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2009-10-18

殺意の街

1台下さい。

15日目、今日は最初で最後の2時間連続教習。まさか2時間ともシミュレーター教習だったとは。メットにグローブまで持ってきたのに。

ともあれ1時間目、シミュレーターによる『危険予測』の授業が始まった。参加者は3名、男2女1という構成。どうもこの時間はやる事があまり無いらしく、教官はシミュレーターよりもバイク体験談やヒヤリハットについてのディスカッションを仕掛けてきた。

「で、皆さんはどんなバイクに乗る予定?やっぱ400?」

うわあ。これは完全に想定外。何せ僕は小型スクーター試乗会に顔を出して、ほとんどノリで普通二輪コースに入学したのだ。正直単車の車種なんてほとんど解らない。知っているのは兄のVFR800と母のAxis125、按摩師NのAddress90くらいのもんだ。どれも400じゃ無い。まさか教習車両のCB400と答える訳にもいかないし、さてどうしたものか。

と思ったら、前の二人がサクッと答えて「バイクは嗜好品やから、やっぱ免許取る前から憧れてる車種ありますよねえ」とか余計な事を口走った。このタイミングで「荷物運搬メインなんでスクーターで安いのなら何でも」とか答えようもんなら、歯を食いしばれと言われてもおかしくない。必死に考えた結果、まだ雑誌見て悩んでますと答えた。やや苦しい。

が、「雑誌見てる時が一番楽しい」だの「実際買ってみたら印象が全然違った」だの予想外に盛り上がりまくって更に冷や汗を掻いた(教習生の一人は大型二輪教習、既に普通二輪は取得している)。お願いだから早くこの綱渡りから解放してくれ。

何とか恐怖の歓談をやり過ごし、やってきましたシミュレーター。僕はジャンケンに勝ってしまい1番手。危険予測という事で、以前に走行した時より車や人が増えている気配がする。前回のシミュレーターで殺す気満々にツッコんで来た救急車の事を思い出し、慎重に慎重に発進した。

しばらく直進すると、「最初の交差点を右に曲がって下さい」との指示が。バックミラーを確認し、問題無し。交差点で右に寄って、対向車の通過待ち…と思ったら、対向車線のトラックがパッシング、「道を譲って貰いました」というアナウンスが流れた。ほー、細かいなあと思いつつも不振なニオイを嗅ぎ付け徐行。案の定、トラックの脇からバイクがフルスロットルで飛び出してきた。その手には引っかかるか。しっかり停車し、バイクが通過したのを確認してからゆっくり右折を開始した。

見えるかそんなもん。

刹那、2台目のバイクが交差点に突っ込んできた。

本当に声を上げた。フルブレーキ。幸い徐行運転だった為、鼻先スレスレで2台目も通過。これはあれか、あのトラック運転手が仕組んだ罠か。こんなもん大半の人間は引っかかるぞ。ことごとく人間心理を突いたトラップを仕掛けてきやがってこの野郎。

続いて片側1車線での駐車車両回避。今までは1台しか駐車してなかったのに、今回は3台も縦列駐車している。幸い対向車両もまだ遠かったので、しっかり右に避けて通過。ひょっとして、駐車車両の先から人でも飛び出してきたりして。

現実は違った。これ以上は無いというタイミングで真ん中の駐車車両が急発進。

また声を上げた。咄嗟にブレーキ、左側に隙間が出来たので逃げ込んだ。何だこれは。洒落になってない。今の動きは確実にタマを取りに来ていた。前の授業の時でも十分極悪だったのに、これはもはや地獄としか言い様が無い。そんな最中、教官と教習生が呑気に単車談義に花を咲かせているではないか。こっちも地獄だ。どうすれば良いというのか。

かなり前から気付いていなければ、ほぼ回避不可能。

その後も交差点にてサイレント救急車が鼻先を掠めたり、目の前の車が突然左折→横断歩道に歩行者が居て急停止→急いで右に避けようとしたらミラーの死角(右後方)から車が突っ込んできた等、いつからGTAの世界に飛び込んだのかというようなブービートラップ連発。大体シミュレーターは左右や後方確認が物理的に出来ない(画面は前にしか無い)んだから、ほとんど反射神経勝負ではないか。こんなもん『危険予測』と呼べるのか。

奇跡的に事故ゼロで生還した僕。ほうほうの体でシミュレーターから降りた。リプレイで振り返れば振り返るほど鬼畜さが良く解る。急発進、暴走、回避行動不足など、どう見ても10:0としか言い様の無いシーン連発。こんな街住みたくない。

シミュレーション後、街中で教習車両と併走する事の危険さを教官が熱く語ってくれた。基本的に路上教習に出ている生徒は余裕が無く、簡単にバイクを見落とす。特に車線変更の際には悪い意味で躊躇せずハンドルを切る事があるので、命が惜しければ教習車の斜め後ろは走らないようにと念を押された。「じゃあ次の交差点曲がるんで、左に寄りましょうか」と言われたら、教官の言葉に安心して素直に左に寄るのだ。後方確認をせずに。

そう言えば2人乗りについてのビデオも鑑賞したが、「こういう乗り方は危険です」という時に限って運転手が笑っていたのが気になった。あと、カーブの際に同乗者は運転手と一緒に身体を傾けろと言っていたが、これをやるには相当勇気が要る。傾けたほうが安全なのは解っているのだが、慣れてないと死ぬ程怖い。

親指がピンチ

勢いだけで解決してはいけない。

久々に指を痛めた。あんまり調子が良かったので、興奮して力を込めたまま弾き過ぎてしまった。親指の付け根に鈍痛がある。ちょっとマズい。取り敢えずアンメルシンを塗りたくって様子を見る事に。直後、晩飯のから揚げを作り出してアンメルシンが全部流れてしまった。泣ける。

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