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インディーゲーム東京旅行・田舎者上京する

9月22日。京都発東京行き8時6分のぞみ110号、5号車8番A席。毎度の事ながら、最初の行程が一番リッチな東京旅行である。時間に余裕があったので、しっかりお土産を選んでホームへ移動。大量の荷物を抱え、三列シートの一番窓側に腰を下ろし、ノートPCを広げる。おおよそ持ち運びには適していない17インチノート Dell Vostro3700、重さ3kg。ホントは事務所に置いてきたかったんだけども、少しでも仕事を進めるために止む無く持ってきた。iPhone5のテザリングでネットも快適である。あ、そういや新幹線内でテザリングするのは初めてか。環境が整ってしまったので、旅行しているという気分に全くなれない。

道中、盗み聞きするつもりは無かったんだけども、隣に座っている二人組女性の会話が耳に入ってきた。どうやら二人はインディーズミュージシャンらしい。その苦労話や悩みが、あまりにもインディーゲーム開発者とダブってしまったので声を掛けそうになったが止めておいた。頑張ってねと心の中から応援しておく。

仕事している間にも新幹線はどんどん進む。目指すは東京、ではなく、品川駅。夜の集まりの事を考え、この大量の荷物を会場の最寄りである品川駅のロッカーに叩き込んでおくという手筈だ。どうやら先に東京入りをしているMaruchuさんが襲い掛かってくるらしいので、新幹線を降りたら警戒しなくてはならない。程無く新幹線は品川へ。やれやれと重い荷物を抱え、通路へ向かう。

「や、おはようございます」

全くの不意だった。真正面から、聞き覚えのある声が。あまりの出来事に目を剥いた僕に向かって「いやー、メッチャ素で疲れた顔してましたねー」って、何やってんすかMaruchuさん。何で同じ新幹線乗ってんですか。駅じゃなくて、新幹線内でアンブッシュ(待ち伏せ)します普通?「驚きました?驚きました?」、ああもう参りましたよ、そりゃ僕の座席やら全部伝えてましたけど!聞けばわざと隣の車両に席を取り、下車時に正面から鉢合わせるよう仕組んでいたらしい。とんでもない策士だ。あと徹夜したって聞きましたけど、まさかこの為だけに…ホントは夜だけ参戦する予定やったって…

Maruchuさん

http://maruchu.nobody.jp/

名古屋が産んだHSP界の巨人。HSPプログラムコンテスト皆勤賞で、最新作のカラフルマインが見事PLAYISM賞に選ばれた。パズルゲームを溺愛しており、定期的に赤味噌とレッドブルを摂取しないと震え出す危険な人。不意打ちに全力を尽くすタイプ。ちなみに、世界には3人の㊥が居るとの事。

二人仲良く下車した品川駅。初めて訪れた駅なので全く勝手がわからないんだけども、取り敢えず会場方面へ歩いてロッカーを探す事に。Maruchuさん品川は?と聞くと「前に一度だけ…ここロッカー無いんですよねー」と。地図を見ても、確かにロッカーが見当たらない。途方に暮れて、まさかの品川交番デビュー。「高架の下にあるんですよ」と教えて貰った。何でこんな変な所にロッカーあるんやとボヤいたら「品川って超一流ビジネス街じゃないですか、だからロッカー使う(荷物を抱えてる)人も居ないんじゃ?ロッカー使うのは田舎者、という意思表示では」、おのれ品川。

何とか荷物も整理出来た所で、改めて千葉を目指す我々。小野口さんに教えて貰った経路を辿ろうとするも、まず最初の大崎が見当たらない。路線図を前にあたふたし、結局東京から京葉線に乗ろうという事になった。聞けば東京駅の京葉線ホームは尋常でなく遠いらしく、行き倒れの人間が出たとか出ないとか。ナンボのもんじゃいと東京駅へ降り立ったら、京葉線の道案内にだけ番線ナンバーが振られていなかった。これもまた田舎者に対する仕打ちか、おのれ東京。

行けども行けども『←京葉線』『↑京葉線』と書かれた案内板を目にし、我々は構内のラーメン屋T’sたんたんでビバークする事にした。単純に幕張メッセの飯がショボいからここでという事もあったんだけども、やってられっか東京駅。「これ一駅分くらい歩いてますよね」とMaruchuさん。ラーメンを食いながら、初期のHSPにおけるフレームレートのヤバさや、一見使い道が無さそうなdo while文などについてMaruchuさんに熱く語って貰った。これがなかなか面白い話で。

思った以上に美味しかったラーメンを経て、どうにか辿り着いた京葉線のホーム。ここから乗り換え無しで海浜幕張まで40分少々。少しは落ち着けるかなと思っていたら、駅に止まる度にどんどん人が乗ってくる。何事か、これみんなTGSへ行く人か。今まで一度もTGSへ行った事の無い僕らは戦慄した。いやいや大阪行きの通勤電車でもここまでは酷くないぞ。命の危険を感じ始めた頃、電車は舞浜へ到着。ザッと人が降りていった。そうか、京葉線にはここがあったかネズミーランド。おのれ千葉の癖に東京などと名乗りおって。僕らが行くのも千葉だけど。

それでもまだ電車内にはかなりの人が残っている。と、ここで初めて気が付いた。ソフトバンクやロッテのユニフォームを着ている乗客が多数居るのだ。降りて納得、海浜幕張駅は幕張メッセだけではなくQVCマリンフィールドの最寄り駅でもあったのだ。更には同じ幕張メッセで、NMB48のイベントをやってるとか。誰だこんなスケジューリングしたのは、支配人を呼べ。グッタリした僕とMaruchuさんは、人に飲まれるようにして幕張メッセへ向かった。

デカいわ。視界の端から端まで建物ってどういう事よ。しかもこれで小さいほうのホールとか、どうかしてるぞ幕張メッセ。呆気にとられながら、僕らはようやくTGSに到着した。中は一体どうなってるんだ。

インディーゲーム東京旅行・爆裂NIGOROブース

幕張メッセの展示場は大きく二つに分かれている。メインの大きいほうが国際展示場1~8ホール、少し離れた場所にある小さい(といってもかなり大きい)ほうが国際展示場9~11ホール。今回、インディーズゲームコーナーは小さいほうの9ホールにスペースを設けられていた。同じホール内には、いまいち何をやっているのか解らない吉本のブースと、その名の通り家族でいろいろ楽しめるファミリーコーナーが陣取っている。その他の、いわゆる大手一般企業は大きい1~8ホールを丸々使用している訳だ。

大ホールと小ホールでは、やはり来客数にかなりの開きがあるらしい。木金に開催されていたビジネスデイではインディーズゲームコーナーも大ホールにスペースがあったそうだけども、今回はここのみ。もう少し大ホールと小ホールの行き来が近ければなあ。それでもTGS初参戦の僕から見たら、結構な来客数だったように思う。

入ってすぐ、NIGOROのならむらさんやPANDAさん、PLAYISMの皆さんと会う事が出来た。TGS最終日と言う事もあって若干疲れが見えるけど、まだ頑張れそうな感じだ。新しくPLAYISMのメンバーになったナイヤンさんとも初対面、どうも初めまして。今まで色んな場所で会ってきたクリエイターさんや記者さんも多数参戦されているようで、取り敢えずまずはお世話になっているNIGOROのブースへお邪魔した。

