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2014-05-05

恐るべき愛・ハードウェア編

お呼びがかかったので、雨の中、とある秘密基地(という名の個人宅)にお邪魔してきた。既に数名のお客さんが来訪している。「いらっしゃい、まずはこちらのルートを」と笑顔の家主さん。通されたのは、魔窟だった。

おかしい。今まで色んなゲーム好きな人と出会ってきたけれども、プレステ1が6台積んであるお宅にお邪魔したのは初めてだ。てか、何で6台もあるんですか。「いや、全部型番が違うのよ」、えっ。「一部の型番は中身を見ないと解らないのもあってねえ、中古で買っては中を見て、ダブったらまた売って…」、しょっぱなのジャブとしては申し分のないエピソードだ。普通の人ならフィニッシュブロー級のパンチだろう。ちなみに奥のほう、サターンが4種類揃っていた。

「じゃ、こっち座って」と家主さん。目の前に鎮座しますはナムコのスターブレード。写真を見てお分かりの通り、プレステ版では無くアーケード版である。コントローラも純正。事前に伺っていたのでそこまで大きなショックは無かったけれども、5歳の娘さんが華麗に遊んでて噴いた。「これがウチで一番高価なハードだね」、ええ、間違いなく。実は筐体ごと所持していたんだけれども、家の床が抜けそうになった(200kg強?)ので、泣く泣くガワを廃棄したそうで。そのエピソード自体が常軌を逸している。この日一番のRTを頂いたネタだった。

すぐ横にはカプコンの純正筐体であるミニキュートが設置されていた。中身は上記の通りアイレムのアンダーカバーコップス。この筐体どうしたんですか、と尋ねたらあまりにも斜め上のエピソードを聞かせて頂いた。別に非合法でも何でもないんだけれども、書けない。おかしい。

とにかく目に映るもの全てがおかしい。富士通が作った最初で最後のMSXであるFM-X(何とFM-7と繋げられる!)なんかネット上の画像でしか見たこと無かったのに。ファミベのデータレコーダーなんか外箱以外は完全に新品ですよ。PC88、98、X68kにMacなどは言うに及ばず、棚の上には前述のFM-X、東芝のPASOPIA7、SONYのSMC-777、富士通のFM-7とFM-NEW7、SHARPのX1 turbo(色違いで2台)、EPSONの98互換機であるPC-286VG、CASIOとSHARPのポケコンの山、撮影出来てなかったんだけれども足元には日立のS1まで転がっていた。どうなってんのここ。

書籍類も充実。ゲームの説明書や雑誌のオマケなどはファイル10冊分くらいあり、とてもじゃないけど読み切れない。本棚は昔ジュンク堂で見かけた技術書コーナーのようになっている。Oh!シリーズなんてXとMZとPCしか知らんぞ。何だPASOPIAって。何だHitBitって。『アスキー・システム・バンク PC-8801 マシン語入門』まで置いてある。BASICしか知らなかった僕が図書館で出会った、人生最初のマシン語の本だ。当然、全く理解出来なかったんだけどね。今でも理解出来ないと思う。アスキー・システム・バンクの本はどれも輝いて見えたんよなあ。本当に懐かしい。

頭がクラクラするようなハードの海から這い出ると、そこはゲーム機の山だった。無造作に投げ出されたコントローラに目を剥く。さあここに写っているコントローラと周辺機器、どれがどのハードのものか解るかな。6機種全部答えられたらなかなかのものです。

聞いて下さい。僕ね、小さい頃、親にゲーム機を買って貰えなかったんですよ。来る日も来る日もファミコンファミコンって泣き叫んで、「そんなにファミコン好きやったらファミコンと結婚しよし!」ってオカンに怒られる始末だったんですよ。それほどにゲームを渇望していた僕が、今、引いてる。あまりの状況に、言葉が出てこない。ちなみにツインファミコンは7台ありました。書く必要も無いかもしれないけど、WiiUなどの最新機種までバッチリ全部揃ってます。Xbox360は2台あったと思います。

周辺機器の充実ぶりもおかしい。ディスクの3Dシステムは普通として、トップライダー、ドレミッコ、ワイルドガンマンセットにロボット、ジャイロ、スーパースコープetc…特殊コントローラについてはもう数えきれないくらいにあって、いちいち説明していられないレベルだ。ケーブル類に至っては、最早どれが何用なのかすら分からなくなっている…筈なのに、「あ、これ○○用の」とすぐ判別がついてしまう人ばかりの会合となっております。僕が一番凡人です。「そうそう、これRGBモニタ一台余ってるんだけど、要る?」、えっあのどういう事ですか。

