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読書 Archive
『ラッシュライフ』を読みました
- 2010-06-08 (火)
- 読書
仙台市を舞台に、様々な背景を持つ4人の主人公が生活し、交錯し、繋がっていく。とても面白かったが、この本を読む上で、僕は致命的なミスを3つも犯してしまった。もしこれからこの本を読むのならば、是非以下の3つを守りながら読んで貰いたい。
- 記憶がぼやけない程度の短期間に、一気に読む
- 気になった事象はしっかり覚えておくか、メモを取る
- 読了したら、あとがきもネットの感想も読まずにもう一度読む
僕がこの話の仕掛けに気付いたのは、読了後にネットで『あるもの』を探した時だった。ボンヤリと気になっていた事が一気に全部繋がって、呻いた。大きな勘違いをしていた事にも気が付いた。恐らく、何も知らずに再読していれば自分で気付けていただろう面白さを、パーにしてしまったのだ。凄まじい喪失感だ。何も考えずに読んでいれば、ちょっと無理のある単なる4人の群像劇と思うだろうが、実は何処にも無理は無かったのだ。お見事、という他は無い。淡々としているが、僕はその中でスルメのような何かを味わった。また記憶が薄れた頃に読み返してみようと思う名作だ。
- Lush Life – john coltrane(Amazon.co.jp)
http://www.amazon.co.jp/Lush-Life-John-Coltrane/dp/B000000Y7L
Yumegiwa Last Boy – SUPERCAR / ピンポン
SUPERCAR、解散してたのか…知らなかった。映画『ピンポン』のメインテーマで、映画を含めて僕が大好きな曲だ。元々原作漫画の大ファンで、事務所の本棚にも入れてあるくらいなのだが、映画化のCMを見て一発でやられた。ダンスミュージックなのに雰囲気ピッタリで、そして泣ける。特に歌詞が素晴らしい。
このPVはニコニコ動画にアップされていたものだそうだが、編集が上手い。映画の唯一の欠点、試合のスピード感を綺麗にカバーしている。実際の卓球は、この映画の2倍近く速い。そう言えば道夫さんが出ず、大田のキャラが改変されたのも寂しかったな。完璧に実写化された『卓球タムラ』には度肝を抜かれたが。
ただ、映画と原作漫画、どちらを推すかと言われれば、僕は原作を推す。絵、ストーリー、キャラクター、表現力、コマ割、全てにおいて作者・松本大洋氏の才能を感じずにはいられない。卓球を通じて、誰もが経験する青春の挫折や苦悩を描ききった、名作中の名作と言える。部活に打ち込んだ事のある、全ての人にお勧めする。
『どちらかが彼女を殺した』を読みました
- 2010-04-15 (木)
- 読書
夜中にチマチマ読んでいたのをようやく読了。噂通り相当面白かった。有名な小説なので知っている人も多いかもしれないが、もし知らないのならば、一切の予備知識を持たずに読んで貰いたい推理小説。裏表紙のあらすじも読まないほうが、より楽しめると思う。
一つだけ知っておいたほうが良い事なのだが、この小説、実は最後まで犯人が誰か語られる事は無い。容疑者は二人、そのどちらかが犯人なのは間違いない。かなり注意深く読めばどちらが真犯人なのか解る、だから自分で考えろ、というちょっと変わった趣向の小説なのだ。僕が買った文庫本版には袋とじがついており、限りなく正解に近いヒントが掲載されているので、答えが出なかった場合はそちらをどうぞ。
個人的には、ラスト二章の混乱具合が物凄く面白かった。最初はほぼ1択、途中から2択、そして3択。語られる意外な事実や証拠がより迷いを大きくしていき、読み手の脳を揺さぶりまくる。入れ替わり続けるイニシアティブ、緊張感溢れるやり取りと謎解きを、大いに楽しんで貰いたい。
『jQueryデザイン入門』を読みました
- Web制作の現場で使う jQueryデザイン入門(Amazon.co.jp)
http://www.amazon.co.jp/Web%E5%88%B6%E4%BD%9C%E3%81%AE%E7%8F%BE%E5%A0%B4%E3%81%A7%E4%BD%BF%E3%81%86-jQuery%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E5%85%A5%E9%96%80-WEB-PROFESSIONAL-%E8%A5%BF%E7%95%91/dp/4048684116
一度でもWebサイトを作った事がある人ならば、HTMLの自由度の低さを嘆いた事があると思う。HTMLだけでは、好きな場所に文章や画像を表示する事すら難しし、ユニークなレイアウトを実現する事など夢のまた夢だ。
そこで、デザインやレイアウトを強化する為にCSS(スタイルシート)を使う。数々のバグやブラウザ間の差異に悩まされつつも、表現力は飛躍的に拡大するだろう。見栄えが良く、かつ検索エンジンに拾ってもらい易いサイトを作ろうと思えば、CSSは避けて通れない。幸い、CSSはそれほど難しいものではない。
だが、そのCSSにも限界はある。アニメーションを伴うコンテンツや、条件分岐で表示内容が変わるようなサイトを作る為には、FlashやPHP、Javascriptに手を出さざるを得ない。そのどれもが、ちょっと敷居が高いのだ。
