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薬で救われた心の話

  • 2013-01-29 (火) 0:35
  • 日常

「でも、鬱って診断されて、正直嬉しかってん」

衝撃的な連絡があったのは先週の事。古くからの友人であるXが、心療内科にかかっているらしい。以前、様子がおかしかったので地元の心療内科を勧めた事があったんだけども、その時は「気のせいです」と切って捨てられていた。じゃああの医者が間違っていたのか。何にせよ、もう少し詳しい話を聞かせてほしいと頼んだ。

夜、Xが久し振りに遊びに来てくれた。事の発端は職場での出来事。あまりの寝坊や寝落ちの多さに、上司が「ひょっとして睡眠障害があるんじゃないか」と病院を勧めてくれたそうだ。診断結果は『肢静止不能症候群』、通称むずむず脚症候群。以下Wikipediaより。

自覚症状として、じっとした姿勢や横になったりしていると主に下肢の部分に(患者によっては、脚のみならず腰から背中やまた腕や手など全身にまで現れる)「むずむずする」・「じっとしていられない」・「痒い」だけでなく、「ピンでなぞられているような」・「針で刺すような」・「火照るような」・「蟻やミミズなどの虫が這っているような」などの異様な感覚が現われ時には「振動」のような感覚まで感じたりする場合もある。また「激しい痛み」を感じるなどさまざま。この苦しさは「脚の中に手を突っ込んでかき回したいぐらい苦しい」と表現する患者もいて、この症状の辛さを表している。
 
このむずむずとした不快感や痛みなどの不快な異常感覚・身体症状が下肢や腰・背中・腕などに出現するため、患者はこれを抑えるため常に脚を動かしたり身体をさすらなければならない状況に追い立てられる。
 
3分の1の患者では週に2回以上、中等症から重症の症状が起こる。特に夕方から夜間にかけて症状が増強するという特徴(勿論、日中でも症状が出現)があり入眠障害・熟睡障害や中途覚醒のような睡眠障害の要因となり、また日常の座ったままやじっとした姿勢の活動を阻害されるため放置していると日常生活に大きな影響を及ぼす。この結果、副次的症状として昼間の疲労感を引き起こす。
 
実際、患者は昼夜にわたり生活の質(QOL)に悪影響を及ぼす様々な症状に苛まれている。回復が長引けば全身の「慢性疼痛」の症状がでてくる。
 
症状が悪化すると睡眠障害と過度のストレスから「うつ病」を招き、最悪の場合、自殺する人もいる恐ろしい病気である。漫然とドクターショッピングとならぬように、睡眠障害を専門とする精神科医や神経内科医の診断を受けなければならない。

聞けば、ずっと前から自覚症状はあったらしい。「でも、みんななってるモンやと思ってた」と。恐ろしい話だ。薬を処方されてから症状は劇的に改善、熟睡出来るようになった。Xは大変喜んでいたそうなのだが、「ちょっと気になる点があるので、もう少し検査をしてみませんか」と先生に言われたらしい。診断の結果は、「自尊心を形成する部分が極端に弱まっている」。鬱の一種だそうだ。この症状、僕が以前心療内科を勧めた時に感じた違和感そのものだ。

鬱と診断されたX、最初に出た感想が冒頭の言葉だったらしい。「救われた気分やわ、自分にも鬱になれるような心があったんよ」「ずっと自分は、心の無い出来損ないやと思ってたし、それを受け入れてた」「今は感情が湧いてくるんよ、『悔しい』って気持ちが解るようになった」と、普通に言葉が出てくるX。驚いた、別人のようだ。以前ならば喋り出すまでに数瞬の間があり、伏し目がちで不明瞭な喋り方をしていたのに。あまりに劇的な改善をしたため、本人もかなり戸惑っているらしい。「今これ、薬飲んでるから良い気になってるんかなあ」と言ったので、そうじゃなくて今までが異常で、薬を飲んで普通に戻ったんやから気にする事はないと伝えた。Xは喜んでいた。

かなり長時間喋って、元気な表情でXは帰っていった。良い職場と良い病院に巡り合えて本当に良かったなあX。しかしこんな事なら、もっと早くに再診を勧めておくべきだった。「家族にどう伝えたらええか解らんねん」というXの言葉が忘れられない。親御さん、ずっと気付かなかった事を気に病むだろうか。

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