お待ちかねのMSXコーナー。リビングにNationalのRGBモニタが2台鎮座してる時点でどうかしてるんだけれども、片方はコンポジットで片方はRGB接続してあって、発色の違いをそのまま見比べる事が出来るという贅沢仕様になっていた。何処の博物館だ。当時、僕はほとんどRGBモニタに接する機会が無かったので、コンポジットの方が見慣れて自然に見える…と呟いたら「ふざけんなー!」と各方面からツッコミが入った。お赦しを。

一頻りゲームを堪能した後は、何と修理大会になってしまった。X68kの外付け5インチFDDをどうにか動かそうとし始めるメンバー。手際良くバラして、テスター片手に通電チェックを行いながら検討しあってる。ソフトだけじゃなくてハードにも強い人らが集まると、こうなってしまうのか。合間にウチのA1STとGTのFDDドライブベルトも交換して貰う。頼もし過ぎる。

で、横では何故かマークIIIでMSXのゲームが動いている。同じZ80をCPUに持つマシンで、仕様的にはほぼ同じとは聞いていたけれども、これどうなってんの。さっぱり解らない。

みんなが黙々と修理を始めて手持無沙汰になったので、再びハードの海へ。何だこれ、見たことも無い巨大な磁気テープが出てきた。これあれか、昔のデータセンターとか銀行とかでガチャッとはめ込んで高速回転してたテープか。更には見たことも無いハードが出てきた。1977年製、PANAFACOM Lkit-16。TK-80の翌年、というか僕が生まれた年じゃないか。これ、キーボードを見てみたら、16進数キー以外にアセンブラ入力用のキーが付いている。出るモン出るモン衝撃的過ぎて、パンチドランカーになってきた。

怪しげなハードも続々登場。これWiiのパチモン、Vii 威力棒じゃないですか、どうやって…「いや、留学生の子が里帰りする時に、ついでに買ってきてって頼んだのよ」「そしたらその子、これ偽物ですよ!って言うんだけど、良いから買ってこいって言ってね」と笑う家主さん。「ちなみに横のエレメカTRONは激レアよ」、どういう取り合わせなんですかこれ。

そしてP6。ついに出会った、憧れのマシン。僕が初めて目にした(と言っても本でだけれども)PCだ。原寸大の印刷物でブラインドタッチの練習をしたのは5歳の時だったろうか。以来、頭の片隅にPC-6001という機種名がずっと残っていたのだ。おじいちゃん、やっと触れたよ、あの頃の最新機種に。

折角なので、P6の特徴でもあるTALK文で何か喋らせてみようと思ったんだけれども、これがどうにも上手くいかない。家主さんも現れて、二人でマニュアルを見ながらあーだこーだ検討し合う。いま、2014年よね。

これ以上ないくらいにハードとソフトを堪能し、そろそろ良い時間になってきたのでお開きとなった。と言っても、今日体験出来たハードは全体の10%にも満たないという恐ろしい事実があるんだけれども。次はお盆くらいに集まって、掃除や整理も兼ねましょうという事になった。では、お疲れ様でした。

と思ったら、最後の最後に超ド級の隠し玉が用意されていた。デコカセである。僕はつい最近までその存在すら知らなかった。コピー対策に独自仕様のカセットテープを使ってやり取りをするという、前代未聞のシステムだ。テープを変えれば別のゲームを動かす事も出来るというメリットもあるのだけれども、テープメディアは消耗品である。この辺りについては、ゲーム保存協会さんの記事に詳しい。「本体の方は、ちょっと修理してみるわー」との事だったので、次回お邪魔した時にはひょっとしたら起動しているかもしれない。

結局丸半日近く異次元空間に滞在し続けた僕。家に帰ってリビングに座った時、ようやく現実が帰ってきた気がした。僕も大概ゲームバカだと思っていたけれども、月とすっぽんとはこういう事を言うんだと痛感させられた一日だった。何回か足を運べば、あの世界にも馴染めるんだろうか。

極端に偏ったプレーヤー

長い事ジャズやってる割には名曲の数々を全然知らない僕、楽譜が読めないという事もあって、聴いた事はあるけどもタイトルが解らないものなら山の様にある。この『Tea for Two』もそうだったり。そうか、これがTea for Twoやったんか…

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