ならむらさん


NIGOROのボス、ディレクター・グラフィッカー。ツッコミ鋭くボケは際どいオールラウンダー。絵が恐ろしく上手く、高い技術力を使って全力でふざけるタイプ。La-Mulanaではトラップを仕掛ける事に命を懸け、老若男女問わず平等にプレーヤーを殺しては喜んでいた『プレーヤー殺しの男』。先日息子たちに自宅で初めてゲームを遊ばせたそうなんだけども、何をプレイさせたのかというとこちら。流石。

PANDAさん

http://asterizm.jp/

NIGOROの運営元である株式会社アスタリズムの社長さん。NIGOROメンバーからは雑用扱いされているが、サーバ構築からデザイン・撮影・スケジュール管理・企画運営・会計・法律など、恐ろしいまでの守備範囲を誇っている超人。電波が入らないと元気が無くなり、カメラを持つとイキイキする。恐ろしく行動が早い。気配りの人。

PLAYISM 水谷さん

http://www.playism.jp/


PLAYISM twitterアカウントの中の人。NIGOROさんに心中を迫られたり(上記動画参照)フリーダムなクリエイターやスタッフに翻弄されたりしつつも、インディーズゲームの為に日夜走り回っている。設立2年ちょっとでPLAYISMを世に知らしめた立役者。激務でフラフラになってる所をよく見かけるので、会ったら優しくしてあげて下さい。

PLAYISM ジョシュさん


ゲームとガンダムに命を懸けている米国出身のナイスガイ。ローカライズ担当、通称PLAYISMマン1号(上記動画参照)。仕事でゲーム、プライベートでゲーム、暇が出来たら日本橋をフラフラしているとの噂が。10年近く日本に在住していて、日本語どころか日本文化に染まりきっている。最近、英語を喋っている所を見ると違和感を感じるようになってきた。

PLAYISM ナイヤンさん

今年アメリカから日本にやって来た、PLAYISMさん待望の新メンバー。お会いするのは今日が初めてで、この後いろいろと面白い話を聞く事になる。

NIGOROさんのブースでは、このTGSに合わせて超急ピッチで作ったLa-Mulana2のプレイアブルデモが展示されていた。PANDAさんからイベント用Tシャツを受け取り着替える。こんにちは、スタッフです。既に何人もプレイして貰っているようで、昨日のレポートでは見かけなかったものも発見。皆さんご愁傷様です。このあと僕もこの中の一人になりました。デモ版も一応クリアがあるらしいんだけども、まだ誰もクリア出来ていないとか。それなのに今日になって罠を増やしたと聞いたんですが、どういう事なんですかならむらさん。

ブースのほうは朝からずっとお客さんが途切れず、総じて好評だそうだ。デモ版なのでかなり内容も制限されているんだけども、それでも画面がワイド対応(16:9)になっていたり、横スクロールのステージがあったりと目新しい部分も見受けられた。主人公である娘のドット絵も凝っている。ポーズするとちゃんとカレー食うんだけども、アニメーションが父親とはかなり違うらしい。気付いた人は居ただろうか。あと、この娘ってLa-Mulanaエイプリルフール動画にネタとして一瞬出てたんよね。エイプリルフール動画の紹介記事には「ウソにきまっておる」って書いてあるけど、聞けばこの頃から既に…

沢山のお客さんが遊びに来てくれたNIGOROブースだったけども、意外だったのは女性や子供さんが多かった事。La-Mulanaというと、どうしても濃いオッサンゲーマー達がヴォーと雄たけびを上げてる画を想像しちゃうんだけども、この日はかなり様子が違った。たまたま通りがかったのか、それともLa-Mulanaを知っていたのか、聞いておけば良かったと今更後悔。最初の写真は脳波をキャッチして耳が動くnecomimi付き女性。頻繁にピコピコ耳が動いて興味津々だった。La-Mulanaとnecomimiの歴史的邂逅である。2枚目は少年プレーヤー。試行錯誤しながらプレイしていて応援したくなる。どうか僕らみたいじゃなく、真っ直ぐな大人になって下さい。3・4枚目は2人組女性のプレイシーン。協力して歩を進めて、ルームガーターにブッ飛ばされていた。終始楽しそうで良かった良かった。

ここでNIGOROブースの愉快なスタッフを紹介しておこう。さとうさん、キングさん、hasuさん、そして僕。お客さんとして、taigooooさん一家も遊びに来てくれた。悪い大人関東支部祭りである。一般公開日の初日はさとうさんとキングさん、今日はキングさんとhasuさん、そして僕がブースを守る陣形だ。キングさんは連日の立ち仕事でヘバっている様子。hasuさんは何と夜勤上がりである。上京組も関東組も満身創痍である。さとうさんは夜になったら再び合流の予定だ。

さとうさん(げばらも)

http://u-k-design.com/
http://www.gebsite.org/

悪い大人関東支部の一人。イベント『洞窟物語のウラガワ』で出会ったデザイナーさん。紙・Webを問わずデザインしまくりフォント作りまくり。ゲームフォントを大量に公開しているgebsiteの運営主でもある。新旧問わずシューティングに目が無く、特に怒首領蜂最大往生にハアハアしている三児の父。M2さんのアホ毛ちゃんばらの公式サイトを作ったりも。

王の巣窟 キングさん

http://king-soukutu.com/

あのロッコちゃん人生オワタの大冒険を作ったFlashプログラマ。春のBitSummitにて初遭遇し、PLAYISM2周年にて再会(わざわざ東京から来てくれた)、気が付いたら悪い大人関東支部の一員になっていた。内気なように見えて実は大胆。既に複数の情報が出ているので知っている方も多いと思うけども、本日の陰の主役。

hasuさん

http://hasumarie.blog103.fc2.com/


悪い大人関東支部の一員。ギタリスト・ベーシスト・そしてレトロゲームBGMのアレンジャー。楽器を愛し、音源(FM音源やSSGなど)を愛し、原曲を愛する熱い漢。レトロゲームが好きな人、まあ良いから黙ってこれ聴いて下さい。漏らすから。その次は下にある動画一覧に手を出して下さい。このグラディウスシリーズがキッカケで悪い大人たちと親交を持つようになり、今ではすっかり中の人に。レトロゲーム大好きで、特にコナミ・ファルコムが大好物。【追記】hasuさんもTGSのレポートを書いてくれました。

taigooooさん

http://cyberworld.web.fc2.com/

イベント『洞窟物語のウラガワ』で出会った、悪い大人関東支部のドンとも言うべき技術者さん。本職は購買なんだけれども、若い頃からPC-8001などをイジり倒し、工業高校時代にマシン語を使ってエレベータの制御プログラムを書いた事もある豪の人。さとうさんとのタッグで作ったスマホゲーム部長の印2012年のHSPコンテストでHSP3Dish部門・優秀賞を受賞。今でもメガドライブやスーファミなどが瞬時に起動できる環境があり、二人のお子さんに英才教育を施している。日曜大工が大好きで、駄菓子屋ゲーセン筐体を作ったりも。

chabokoさん

taigooooさんの奥さん。超似た者夫婦で、二人ともお酒が入ると倍面白くなる。プロフィールがあまりに面白いので、そのまま以下に転載。「神奈川在住 人生初のハードがテレビゲーム15とレーシング112だったと最近気付きました。クリスマスプレゼントにファミコンでなくセガマークⅡが来たり同時期にMSX2が家にあったあたりで人生の方向性が決まった気がします。初ボーナスでメガドラ&CD買っちゃうとか。」

