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読書 Archive

『オーデュボンの祈り』を読みました

実に2年振りの読書。ずっと前から放置していた小説棚に手を伸ばし、読み始めたのは伊坂幸太郎著『オーデュボンの祈り』。先に『ラッシュライフ』を読んでいたんだけども、順番としては逆の方が良かったか。ラッシュライフにオーデュボンの祈りの人物が出ていたので。

さておき、感想はと言うと上記の通りかなり奇妙で、それでいて妙にスッキリした読了感があった。喋るカカシを中心とした非現実的な世界なのに、妙に説得力があって。それでいて時折現実の怖さが牙を剥いて。どうやったらこんな奇妙で面白い話を組み上げられるんだろうか。これがデビュー作って言うんだから伊坂幸太郎という人の底が知れない。

『ノンプログラマのためのJavaScript』を読みました

僕の持ってるJavaScriptの知識って物凄く中途半端で、今までサンプル公開されていたものをイジって流用で済ませてきた為、一歩奥へ入ると何も手が出せないといった事が多かった。この本は基礎の基礎を教えてくれる良書で、何も知らずにゲームまで作っていた僕にとっては良い薬となった。上記の通り、ノリと雰囲気だけでjsを組んでいた人にオススメする。

で、これを読み終わってから以前に買った『jQuery入門』を読み直したら目から鱗がポロポロと。やっぱ元になる技術を知ってないと、ちゃんと理解出来ないわ。これを機に更にJavaScriptを掘り下げていこうと思う。そしてようやく、次のゲーム制作に手を付けられそうだ。

歯が痛い / 『超・殺人事件』を読みました

昨日くらいから歯茎が強烈に痛みだし、立つだけでもフラつくという今年一番の体調不良。何もしてないのに呼吸が乱れている。氷を口に含んで歯痛を抑えるツボを押し続けないとマトモに思考も出来ない状態で、仕方なく布団を敷いてずっと横になっていた。お出掛けでも無いのに、これだけ長時間ネットに繋がっていないのは久々だ。

痛みがやや和らいできた所で、する事も無くなり久々に読書をする。東野圭吾著『超・殺人事件』。以前Amazonで購入した短編集なのだが、時間が無くて読む暇が無く積んだままだったのだ。早速読み始めたのだが、まあシニカル。声を上げて笑った。今まで読んだ東野圭吾の小説はどれも生々しくて、現実に叩きのめされるような感じがあったけど、こんな作風でも書けるとは。この本、メチャクチャ面白いけど、それと同じくらい黒い。ずっと笑ってて、ふと我に返って、ジワッと何が這い登ってくる感じ。さっきまで笑ってたのに、今は真顔。

どの話もホントに良く出来てるんだけども、その中でも僕は、『超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇)』が一番グッと来た。たった50ページでこれだけ上手く二転三転させられるとは。サクッと短時間で読み終えられるので、気軽に読んで僕と同じ気持ちになって頂ければ幸いだ。

『解決まではあと6人』を読みました

週明けからボチボチ読みだしていた『解決まではあと6人』読了。1994年に発売された本なので時代背景がちょっと古いけど、それでも十二分に面白かった。一人の女、5つの興信所、5つの依頼。あまりにも奇妙な依頼が、奇妙な場所で繋がって行く。第四章でオールドPC(といっても当時としては新しい)の話が飛び出して、一人ニヤニヤしていたりもしたが、このオチですよ。また変な声が出た。

まあホント、とにかく良く出来てる。何でこんなアイディア思いつくんやろうと。一章ずつ主要人物がゴロッと変わって、話自体は淡々と進んでいくんだけども、俯瞰で観られる読者だけがジワジワ興奮してくきて。同時進行している訳じゃないから『』のようなザッピングゲームとは違うんだけど、それに近い感覚がある。ザッと読み返してみて思った。『この物語の主人公は、一体誰なのか?』と。それを考えてみるのも面白い。平成初期の空気を知らない若い子には厳しいかもしれないが、僕ら30代くらいより上の人には自信を持って勧められる一冊だ。

『そして扉が閉ざされた』を読みました

1987年に刊行された、かなり変わった推理小説。以下、背表紙の紹介文より。

富豪の若き一人娘が不審な事故で死亡して三カ月、彼女の遊び仲間だった男女四人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた。なぜ?そもそもあの事故の真相は何だったのか?四人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末は?極限状況の密室で謎を解明する異色傑作推理長編。

登場人物はたった6人、場面がシェルター内と回想シーンしか出てこないので理解しやすく、スラスラと読めてしまったのだが、まあやってくれましたよ本当に。この設定を最大限利用した意外な展開と、意外な嘘。誰が、何故、何の為にという疑問が、ちゃんとこの場だけで解決してしまうんだからホントに凄い。もっと早くに出会っていたい一冊だった。面白いので、是非。

『七回死んだ男』を読みました

とても面白かった。読了感が爽やかで素晴らしい。主人公は平凡な高校生なのだが、年に数回、同じ日を9回繰り返してしまうという謎の体質を持っている。そんな少年が出会った、新年会での殺人事件…最初はサスペンスかと思いきや、ループを重ねるごとにシュールギャグのような様相を呈し、そして…いわゆる『ループもの』の話なのだが、登場人物全員が濃くてユニークなのもあって、ループが起こる度に様々な表情を見せてくれるのが面白い。ドタバタしながらも、ちゃんとオチに向かっていくというのも流石。個人的には2か所『やられた』と思う箇所があった。お勧めしたい一冊です。