そこに突如現れたのが、このjQuery。実際にはJavascriptのカタマリ(ライブラリ)なのだが、難しい部分をすっ飛ばして簡単な命令で多種多様な動きを実現出来る、僕らのような人間にはうってつけのライブラリなのだ。画像をクリックすると飛び出すように拡大画像が表示されたりするギャラリーなども、jQueryで実現している事が多い。
本書ではjQueryの基礎や書き方から、サンプルや実例までを一通りフォローしてくれている。最初のとっかかりとしては十分だし、世界中の人が作ったjQueryプラグインの解析・改造にも十分役に立つだろう。書き方が若干特殊なのだが、CSS3の機能を擬似的に実現したり、フェードやスライド効果を恐ろしく簡単に実現したり、HTMLを書き換えたりと申し分無い威力を発揮するjQuery。何より、Flashに頼らず動きのあるサイトを作れる事が嬉しい。自由度もかなり高いので、これをキッカケに手を出すのも宜しいかと。
欲を言えば、もう少しだけ安ければ…あとこれは、どうでも良い話なのだが、本文に小塚明朝、見出しに小塚ゴシックが採用されていて驚いた。最近街でも小塚率が高まってきているのだが、ひょっとして不景気のせいか。いや、個人的には小塚フォントは大好きなのだが。
『そして誰もいなくなった』を読みました
- 2010-02-28 (日)
- 読書
『そして誰もいなくなった』はアガサ・クリスティが1939年に発表したクローズドサークルミステリの大傑作で、タイトルだけなら聞いた事がある人も多数居るだろう。僕もその内の一人だった。
つくづく後悔したのだが、これ、『十角館の殺人』の前に読むべきだった。オマージュと思われる部分が沢山あって、こっちを先に読んでおいたほうが、どちらも倍楽しめる。勿体無い事をした。名著なので当たり前なのだが、実際かなり面白い。キャラクターがしっかり立っていて、話が進むにつれそれぞれの後ろめたさや疑念のもつれが溢れ返ってくる。だが、それでいてエグみやキツさはなく、寧ろアッサリしていて新鮮だ。インパクトで押すような感じとは、ちょっと違う。個人的には、最後の一人のシーンで結構来るものがあった。
結構勢いよく読んだので、幾つかのシーンにあやふやな所があるが、トリックや犯人が解ってから読み直すと更に面白いとの事なので、時間を作ってまた読み直したいと思う。間違いなく名作であるし、ミステリの最初の一冊としてもオススメ出来る。むしろ最初がこの本であって欲しいと思う。
それにしても、1930年代って、どの程度文明が進んでいたのか。たまに文明の利器みたいなアイテムが出て来る度に、自分の中でおおっ、と思わされた。ついでなので幾つか調べて列挙してみた。
どれも18世紀に生まれとるではないか。ちょっと恥ずかしくなった。
『十角館の殺人』を読みました
- 2010-02-03 (水)
- 読書
僕が綾辻行人氏の小説と出遭ったのは高校生の頃で、最初に読んだのは「絶対面白いから頑張って読め」と同級生に渡された『殺人鬼』というスプラッタホラー小説だった。タイトルからしてヤバさ満々だが、中身は更にハードで、怖くて怖くて背中を壁に張り付けながら読み続けた記憶がある。
実はこの小説、書き出しに読者へ謎解きを促す表記があり、気付くかどうかを試しているのだが、僕は最終章までそれに気付くことが出来なかった。種明かしされた時、驚愕が恐怖を上回った。確かに面白いと思ったが、内容が内容だけにあまり人に勧めづらい本ではある。
あれから13年。刺激を求めて小説を探した結果、『十角館の殺人』に辿り着いた。実はこの本の存在自体は高校時代から知っていた。綾辻氏は『かまいたちの夜』の脚本家・我孫子武丸氏と同級生(京大推理小説研究会)で、かまいたちにハマった人向けに、ゲーム雑誌が「滅茶苦茶面白いから読んで」と紹介していたくらいだ。実際、何処の本屋に行っても必ず見かける、それくらい有名な本だった。ただ、僕には何となく敷居が高そうで、ずっと避けていたのだ。
- オチがめちゃめちゃびっくりする日本の小説教えて(無題のドキュメント)
http://mudainodqnment.blog35.fc2.com/blog-entry-1161.html
だが、上記のスレを読んで、我慢が出来なくなった。どうしても読みたい、すぐにでも読みたい。先日、ついに近所の書店にて購入。2007年に改稿された新装版らしい。500ページくらいある。我が家に『殺人鬼』以来の綾辻行人氏がやってきた。願わくばグロくありませんように。
この本、終盤に出てくるたった1行が強烈な衝撃をもたらすらしい…そんな噂を様々な場所で聞いていた僕は、少し注意深く読み進めた。全てに気付いたら面白みが半減するが、少しの気付きなら方向性が合っていたと満足感を得られるだろう、いやでも案外カンタンに気付いちゃったりして…もう少し何も考えずに読んだほうが良いかなあ、等と思いながらページをめくる僕。
甘かった。予想だにしないシーンで、その1行はやってきた。
完全に不意を突かれて、えっ、と声を上げた。しばらく絶句して、何度も読み返してみた。ああああ、やられた、見事にやられた。僕の推理はかすりともしなかったと悔しんだ。それと同時にこういうやり方があるのか、と感動した。これ、是非読み終わった人と、自分がどう推理して見事にやられたかを語り合いたい。肩をバンバン叩きあいたい。ちょっと古い本だが、お勧めする。
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