しばらくブースの前に立っていると、ならむらさんに向かって少年が近づいてきた。笑顔で「Wiiware版のLa-Mulanaプレイしてます」という彼、何と8歳(当初間違って9歳と書いていました、ごめんなさい!)。流石のならむらさんも驚いていた。握手をして記念撮影、お父さんにもご挨拶して別れたんだけれども、いやー嬉しいですよねならむらさん。あんな小さな子まで遊んでくれてるなんて。

「そうだね、おーそうか良く来たなー、さあこっちおいでドーン!死ねー!というのがLa-Mulana」

ならむらさんは、本当にブレない。

インディーゲーム東京旅行・新しい出会いと再会と

今回僕は一応撮影班という事で参加しているので、時間を貰って各ブースにお邪魔してきた。まずは株式会社クアッドアローさんのEF-12。代表の小野口さんはBitSummitに参加されていたんだけれども、その時はまだお互い面識がなく、今回めでたく初めましてとなった。いつもtwitterでお世話になっております。EF-12のほうはコンテストに入賞したキャラがかなり増えている上に、何とアルカナハートの主人公・愛乃はぁとが動いていた。これアーケードで動いてる現役のゲームキャラじゃないですか。この辺りの経緯は上記4Gamerさんの記事に詳しい。

そういや小野口さん、La-Mulana2をプレイして「ピットフォールみたいに左へ行ったら即死、みたいな難度かと思ってたよ、案外優しいね!」との感想を頂いたんですけど、色んな意味で、ならむらさんはそんな生易しい人ではありませんよ…

株式会社クアッドアロー

http://ef-12.com/

株式会社クアッドアロー代表 小野口さん

CGの動きをデザインするモーションデザイナーさん。鉄拳1・2の吉光やソウルエッジのヴォルドなどを手掛け、20年もの間第一線で活躍されているクリエイター。開発実績が凄まじい事に。EFシリーズ構想を10年以上前から持ち、今なお開発を続けている。冗談と野球が大好きで、良い試合の日(ex:田中のマー君が登板する日)にはtwitter上で大興奮しているオチャメな人。広報部長であるモジャモジャのウェンディー氏と毎日一緒に出勤している。

隣の列には、ニュースで何度も見た事のあるTENGAMIが展示されていた。昨年のセンスオブワンダーナイトで入選した話題作で、斬新で美しいグラフィックが沢山の人の目を引いている。折り畳んだり広がったりの動きにゾワッと静かな感動が。制作チームnyamyamの東江(あがりえ)さん夫妻がブースに居られたんだけども、この時は話せず終いだった。二次会にてメチャクチャ面白い話を山の様に聞かせて頂いたんだけれども、それはまた後程。

nyamyam

http://nyamyam.com/

英国のゲームクリエイターチーム。といってもメンバーは英国人、ドイツ人、沖縄在住の日本人2人という国際色豊かなチーム。Kinectスポーツ等を開発していたrare社の開発メンバーが集まって独立したとの事。処女作となるTENGAMIは昨年から注目を集め続けており、来年の1月までにはリリースの予定だそうだ。

更に歩いてみると、これまた見覚えのあるゲームが。リズムに合わせて動くローグライクRPG、Crypt of the NecroDancerじゃないか。以前何処かで紹介記事を見て一目惚れしてたんだけども、まさかここで見られるとは。そしてプレイしているのは、先日のLa-Mulana STEAM配信記念緊急生放送で取材をして下さったGokubutoさん。何と。

Crypt of the NecroDancer

http://necrodancer.com/

カナダ出身の3人で活動しているゲーム制作チーム。お会いした方は日本語ペラペラ。物凄い親切で、敵キャラが描かれた缶バッジと名刺を頂いた。「バッジ、ゴーストが不人気なんですよー」と笑っていた。来年の春にはSTEAMでリリースされるそうなので大変楽しみ。もっとゆっくりお話したかったチームの一つ。

Gamers Geographic 主筆 安田さん(Gokubuto.S)

http://gamersgeographic.com/ja/


La-Mulana STEAM配信緊急生放送で出会ったゲームライターさん。現在はGamers Geographicという新しいメディアサイトを立ち上げ、恐ろしいスピードで日夜記事を書き続けている。イベント等で何度かご一緒した事があって、同じ題材で自分でも日記を書いてみるんだけどGokubutoさんのほうが圧倒的に面白く、圧倒的に日本語力が高い。プロは違うなと唸らされた。ダイビングと自転車が大好きという健康的な面を持っている。

聞けばGokubutoさんもこのゲームに注目していたそうで、真剣にプレーをされていた。残念ながら僕は遊ぶ事が出来なかったんだけれども、あちこちから「これ面白いよ!」という声を聞いたゲームだった。リリースまでじっと我慢の子。

後から知ったんだけども、欧米勢だけではなく台湾勢も多数参加していたインディーズゲームコーナー。こちらはSpace Qubeさん。PLAYISMさんの他にも翻訳スタッフが多数居られ、あちこちで活躍されていたんだけれども、意外と普通に日本語を話せる外国人さんが多くてビックリした。ここまでやってくるという事は、それだけ日本に興味や関心があるという事なんだろうか。ぜんぜん関係無いけど、PANDAさんカメラ似合うなあ。

Space Qube

http://spaceqube.lynxengine.com/

ボクセルで自機を描いてゲームに投入できるのがユニークなシューティングゲーム。難度は低めで、お絵かき的な要素で楽しむのがメインかも。具体的なやり方は解らないんだけども、何と3Dプリンターでデータを出力出来るとの事。子供喜ぶやろうなあ。つい先日、iTunesでもリリースされたとの事なので是非。

そうそう、La-Mulanaブースにねとらぼのライターである池谷さんも遊びに来ていた。聞けば昨日もプレイしに通ったそうで、デモ版La-Mulana2の初クリアプレーヤーとなっていた。ドヤ顔していた所を見てならむらさんが、「中ボスから逃げ回って悲鳴あげてたくせに…」と悔しそうな顔をしていた。

ねとらぼ ライター 池谷さん

http://nlab.itmedia.co.jp/


イベント『洞窟物語のウラガワ』で司会を務めてもらったライターさん。お会いするのは2年振り。何かと洞窟物語やLa-Mulanaに縁がある。日々面白そうなものを見つけては走り回っているチャレンジャー。ライターってこんな身体を張る職種やったんですね、どうか御無事で…先日のゲームライター座談会inバンタン、違った一面を見られて良かったです。

