- 2009-10-21 (水) 0:30
- 教習
いよいよ迎えた卒業検定の日。特別変わった事をしないようにと、いつも通り朝はピアノの練習をし、昼食を取ってから教習所へ向かった。
待合所へ入ると、結構な数の受験生が。平日だから少ないだろうと思っていたのに、全部で15人近く居る。僕はBグループの4番手、ちょうど中ほど。悪くない位置だ。意外に女性や年配の人も多く、学生と半々くらいの割合だった。検定用のゼッケンを目にする。一気に緊張感が増した。
検定を行う教官から説明を受ける。今までに一度も顔を合わせた事の無い教官だ。ひょっとして、公平にジャッジをすべく、外部から人を呼んだりしているのだろうか。
程無くして検定がスタート。最初の受験生が飛び出していった。何とクランクで転倒。広がる動揺。誰も笑ったりしない。というかそんな余裕は無い。コケても最後まで走らなければならないようで、トップバッターは晒し者のような状態でコースを走破した。キツい。よく見たら教習中の生徒もかなり居るではないか。邪魔でしょうがない。
僕の名前が呼ばれ、同時に授業終了のチャイムが鳴った。一斉に教習生が引き上げてくる。コースを走る車両は僕らだけとなる訳だ。それはそれでかなりキツい。脈が早くなるのが解った。取り敢えずバイクに跨ってはみたものの、頭が真っ白になって何をすれば良いのか解らなくなった。取り敢えずキーを回してエンジンを掛けるべきだと思い、エンジンスタート。それからギアをローに入れた。ミラーを直し、半クラからアクセルを回して3,000回転へ。ゆっくりクラッチを繋ぎ、いざ発進。ウインカーを忘れた。
顔面蒼白になりながら第1コーナーへ差し掛かる僕。ウォーミングアップで1周走行している間に、何でこんなに緊張してるのかバカバカしくなってきた。何だかどうでも良い気分になってきて、教習していた時の事を思い出しながらノンビリ走行へスイッチ。そのまま見通しの悪い交差点、危険回避、クランク、S字、急制動、坂道発進、踏切と突破。何の問題も無い。そして現れたラスボス、一本橋。
見ていた限り、今日ここで失敗した人は居ない。普通にやれば問題無い筈なのだ。気をつけるのは最初の入射角だけ。ここさえ押えられれば、もう勝ったも同然。今までも何回かに1回は落ちていたのだが、今だけは意識をしてはいけない。入射角だけに気をつけて、後は適当で良いのだ。ゴー。
発着点に戻った僕は、深い深い溜息を付いた。
合否は教官に一人ずつ呼び出されて伝えられる。開口一番、僕は合格を告げられた。だかしかし、その点数は際どかったようで、「いやー結構危なかったですね、発着場での左右確認がねー」と予想だにしないミスを指摘された。一本橋やスラロームはちゃんとパス出来ていたようだが、ここで小さいミスを犯していたら失格だったかもしれない。
終わった。1ヶ月近くに渡った教習所生活が終わった。正直、嬉し過ぎて絶叫したい気分だ。ベンチで合格通知を読んでニヤケていたら、お世話になった教官が車の中から親指を立てて称えてくれた。他の生徒の教習中なのに、流石に目が良い。他の教官も通りすがる度に「おめでとう!」と誉めてくれた。
最後の挨拶の為にコースへ行ってみると、丁度入学式を終えたばかりの新人がエンジンの掛け方を習っていた。そうそう、僕もここから始めたんだったな。あれからたったの1ヶ月で、僕はちゃんと単車を運転出来るようになった。人間、マジメにやれば何でも出来るもんだ。一回り近く年下の学生にまみれながら、10年振りに訪れた教習所。色んな驚きや発見があった。何より、この1ヶ月は本当に楽しかった。教習所の皆さん、本当にお世話になりました。有難う御座いました。
単車、買おうかな。
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