『しあわせの書』を読みました

200ページちょっと。

かなり短い本なのに、読み終わるのに2か月もかかってしまった。本書はマジシャンでもある泡坂妻夫氏によるミステリーで、『読み終わると衝撃を通り越して感動する』とまで評されたトリックが仕組まれている。案の定、僕はそれに引っかかってしまった。これは鮮やか過ぎる。本当に目の前でマジックを見せられた気分だ。かなり読み易いので、是非マジックを見るつもりで読んで頂きたい。きっと新鮮な驚きを感じる事が出来るだろう。

『イニシエーション・ラブ』を読みました

くぬう。

しょっぱなからイラッとして、ずっとイライラして、最後から二行目で呆気にとられて、解説を読んで鳥肌が立った。この解説が無ければ、2つ目の仕組みに気付くのに時間がかかっただろう。なるほどなあ、悔しいくらいに良く出来てる。

頭を使わずにダラダラ読むと、男の性格にイライラする事この上ない恋愛小説。こんなに感情移入出来ないキャラクターは初めてだ。また、時代設定が80年代後半の為、ある程度知っておいた方が良い知識もある。僕はこの時代、バリバリのPCオタクだったので、世間一般に知られているようなドラマ・ミュージシャン・有名人の逸話なんかが全然解らなかったのが残念だ。期せずしてFM-7OASYSなんて単語が出て来た時はニヤッとしたが。

だがこの本、そんな凡庸な恋愛小説ではない。エゲつない罠が仕組まれた、ミステリーなのだ。別段、警察沙汰になるような展開がある訳では無いのだが、2つの仕組みを理解してから読み返すと、話の内容がゴロッと変わってしまう。また、数多くある伏線にも驚かされるし、ゾッとする。解説にはヒントしか書いていないのだが、1つだけ理解出来ずに悩んでいた。が、それが解った時、とんでもない衝撃がやってきた。そうか、そこまで考えていたのか。

それにしても、何度読んでもイラッと来る男だ。友人でこんなん言う男がおったら、多分シバいてると思う。

『ロートレック荘事件』を読みました

ちくしょうと言わざるを得ない。

少し休んだ方が良いと色んな方に言われたので、今日は仕事も半ばに読書に勤しむことにした。先日Amazonで大量購入した小説の一つ、筒井康隆氏の『ロートレック荘事件』。214ページを4時間、恐らく過去最短で読了した。いやー、参った。またやられた。しょっぱなから微妙な違和感を感じてはいたのだが、結局最後まで本質に気付けなかった。負けた。

この本に関しては、ちょっと書けばすぐネタバレに繋がりそうなので感想が書き辛い。ただ、短いながらに読み応えはあるし、一見不可能犯罪に見えるが動機やトリックに破綻は無い。仕掛けを理解した時、あまりにも意外な方向から殴られたような感じで、半笑いになってしまった。話自体はベタで良くあると思うのだが、この要素一つで状況がまるで変わってしまうというのが素晴らしい。沢山の思い込みが、どんどん意外な方向へ…460円とお安く、ページ数も短めなので、是非僕のように騙されて頂きたい。

余談だが、筒井氏の本を読んだのはこれが2冊目で、1冊目は小学生の頃、夏休みの読書感想文を書く為に買った『くたばれPTA』だった。ショートショート集(星新一の影響で好きだった)、子供好みの挑発的なタイトル、何となく聞き覚えのある作家名。かなり面白いんじゃないかと読み始めたのだが、これが毒と下ネタの宝庫で、こんなんで読書感想文を書いたらブン殴られると思い封印した。『読書感想文に!』と書かれた帯を心底呪ったものだ。以来、何となく気恥ずかしさがあって、筒井氏の本には手を出せずにいた。結局この年の読書感想文には、畑正憲氏の『どんべえ物語』を読書感想文として出したんだっけか。

『秘密』を読みました

帯を取って驚いた。

大阪帰りの電車の中で、ラストの数十ページを読み終えた。うずくまりたくなった。

実は昔、テレビの再放送か何かで映画版『秘密』を中途半端に見た事がある。序盤30分ほどが見られなかったのだが、その後は何となく、あーこれ『秘密』とか言うやつよなあとボーッと見ていたのだ。ラストの辺りでは図らずも涙ぐんだりしたものだが、オチに関しては悲しみより衝撃が勝り、えっ、と絶句して動けなくなった。そんな、まさか、と。

今回、数年振りにその衝撃を噛み締めようと、この本に手を出した。実際読み始めてみると、映画より小説のほうがよりリアルに感じてしまう。本の中で繰り広げられる夫婦のやり取りは、とても可笑しく、悲しく、何より異様に生々しい。サブキャラクターの生々しさにも驚かされた。様々な場面で描かれる『家族愛』。ああ、そうよなあと納得させられるものばかりだ。

映画版と小説版ではオチが少しだけ違う、という話は耳にしていた。実際ラストまで読んでみたら、驚いた事に今度は衝撃より悲しみが勝った。映画でオチを知っていたというのもあるが、こっちのほうが酷く心に来る。どうしようもないやるせなさが、ずっと残る。少し読み返して、またラストを読み、また少し読み返してラストを読んだ。夫、妻の心情を察すれば察するほど、より一層理解と悲しみが深まる。こんな『秘密』、一生背負えるものなのだろうか。

ただ、不思議な事に、読むのが辛いといった感覚になる事は無かった。また読んでみたいと思うし、素直に人に勧めたいとも思える、本当に良い小説だ。恐らく、読む人の立場によって感想は大きく分れるとは思うが、それでも出来るだけ沢山の人に読んで貰いたいと思える、傑作だと思う。これは、本当にとんでもない小説だ。

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