各ブースを見て回って気が付いたのが、子供が多い事。すぐそばのファミリーコーナーからの流れなんだろうけども、子供たちは積極的にブースへ駆け寄ってはゲームを楽しんでいた。開発者さんたちも喜んでいただろう。少しでもインディーゲームに興味を持ってくれれば嬉しいなあ。ここに居るオッチャンやお姉さんら、みんな頑張ってるんよ。

そうこうしている内に時間が経ち、ステージの方でトークセッションが始まるとのアナウンスが。PANDAさんとtaigooooさんと一緒に、急ぎステージへ向かった。

オマケ。各ブースで熱心に取材をするtaigooooさん。その成果は以下の通りだ。僕があまりブースを回れなかったので助かりました。感謝です。

インディーゲーム東京旅行・認知度の重要性

インディーズゲームコーナーにはインディーズゲームフェス2013というステージが用意されていて、随時イベントが開催されていた。といっても、ブースのエリアと背中合わせで設置されていて、こちらから直接様子を見ることは出来ない。ブースめぐりの合間にチラッと観に行ったんだけども、何かエラい事になっていた。ブースの数倍、人が居る。

まず実況主の部屋。どうやらここでインディーゲームのニコ生実況をやっているようだ。見えない。女子率が極めて高いという、おおよそ普通のゲームイベントでは見かけられない光景だ。この光景、どっかで見た事あるなあと思ったらバンドのライブだこれ。昔、ライブハウスとかでよく見た光景だ。流石にワーキャーといった黄色い声が飛び交う事は無かったけども、近くに寄ると恐ろしい熱量を感じる。時代は変わったなあ。実際、上手い人の実況はメチャクチャ面白いんだけどね。僕もちょくちょく見てます、ひえぴたとユウキのお二人とか大好きで。

ステージの方では、今日は東方のライブなど様々なイベントが行われていたようだ。そして最後のステージとして、インディーゲーム開発者によるトークライブが開催されるとの事。ここに我らがボスならむらさんも登場する。錚々たるメンバーだ。何となく、『(他)事件』を思い出す。

(他)事件

GDCにて講演する6人の日本人を紹介するニュース記事にて、記事の冒頭で6人中5人まで紹介されたのに、ならむらさんだけ「~氏など」と紹介をすっ飛ばされた事件。渡米前、「あと2年は言い続けてやる」と真っ黒な笑みを浮かべていたならむらさんを今でも鮮明に思い出す。

程無くトークライブがスタート。メンバーは、稲船敬二さん(concept)、遠藤琢磨さん(アクワイア)、南治一徳さん(ビサイド)、馬場功淳さん(コロプラ)、ならむらさんこと楢村匠さん(NIGORO)、飯田和敏さん(チーム・モンケン)、なるさん(えーでるわいす)、Nicolaiさん(エンドレスシラフ)、BitSummitでお会いした大前広樹さん(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン)。更に、エリック・シャイさんの講演でお会いした木村祥朗さん(Onion Games)も横のブースから飛び入り参加。頑張れならむらさん。そして頑張ってビデオカメラマンのtaigooooさん。遠い所からの撮影なので、僕らは腕をいっぱいに伸ばして撮っている。気付いたら池谷さんやAGMの営業Iさんもすぐ横に。

トークショーのほうは稲船さんと大前さんを中心につつがなく進み、ならむらさんが何かヤバいものを仕掛ける事も無く(内心ちょっと期待していた)無事終了。ビッグサイトの閉館を告げる蛍の光が流れる中、ギリギリのギリギリまでトークが続けられる良いセッションだった。内容に関しては、各種メディアが報じられているのでそちらをご覧頂ければと…と思ったら、こっちも稲船さんの話ばかりか。皆さん色々喋ってたのになあ。録音しておくべきだったか。ニコニコのプレミアム会員の方は、こちらからタイムシフトで視られるようなので是非。

見ていて感じたのは、やはり稲船さんの圧倒的な認知度と話題性だった。出て来ただけでどよめきが起こり、(Mighty No.9のKickstarterの件もあって)その発言ひとつひとつを観客が集中して聞いていた。当たり前の話なんだけれども、実績があって、認知度があって、話題性のある人は強い。が、インディーでこの3つが揃うチームというのはなかなか無い訳で。だからこそPLAYISMさんたちが頑張って色んな活動をしている訳で。

最後に、大ホールを少しだけ覗きに行った時の写真も掲載しておこう。これ、全体のほんの一部に過ぎない。右を見渡しても、左を見渡しても、ずっと奥を見渡しても、何処もかしこもこんな感じだった。TGS初参戦どころか大きな展示会にほとんど行った事の無い僕にとって、この光景は忘れられないものとなる。

TGSの期間中、「人ごみに疲れた時の息抜きに、インディーズゲームコーナーへどうぞ!」といったアナウンスを聞いて、個人的にイラッとしていた。そうか、ここは息抜きかと。厳しい条件の中みんな必死こいて頑張ってんのに、息抜きかと。わざわざ国外からも来てくれてるんやぞと。が、この光景を見て、僕は別のショックを受けた。ブースの規模や参加企業・ゲームのラインナップ、かかってるお金を考えれば当然なんだろうけども、強烈なまでの『認知度の差』を感じてしまったのだ。

また、インディーズゲームフェスのステージがあれだけ盛り上がっていたのに、そのお客さんがあまりブースに流れてこないという事にも感じるものがあった。ブースとステージの方向が逆を向いているというのも大きな要因だろうけども、これだけのお客さんはステージが終わった後、何処へ行ってしまったんだろうかと。主役は実況者で、ゲームはオマケなのかと。

この2年ほどの間、僕は洞窟物語やLa-Mulana、そしてPLAYISMさんと接する機会に恵まれ、色んなものを目にしてきたつもりだった。日本のインディーゲームも着実に広まってきているなと勝手に思っていた。しかしNIGOROさんやPLAYISMさんに話を伺うと、「いやいや、まだまだですよ…」と返ってくる。そういうものなのかな、謙遜なのかなと思っていた。だが今日、この大ホールで、自分の目が内側にしか向いていなかった事を思い知らされた。日本のインディーゲームは、まだごく一部でしか盛り上がっていないのだ。

ただ幸いな事に、国内外のメディアが各ブースに集まってくれて、記事を探してみると思った以上にインディーゲームを取り上げて貰えたようだ(BitSummitでお会いした方も多数居られた)。本当に有難い事だと思う。国内での認知活動はまだ始まったばかりと言えるこの業界。大ホールやステージに来ていたお客さんにも、こちらを向いて貰えるように努力しなければならない。僕に出来る事と言えば、日記を書いたり写真を撮ったりすることくらいなんだけれども。それにしてもまさか人生初のTGSで、こんな複雑な気持ちになるとは思いもしなかった。

とにもかくにもTGSは無事閉幕した。しかし今日の本当のメインは、このあと東京の品川で待っているのだ。

インディーゲーム東京旅行・海浜幕張から品川へ

ステージが終わった後、ブースに戻るとPLAYISM2周年パーティーにも来てくれていたはしもとさんが。プレイアブルデモの最後のお客さんとなっていてくれた。後ろから圧をかけるならむらさん。そこへtwitter仲間のせっき~さんも顔を出してくれた。あまり長い時間話す事が出来なかったんだけども、嬉しかったなあ。はしもとさんはこれから神戸へ出張(!)との事で、せっき~さんと二人で帰っていった。また関東へ顔を出した時は、宜しくお願いします。

