簡単には覆せない。
「最初はまあこんなもんで、次から良くしていきましょう」なんて話は通らないと僕は考える。挽回するチャンスすら貰えない事が多いのだ。経費削減を謳って売上を自ら下げるという構図は、悲しいジョークとしか思えない。
こんな話をしながら、前職で使っていたペラペラの社用名刺を思い出していた。
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