- 2011-11-27 (日) 0:30
- 日常
- 青春「キタバチ」さらば 創業40年 左京のスポーツ娯楽施設(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20111126000096
喫茶店も片付け、自分の仕事もようやく一段落という時に、衝撃的なtweetが流れて来た。そんなバカなと狼狽。まさか、あのキタバチが。記事を読むと、最終日である今日もいつも通り朝5時まで営業しているらしい。事務所を適当に片付けて、カメラ片手に原チャで駆け付けた。
北白川バッティングセンター(北白川スポーツランド)。通称キタバチ。京都造形大の向かい側に鎮座するその建物、バッティングセンターという名前はついているが、その枠を大きくはみ出した総合遊技場である。僕が最初にここへ訪れたのは高校生の頃で、免許を取ってからと言うものの、A社長や長袖のT、按摩師のNと夜な夜な繰り出しては遅くまでゲームをしたものだ。一番足繁く通ったのは、DDRの頃だろうか。
ここの最大の特徴は、『朝5時までの営業』だろう。普通のゲーセンならば、風営法で0時には閉店をしなければならないのだが、ここは『バッティングセンター』なので風営法には引っかからない、らしい。ただ、敷地面積の半分以上はゲーセンだったのだが。また、走り屋がたむろする山中峠の麓という事もあって、昼より夜中のほうが賑わうというかなり特殊な施設だった。昼は昼で学生が来るのだが。
施設内容も独特で、最初に訪れた時はバッティングセンター+ゲーセン+ビリヤード場+卓球場だったのが、気付いた時にはカラオケが増設され、漫画喫茶が増設され、どういう訳かご飯食べ放題のフードコート(コンビニ)が増設されるという謎の充実を果たしていった。柔軟過ぎる対応に、訪れる度にお客の方が戸惑う不思議施設。久々に訪れた今日は、ダーツ場にゴルフの練習場まで作られていた。ホントに何でもありだ。
更にプライズ類に置いては、前代未聞となるようなグッズが陳列されまくっていた。18歳未満のお客さん大丈夫か、と目を疑うようなラインナップ。ここでチャイナドレスを手に入れた按摩師のNは、「良かった」と謎のセリフを残している。他にも、施設内の金券が入ったカプセルや、UFOキャッチャーのアームを針に変えたりした特殊台を量産していたのも面白かった。キタバチは、他のゲーセンには無い特殊な進化を果たし続けた、稀有な存在だったのだ。
最終日という事もあって、日曜の23時なのに店内は人で一杯だった。それも、どうやら僕と同年代の30代のお客さんが多いように思う。店員さんに許可を貰って、店内を沢山撮影させて貰った。同じように携帯やデジカメで撮影をしている人が沢山居る。思い出作りにと、片っ端からゲームを遊んでいるお客さんが居る。バッティング場の前で、遊んでいる人をじっと眺めている人が居る。ビリヤード場、卓球場は大勢の人で埋まっていた。スタッフも懐かしい常連さん達と、思い思いに談笑している。
だが、そんな中でショックな言葉を耳にした。通りすがりの若いお客さんが、「キタバチがこんな賑わってるん、初めて見たわ」と呟いたのだ。僕が知っているキタバチは、いつでもお客さんが一杯だった。賑やかで楽しかった思い出しかないのだ。これが時代の流れなんだろうか。
折角なので、バッティングセンターでも遊んでみた。体調もボロボロなので、90kmでチャレンジするものの前に飛ばず。2ゲームやって、ヒット性の当たりは1本という情けない結果に終わった。何か体のあちこちが痛い。手の平にも痣が出来た。か弱すぎる。
0時前、メダルコーナーの電気が落とされた。続いて、レトロゲームコーナーのドアが閉められた。青春の思い出の地が、緩やかに終わって行く。恐らくこんな味のある施設、二つと無いだろう。奇跡的なバランスで40年間も多くのお客さんを楽しませた、北白川バッティングセンター。ただただ切ない。0時半、僕は店を後にした。
長い間、本当にお世話になりました。有難う、さようなら、北白川バッティングセンター。
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