また、hasuさんの友人で、機種を問わずザナドゥをしゃぶりつくす実況プレーヤーであるAstさんと見習いユン子さんともお会いした。「この人、ザナドゥを左に行かずにクリアします」という変態さんだそうだ。XANA道TVというシリーズを実況中との事なので、ザナドゥ馬鹿の皆さんは是非。

蛍の光が鳴り止み、本格的な撤収作業へ。この後みんなで品川まで移動しないといけないので大急ぎだ。聞けばAGMの営業Iさんがバスをチャーターしてくれているとの事で、参加者(特に道に迷いそうな外国人を優先)を品川まで送ってくれるとの事。有難い。

実はここでとんでもない出会いを見届ける事になるんだけども、それはもう少し後の日記に掲載しようと思う。

バスの時間が迫り、撤収作業がギリギリ間に合わない。hasuさんはPANDAさんと一緒に車で移動する事になり、僕、キングさん、taigooooさん、Maruchuさんはバスに載せて貰う事になった。といっても、2台用意されたバスに全員が乗り込めるのかどうか解らない。人数を数えた限りでは、ギリギリアウトっぽいのだ。まあ、そん時はそん時よ。

営業Iさんの引率により、遠足の帰り道のように誘導される僕ら。立派な観光バスが用意されていた。順に座っていって貰うと、何と補助席1つを残してギリギリセーフ。ラッキーとしか言いようが無い。喜び勇んで乗り込む僕ら。周りは外国人で一杯だ。遠足みたいでメチャクチャ楽しい。

が、19時前という時間帯、高速への入り口は混みに混んでいた。ジワジワと経過していく時間に焦りを感じるも(一番焦っていたのは営業のIさんだろう)、乗り込んだ以上どうにもならないので、周りの皆さんと話をして楽しむ事にした。僕の周りには台湾から来た複数のチームが座っている。各チーム、最低でも1人以上は日本語と英語がペラペラなメンバーが居て驚いた。

隣に座っていたのは、落ちモノ系パズルCuBeatを制作しているTeam PSCのメンバー。ブースでチラッと見たんだけども、人が付いていて遊べなかったゲームの一つだ。ちなみに通訳の彼はワーキングホリデー中で東京在住との事。

斜め前に座っていたのは、こちらも落ちモノ系パズルROCKET CUBEを開発しているKEITAIのメンバー。手持ちのスマホで遊ばせて貰った。プラットフォームはUnityで、良く出来ている。飛行機で台湾からやって来て、1週間前から東京に滞在しているとの事。以前、関西の商社で働いていた事があるとの事で、微妙に関西弁が混じっている。

彼ら二人から、台湾の話を沢山聞いた。一番最初に驚いたのが、「台湾のバスには補助席なんてものは無いよ、感動した!」という話。え、僕ら小さい頃から有りましたよ、じゃあ台湾じゃどうしてるんですかと尋ねたら「床に直に座る」と。ワイルドだ。また、日本への憧れの話や音読み訓読みの話、政府に対する愚痴(「台湾政府は金を出さずに個人の名誉に後乗りしてくる」)などエラい盛り上がりようだった。

バスは渋滞を抜け、一路東京へ。少し後ろを振り返ってみると、疲れていたんだろう、半数近くの人が眠りに落ちていた。多分、僕らはナチュラルハイになっている。バスは首都高速湾岸線をひた走り、ネズミーランドを通り、お台場を通り(この2つだけ起きて写真を撮っている人も居た)、気が付けば品川の近くまでやって来た。いやはや、まさかこんな所を車で走れる日が来ようとは。すっかり僕も観光客気分である。

と、ここで台湾の彼らが眼前の川を見て「これって何川ですか?」と尋ねて来た。うえ、東京の地理はほとんど知らないんですよ、隅田川…神田川…どっちも違うよなあ、と口に出して慌てる僕。そこへ斜め前に座っていたPLAYISMのナイヤンさんが口を開いた。

「品川でしょ?」

不覚にも。まさか外国の人に上手い事を言われるとは思わなんだわ。染まってきてるねナイヤンさん大阪に。ジョシュさんならこんな事言っても何も驚かないんだけども。で、結局この川は何川って言うんですかね。調べても出てこないんですけど。

程無くバスは停車し、車内は拍手に包まれた。急ぎ下車して、Maruchuさんと二人で品川駅のロッカーへ向かう。開場時間より30分近く遅れてしまったけども、お陰で良い旅をさせて貰った。押した分は会場を長めに空けて貰えるそうだ。営業Iさんの計らいに、心からの感謝を。

インディーゲーム東京旅行・Indie Streamに至るまで

本日最後にして最大の舞台、それはSCEI本社のあるSSJ品川ビル。ソニー・コンピュータエンタテインメントである。こちらの10階食堂にてインディーゲーム開発者やそれに関わる人たちが集まって、とあるイベントをやるそうなのだ。正直、自分で書いてて意味が解らない。ソニーて。地元の友人に言ったら「はぁ!?」って言われるだろうし、僕もはぁ!?って言うと思う。まず自分の仕事で来ることは無いだろう。Maruchuさんと二人で受付に入ると名刺を入れるタグを渡され、例の自動改札みたいな所を通って10Fへ。廊下を歩いて、一歩中へ入ったそこは、パーティー会場だった。

もうね、人大杉。これBitSummitの時にも言ってた気がするけど、どんだけ人居るのよ。いきなり祭りに放り込まれた我々、手探りで状況を把握し、何とかクロークに荷物を預けて一段落。既にボロボロ。そこへtaigooooさんがビール片手に現れた。「まあまあ飲んで飲んで」と言われるまま、すきっ腹にZIMAを一本という、僕にしては大変チャレンジングな行為に及んでしまう。スイマセン喉乾いてたんです。全身が赤く発光しているかのような感覚に捉われつつカメラを構える。そこへ丁度、ならむらさんや東江さんがステージに登壇。いよいよ今日のイベントの趣旨が発表される。

Indie Stream

Indie Streamについては既に沢山のメディアやブログなどで報じられている通りなんだけども、折角なので僕も少し書かせて貰う事にする。自分が見てきたことを書いているのでどうしても身近な人の話ばかりになってしまうが、ご容赦頂きたい。

『インディーゲーム』という言葉をよく耳にするようになったのは、つい最近の事。国内インディーゲーム界でしょっちゅう名前の上がる2つのチーム、Studio Pixelの天谷君とNIGOROのならむらさん。初めて顔を合わせたのは、2010年の10月だ。随分昔のことのように感じていたんだけれども、これも実際はごく最近の話だった。お互いの代表作である洞窟物語(海外版のみ)のWiiWareは2010年5月、La-Mulana(日本語版)のWiiWareは2011年6月にリリースされている。

