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ミッドナイト念仏初参戦

  • 2013-04-19 (金) 0:30
  • 日常

「知恩院で夜通し読経する『ミッドナイト念仏 in 御忌』ってイベントがある」、変態デザイナーのYさん(通称姉さん)から連絡があったのは数日前の事。聞けば「宗派不当」「一般参加可能」「参加費無料」「途中参加退出可能」という、かなりロックなイベントのようだ。毎年やってるみたいやけど、こんなん初めて聞いたぞ。行くしか。ちなみに知恩院は浄土宗で、ウチは真言宗。

と言う訳で、真夜中0時に知恩院前集合となった我々。最近こんなんばっかで生活乱れまくりやけど、夜の方が元気なんやからしゃあない。バカデカい横断幕にバカデカい新ゴでタイトルが書かれていて、これ何ptやと思う?などと盛り上がる職業デザイナー。それにしても、木魚の音が境内の外まで聞こえるってどういう事なん。周りを見渡したら、若い子らがひっきりなしに出入りしてる。外国人も居る。みんなネットのニュースを見て来たんやろうか。

そういや会場って何処なんやろ…と歩を進めて驚いた。知恩院が誇る国宝・三門楼上でやるらしい。一気にテンションが上がった。ここ、滅多に上がれないんよね。鋭すぎる階段を登るのは地方テレビ局でバイトしてた時以来だから、15年振りくらいか。入口で簡単な説明を受け、諸注意が書かれた紙を渡され、いざ登らん。あまりの鋭さに、姉さん腰が引けてます。楼上へ辿り着き、中を覗いてみたら100人以上の人が一斉に木魚を叩いていた。シュールだ。

突っ立っててもしょうがないので中へ。見事な天井絵の元、ズラッとならんだ木魚と人。お坊さんだらけかと思ってたら、意外な事にほとんどが一般参加の人だった。空いた場所に自由に入って良いとの事で、折角なので中央の前へ進む我々。端のほうを見ると、コンマスらしきお坊さんが和太鼓を叩いてリズムを刻んでいる。なるほど、これに合わせてみんな木魚を叩いてるのね。道理で綺麗に揃った音が外まで聞こえる筈やわ。どれ、では一つ…と、木魚を叩きながら慣れないお経を読み上げる。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…読み上げながら気付いたんやけど、これお坊さんやと「なむ あみ だぶ」の3拍子で読み上げるよね。何で「なむ あみ だぶ つー」の4拍子やないんやろう。「つー」が言いづらいからかな。お経自体が変拍子なんで、この部分だけ取り上げるのも変な話かもしれんけど。

と、しばらくして小さな異変に気が付いた。コンマスの和太鼓より、参加者の木魚のほうが僅かにテンポが速い。周りを見渡してみると、みんなぎこちなく木魚を叩いている。そう、リズムを刻むとき、素人はハシりやすいのだ。場の雰囲気に飲まれてか、はたまたトランス状態に陥っているのか、大きな音を立てながら木魚は加速していく。いかん皆、コンマスのリズムを聴くんだ。と思ったら、仕方なしにかコンマスもテンポを上げてきた。こんな速いビートを刻む木魚、聴いた事無いぞ。ジワジワ上昇し続けたテンポ、体感にして200前後という新境地に突入。このままでは細いバチが折れかねん。脱落者も出るぞ、と危惧した瞬間、コンマスが一気にドラムロールへ持って行った。おお、その手があったか。戸惑う参加者たちをよそにブレイク一発、120前後の落ち着いたテンポへリセット。お見事、これぞプロの技だ。思うにこれ、30分に1回くらいのペースで発生してるんやないかなと。一晩ずっと続けにゃならん訳で、ホントお疲れ様です。こんなんばっかり気にするモンやから、全然集中出来てない僕。スイマセン。だって気になるんやもん。

気付いたら1時前になっていたので、明日の事を考えてこの辺りでと立ち上がる。行きより数倍怖い帰りの急角度階段を降り、俗世へと帰ってきた。境内から出る時に、お寺の関係者さんと思しきご婦人に声をかけられた。「良い経験になったでしょ?このイベント、もう10年ほどやってるんやけど、これだけ沢山の人が来てくれるようになったんはここ数年の事なのよ」「若い人たちがね、インターネットで見て来てくれるようになってねえ…今までは関係者と近所の人くらいやったから、私らも嬉しくてねえ」と。思い掛けない良い話にウンウン頷く僕ら。楽しいと言ったらおかしいけど、楽しかったです。看板の写真、後で気づいたんやけどハッシュタグ付いてるやん。

僕らが知恩院を後にする頃にも、続々と若者たちが足を運んでいた。これ、来年くらいには更にブレイクするかもしれんなあ。独特の空気に触れられて良い経験が出来たんやけど、出来ればもっとプロのお坊さんの技術を体感したかったなと。一般参加者ばっかりだったので、次は一定間隔でお坊さんが並んでいて欲しいと思うのは贅沢でしょうか。

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