当時僕は、この二人が出会ったこと自体に驚いていた。天谷君のゲームは学生時代からずっと見てきたし、NIGOROさんのゲームだって前身のGR3 project時代からずっと追いかけていたけど、どちらも元はフリーゲーム作家で、そのどちらもがプロに転じて業界に飛び込むなんて思いもしなかったからだ。ましてや、一緒に仕事をするなんて。そりゃ嬉しかったですよ、どっちも思い入れのあるチームだったから。でも実際、僕が考えている以上に、彼らの活動は手探りの連続だった。前例がほとんど無かった上に、ゲーム業界とはほぼ無縁の人たちだったからだ。それこそ道なき道をズンズン進んでいくような毎日だっただろう。NIGOROさんの戦いの日々については、ブログ3匹が企むに詳しく書き綴られている。

「日本でインディーゲーム販売を成功させるには、海外でのリリースが絶対条件」、これはNIGOROさんが当初から話していた事だ。世界と日本の人口比を考えればすぐ解る事だけれども、日本国内だけでは売れる本数に限りがある。稀有な例外もあるだろうけど、そんな所へ狙って飛び込めたら苦労はしない。勝算があるとすればここしかないだろう。だがそのハードルは果てしなく高い。言語の、文化の、契約の、法務の、金銭の。経験の無い人にとって、これらを自力で乗り越えるのは至難の業だろう。天谷君がプラットフォームにiOSを選んだのには、この辺りを簡易に済ませられるからという理由もあった。彼らは顔を合わせる度、様々な情報交換や相談を行っていた。

そこへ現れたのが、2011年5月にスタートしたインディーゲーム専門のダウンロード販売サイト、PLAYISMさんだった。彼らの母体はローカライズ専門の株式会社アクティブゲーミングメディア(AGM)で、スタッフの大半が外国人というネイティブスピーカーのスペシャリスト集団だ。勿論海外とのやり取りも盛んで、契約業務などにも明るい。渡りに船とはこの事だろう。本社が顔の出しやすい大阪にあった事も大きなポイントだ。ただ一つ、肝心のゲーム販売についてはPLAYISMさんも全くの手探りだった。彼らは海外へ出して勝負出来る、強力なコンテンツを探していたのだ。お互いの熱意が見事に交わり、ここから彼らの一蓮托生が始まる。所謂、『串カツ心中事件』だ。

数々の苦難を乗り越え、ようやく辿り着いた2013年4月のLa-Mulana STEAM配信。日本人によるGreenLight通過はこれがはじめてとなる。世界最大のゲームプラットフォームに、国産のインディーゲームタイトルが初めて名を連ねたのだ。La-Mulanaは新たな海外ファンを獲得し、ならむらさんは国際的ゲーム開発者会議・GDC2013に登壇するまでに至った(余談だが、GDC2011に天谷君も登壇している)。PLAYISMさんの元にもどんどんインディーゲーム開発者が集まり、ゲームが増え、ユーザー数が増え、2周年パーティーではこれだけの人が集まるようになった。だが、これで終わりではない。

いつだったか、天谷君が言っていた。「僕らを『先頭集団』だって言ってる人が居るけども、僕らだけじゃ、いつまでも洞窟物語だLa-Mulanaだじゃダメなんよ」と。どんどん新しいゲームが出て来て、共に戦ってくれる人が増えなければ日本のインディーゲーム界は盛り上がらない。盛り上がらなければ先は無い。彼らは道なき道を切り開いて、少人数のチームでも海外へ挑む事の出来る突破口を作った。その道を、良ければ沢山の国内インディーゲーム開発者にも使ってほしいと望んでいる。その為のアドバイスは惜しまない。彼らは、更なる仲間を欲しているのだ。

今回新たにSCEJAさんの協力を経て、PLAYISMさんはコンシューマ機であるPlayStationプラットフォームでもインディーゲームをリリース出来るようになった。かつては想像だに出来なかった話だが、一個人だろうが副業だろうが、ゲームの出来が良ければ様々なプラットフォームでゲームをリリース出来る、そんな道が開かれたのだ。道のりは長いかもしれないが、かつてケモノ道だったようなこの道は、今やしっかりとした道路に変わりつつある。何も無い所から始まった彼らが、2年ちょっとでここまでのものを提供出来るようになったのだ。特筆すべき活躍ぶりではないだろうか。

今年、目に見えてインディーゲーム開発者たちの交流が盛んになってきた。各地で様々なイベントが開催され、沢山の人が集まってくる。インディーゲーム開発者だけではない。アマチュア開発者が、コンシューマ機の開発者が、メディアが、学生が、ゲームファンやプレーヤーが集まって、みんなでゲームの事を話し合っている。手の届くゲームの話を。

Indie Streamは、この盛り上がりの一番良いタイミングで発足したように思う。まだ生まれたてのコミュニティでどうなっていくかは解らないが、彼らのノウハウはきっと沢山の人の手助けになるだろうし、新たな交流やゲームを産み出すキッカケにもなるだろう。このコミュニティが文字通り大きな『Stream』になり、沢山の人々を振り向かせられるものになる事を願っている。

さて、会のほうはというと、当初定員250名だったのが大幅に超過して500名以上の参加者があったそうだ。僕らが到着した頃にはバイキングの食べ物も残り少なくなっており、バタバタもあって口に出来たのはパスタとフルーツのオレンジだけ。まあ、2倍超も人が来たらそうなりますわな。ドリンク類も早々に全滅し、会場では水に飢える人が続出。厨房まで行って、片付け作業中の従業員さんからポット一杯に水を貰って何とか凌いだけど、出来れば水くらいは各テーブルに置いておいて欲しかったなと。喫茶店の息子としては。

参加者のほうもゴージャスで、Papers, PleaseのLucas Popeさんファタモルガーナの館の縹けいかさんゲーム保存協会のジョゼフ・ルドンさんこびとスタジオの佐川さん、BitSummitなどでもお世話になっているQ-gamesさんなどなど。走り回っててぜんぜんご挨拶出来ずに申し訳ありませんでした。次こそは、是非。

そうそう、天谷君もちゃんと参加してたんですけどね。「ごめん、新幹線の終電あるから先に帰るわ!」と21時過ぎにですね。ちょっと待て、あんさん夜行バスで帰るって言うてなかったか。まだ会も中盤やぞ、もーホンマにこの子は。その後、会う人会う人「今日は天谷さんは?」と聞かれて平謝り。僕、保護者失格だ。

インディーゲーム東京旅行・キングさんの夢

ロッコちゃん(ROKKO CHAN)というフリーのFLASHゲームがある。ファミコン時代を経験した人ならすぐに解る、あのロックマンのパロディゲームだ。オワタの大冒険を作ったFLASHプログラマのキングさんがリーダーとなり、2年の歳月をかけて一から作り上げられた超大作。リリース直後から大きな話題を呼び、海外のMEGAMANファンも狂喜したというゲームである。設定資料集やサントラ、関連グッズまであるので是非公式サイト王の巣窟でご確認いただきたい。

僕がキングさんと出会ったのは今年3月のBitSummitでの事。開発室Pixelのブースを尋ねてくれた彼と仲良くなり、PLAYISMさんの2周年ではわざわざ夜行バスで関東から駆けつけてくれ、気が付けば今日はNIGOROさんのブーススタッフとして手伝いに来てくれている。そんな彼、実はこのTGSに懸ける大きな夢があった。

話はTGSの撤収後にさかのぼる。片付けをhasuさん達に任せて、バス移動組である僕、Maruchuさん、キングさん、taigooooさんは出入り口のエスカレータ前に待機していた。定員漏れしたら品川まで何で行こうか、みたいな話をしていたその時。トークライブを終えて、舞台裏から出てくる人影が見えた。稲船さんだった。

稲船 敬二さん

http://inafking.exblog.jp/


ロックマンシリーズや鬼武者シリーズ、デッドライジングシリーズなどでプロデューサーを務めた元カプコンのゲームクリエイター。現在はコンセプトの代表取締役に就任し、Mighty No.9を製作中。Kickstaterにて資金を集めると発表してすぐにゴールを達成して大きなニュースとなる。当初はイラストレーターだったそうだ。

キングさんの表情が一気にこわばった。あのロックマンの、稲船さんが目の前に居る。実はキングさん、TGSに稲船さんが来ることを知って、どうしても会ってご挨拶をしたいと思っていたのだ。昨日からずっとそれを考えていたんだけれども、怒られるんじゃないか、僕みたいなのが行って良いのかと相当悩んでいたらしい。こんな機会ってもう二度と無いかもしれんよ、何なら僕ら一緒についていくよと話すと腹を括ったようだが、実際本人を目の前にし、身体が硬直して「あああどうしよう」みたいになっている。

しゃなあい引っ張っていこうか、そう思った瞬間Maruchuさんが「稲船さーん」と飛び出していった。やるなあMaruchuさん、これでもう退路は無い。僕はキングさんの背を押し、稲船さんの元へ歩いていった。Maruchuさんがごく簡単にキングさんの説明してくれたようで、めでたくご対面。震えてまともに自己紹介も出来ないキングさん、フォローしようかと思ったら、同じく舞台裏からならむらさんが。グッドタイミング。昨日キングさんから相談を受けていたならむらさん、震えるキングさんを見て笑いながら彼を紹介した。名刺を手渡すキングさん、「こういうキャラがですね」とロッコちゃんの絵を見せる。

「これ女の子やないか!」「パクリ過ぎやろ!」

あ、稲船さん笑った。行ける行ける、キングさん資料とかサントラとか出して。「あああスイマセンいま名刺しか持ってないです!」、ちょ、何やってんの!急ぎiPhoneでプレイ動画を探して、キングさんと稲船さんに見て貰う事に。この記事の一番上の動画がそれである。

「これに比べたら、俺のMighty No.9なんか可愛いもんやな!」

爆笑が起こった。「スイマセンスイマセン!」と謝るキングさん、「謝るんならカプコンに謝らな」と笑いながら話す稲船さん。その後も少し話をして、お礼を言って別れた。悪い大人達と次々に抱き合って喜ぶキングさん。これは優勝モノだ。「名刺貰った…名刺交換した…」と半泣きのキングさん。良かった良かった、場所が場所なら胴上げしてたよ僕は。

が、彼の話はこれでは終わらなかった。

舞台はIndie Streamへと移る。ボチボチお開きの時間かなという頃に、キングさんが僕の所へやって来た。「宮澤さん、お願い出来ますか」と真剣な表情のキングさん、手にはノートPCとファミコン風USBコントローラを抱えていた。そうか解った、行こう。

僕らは再び稲船さんの元を訪れる。「良かったら、ロッコちゃんをプレイして貰えませんか」、今度は震えず話す事が出来たキングさん。稲船さんは笑顔で応えてくれた。ロックマンの稲船さんが、ロッコちゃんをプレイするという非現実的な光景が目の前に広がる。

笑いながら、しかし時々恐ろしく真剣な表情を見せる稲船さん。プレイ中、キングさんとずっと話をしていた。キングさんにとっては何物にも代えがたい時間だったろう。僕らは再びお礼を言って、稲船さんと別れた。Indie Streamという大きなうねりの中で、キングさんの夢は果たされたのだ。

ここでキングさんへのインタビュー記事を紹介しておこう。読んで頂ければ解る通り、今日に至るまで、彼は何度も何度も追いつめられていた。初めてBitSummitで会った日の帰り道、車で駅まで送っていった時の事を思い出す。そんな苦悩続きだった彼が見せた、渾身の喜び。彼は凄い男ですよ。尊敬します。

実はこの後、三たび稲船さんの所へお邪魔して、お願いし忘れていたキングさんとのツーショット写真を撮らせて頂いた。嫌な顔一つせず、非常に気さくに対応して下さった稲船さん。心から感謝いたします、有難うございました。嬉しそうな顔でツーショットに納まるキングさんを見て、ニヤニヤしながら「次はオリジナルを作らないとな」とならむらさん。そこでキングさんは、こんな冗談を飛ばしたのだ。

「次は、Mighty No.9みたいなのを作りますよ!」

インディーゲーム東京旅行・22時間のジェットコースター終着

Indie Streamも無事に閉幕し、ビルの外でテンション上がりっぱなしの面々が元気にはしゃいでいる。体力のある人は二次会へ行こうとの事で、終電どうでもいいや組が連行される事となった。hasuさん、さとうさん、キングさん、taigooooさん、池谷さんとはここでお別れだ。また近々、お会いしましょう。

SSJ品川ビルから歩く事数分、雑居ビルの中にある居酒屋へ到着。時刻は0時前、参加者は20名程度。ならむらさん、東江さん、小野口さん、Maruchuさんたちクリエイターを筆頭に、酒とゲームがあればいつまでも起きていると噂のPLAYISM軍団などなど20名超。本日最後の宴が始まる。ヤバい話はアレしますので予めご了承を。

スタートダッシュを切ったのはPLAYISMの水谷さんだった。「僕、今日朝から何も食べてないんです…」と虚ろな目でオーダー用端末(通称Wii U Pad)を操作する。運ばれてきたのはピザ、見た事も無いような速さでカットを始めるも、刃が悪いのかなかなか切れない。「何でこんな時間かかるモン頼んだんや!」と自分にツッコミを入れていた。疲れは人の判断能力を鈍くする。それでは乾杯、お疲れ様でした。

ここに居る人間は、既に終電を諦めた&近くに宿がある組なので、基本朝までコースである。僕とならむらさんはPANDAさんの秘密基地にお世話になるので、意識のあるうちに帰らせて貰う事に。そういやMaruchuさん、既に30時間くらい起きてるとか言うてましたけど正気ですか。

しょっぱな盛り上がった話は「インディーと同人」。今日の集まりで同人系の人と沢山話をしたんだけども、同人界隈の人はインディー界隈を羨み、インディー界隈の人は同人界隈を羨んでいた事が解ったそうだ。お互い「あっちは儲かってるんだろうな」「あっちは派手にやってるよな」と思ってたりしてたけど、実際どっちも地味で、どっちも同じ事で苦労しているんだと。インディーも同人も、みんな身を削ってやってるんだと。お互いなかなか接点が無かったから解らなかった話だ。この辺りはいずれじっくり対談とかやって欲しい。

デバッグの話。「La-Mulanaは超絶プレーヤーが沢山居て、Wii版の実況動画のお陰でバグを洗い出したりした」とならむらさん。「たまに超絶バグが飛び出したりして血の気が引くんですよ、やーめーろーって」、苦笑するMaruchuさん。「Indie Streamでデバッガを募ると言うのは面白いかもね」と東江さんが続く。なるほど、そういう形での参加ってのは面白いなあ。実際僕もデバッガをやらせて貰っているので、その中での交流というのには興味がある。

インディーに対するイメージの話。「インディーって周りにハードルを上げられてってる気がする、インディーは会社を捨てて夢を追いかけてないと!みたいな」「周りがバンバン火を焚いて、あそこ渡るんだってスゴーイ、って言われても厳しいよ!」などなど。夢があるように見えて、実際のインディーってのは、地味で弱い立場の生き物だ。また、「インディーでもプレスリリース出すんですか!?」と驚かれた話とか。いやいや、そりゃ出しますよ。インディーって言っても、広報なんかは普通にやってます。どうもインディーって、超人視・キワモノ視されてる気がする。

話はどんどん盛り上がる。ここに来てようやく東江さんとお話する機会が出来て、喜び勇んで名刺交換させて頂いた。まさかTENGAMIの作者さんと名刺交換出来るなんて思いませんでしたと言うと、「いやあ、僕も沖縄に住んでるんで、皆さんと名刺交換できたのは今日が初めてなんですよ、孤島なもんで」と。普段は出てくるのも大変だそうだ。ここから場は一気に東江さんワールドに突入する。

「実は僕、○○と○○をするって企画を考えたんですよ」「正しい作法に乗っ取って○○○○○○…」、ちょっと待って東江さんいきなり何を。勢いよくゲームシステムの詳細を話していく東江さん。「そしたら、お前狂ってるって言われて」、いやあ、これ天谷君なら大喜びだと思いますよ、でもコンシューマじゃ絶対無理「じゃあPLAYISMだな」「ウチはすぐ出します」「出来ればWiiリモコンかPS Moveを使って」、何言ってんのこの人たち。

東江さんの攻勢は続く。「ハイエンドの技術を使って、スンゲーリアルな焼肉を焼きたいんですよ」、どういう事ですか。「昔、エア焼肉ってあったんですよ」「画面の中の肉が焼けたら、クリックして、それに合わせて白米食べて焼肉してる気分になれるっていう」、全員噴飯。「笑ってますけどね!僕ぁ当時イギリスに居たんですよ、バーミンガムにゃ焼肉屋なんて無かったんです、僕は毎日エア焼肉を見ながら飯を」、全員再噴飯。「でもね、ちょっと満足度が低いからこれを更にリアルにして」「○○を持たせて○○を○○」、あ、また凄い方向に走り始めた。ホントにその発想は無かったです。

その後も東江さんは類を見ない企画話を幾つも幾つもリリース。書けない。とても書けない。面白いんだけど視点が鋭すぎて、何と言うか、突き抜けている。でも僕、これらのゲーム出たら絶対買うなあ。東江さんはメチャクチャユニークな方だ。ならむらさんと一晩で意気投合したという話を聞いた時点で、何かを察するべきだった。どうにか定期的に関西や関東へ来て頂く事は出来ないでしょうか。僕、東江さん・ならむらさん・天谷君の生放送が観たいんです。

以下、掘り下げたらヤバそうなのから意味不明なものまで箇条書きで。

  • 「一番最初に買って貰ったゲームが一番ハマる」「クソゲーなんて言葉無かったよね」
  • 「日本のインディーって、何でオッサンばっかりなんだろう?」
  • 「持ち上げられると身動きが取れなくなるから、落としたくなる」
  • 「明日マスターアップなんですよ」「えっ」「えっ」
  • 「僕、何も出来ないからディレクターになりますって面接で言ったんですよ」「えっ」「えっ」
  • 「どんなに発展していても、最初に置いた軸足を絶対に離しちゃダメ」
  • 「僕の人生を変えた、ゆで卵の話」
  • 「フレームレートが低いほうが、脳内で補完できて自然に見えた事が」
  • 「プリキュアのEDに見る3D技術の進化」
  • 「知らず棍棒を振り回してしまう」
  • 「このゲームはエロがある訳でも無いのに何で18禁…」
  • 「はだしのゲンって何でゲームにならないんですかね?」「ポエヤマさんって人が居てですね」
  • 「タッチの理論」
  • 「SIMPLEシリーズのせいで、タイトルに『ザ』って付くとゾクッとする」
  • 「ブシドーブレード100本先取」「終わったらブシドーブレード2を100本勝負」
  • 「尿意ゲージ」
  • 「第一人者は、ブームが過ぎても残るよね」

午前3時、我々の体力は限界に達し、皆さんに挨拶をして居酒屋を後にした。朝6時過ぎに起きて、PANDAさんの運転(早々に飲んでしまって申し訳ないです…)で宿舎についたのが午前4時。ほぼ丸一日動き回って、風呂から上がったら電池が切れた。明日は昼から横浜でお仕事なんで頑張ります。それでは、おやすみなさい。

今日一日でお会いした皆さん、本当に有難うございました。また、声をかけて頂いたAGMの営業Iさん、PLAYISMさん、いつもワーワーやってくれるNIGOROと悪い大人の皆さん、大変感謝しております。興奮して、大笑いして、ショックを受けて、大騒ぎして。関東まで足を運んで、本当に良かった。僕の人生の中において、またひとつ忘れられないハチャメチャな日が増えました。こんな訳の解らない男ですが、今度とも何卒宜しくお願い致します。それでは、また近々。

2013年、決戦前夜

店の手伝いが終わり次第、荷物をまとめ始めた。ついにやってきた、2泊3日の関東旅行だ。半端な季節でどんなカッコが快適なのか解らないので、長袖半袖上着など幅広く用意する事にした。PC用のカバンが破裂しそうだ。また、カメラバッグのほうもNikon D7000、スピードライト、スピードライト用eneloop pro充電器付き、普通のeneloop USB出力付き充電器、iPhone用バッテリー、レンズ掃除用具などでパンパン。今回、三脚は留守番して貰う事にした。多分、広げるヒマが無い。

一頻り準備が終わった所で、ランニングに出掛けた。風邪は随分マシになったんだけども、まだ体温調節がマトモに出来ていない感じだ。ただ、何となく体を動かしておきたかったので、ちょこっとだけ走った。久々に汗をかいて気持ち良い。やっぱ人間、身体を動かさんとアカンね。

向こうじゃ今日から一般デーになり、沢山のお客さんが詰めかけているそうだ。さてさて、最終日はどんな事になっているやら。僕の戦いは明日から始まる。おやすみなさい。

ネタに巻き込んで申し訳ありません

先月爆誕したパンツアイコンの元ネタであるEddie Leeさんが、東京ゲームショーのセンスオブワンダーナイトでBest Art Awardを受賞していた。ヤバい、とんでもない人をネタに巻き込んでしまった。あれ、と言う事はひょっとして、会場で直接お会い出来る…?

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