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長い長い夜(2) 遠い京都編

  • 2010-08-28 (土) 0:50
  • 日常

23時過ぎに大阪駅。この時間帯は確か、0分から20分置きに出ている。次は20分かとホームに上がってみたら、『4分遅れ』の表示と共に野洲行きの新快速が止まっていた。これはラッキーだ、15分近く早く帰れる。0時に駐輪場が閉まるため、少しでも早く帰れる方が気分的に楽なのだ。

程無く電車は動き出した。この分なら23時半くらいには京都だろう。事務所に帰ったら軽く運動して、サクッと寝ようかななどと考えつつ読みかけの小説を取り出す。今日は何処まで読めるだろうか。

突如、電車が止まった。それも小さく悲鳴が起こるレベルの、非常ブレーキだ。すぐにアナウンスが入る。「ただいま、前を走る電車が異音を感知し、周辺全ての電車に非常ブレーキ作動の要請がありました」ってマジか。おおい、猶予は30分しか無いんやぞ。これはひょっとするとアレかと思った瞬間、「東淀川駅~吹田駅の間にて人身事故が…」とのアナウンスが。おうわ。

目の前には新大阪駅、だが警報が出ている為動く事が出来ない。車内は小さくざわめき、傍のサラリーマンは特急に乗り継げないかもしれないと会社へ連絡を入れたりもしていた。二本早い電車なら無事に帰宅、一本早い電車なら異音を耳にした上に現場でしばらく立ち往生。ゾッとする。

20分弱で電車が再始動、どうにか新大阪駅まで到着した。アナウンスでは地下鉄や阪急電車への乗り換えを伝えているが、どう頑張っても他の路線では京都まで帰れそうに無い。続けざまに、「ただ今、警察と消防の到着待ちです」というアナウンスが入った。うん、駐輪場はもう絶望だ。

実は今日、あまり体調が良くなかった。暑さにやられたのか、酒も飲んでいないのにフラフラする。ふんばるしかない。電車は一向に動き出す気配が無いので、自販機にて「いろはす」を購入。自販機で飲み物を買うなんていつ以来か。元の車両に戻ると、有難い事に席が一つ空いていた。諦めて下車した人が居るようだ。もうこうなっては仕方が無い、本を読む時間が出来たと考えよう。

15分ほどで警察と消防が到着したとのアナウンスが入った。これで多少は動き出すかな、と思ったら、信じ難い言葉が流れてきた。「負傷者の救助活動…」何と、生きてるのか。確か異音がしたと言っていたから、それはそれで大変な事になってるのではないか。少なくとも救助活動が終わるまでは現場検証も始まらないだろう。さて、僕はいつ京都に帰れるのか。

もう何も考えまい。とにかく本を読んで復旧を待つ他は無い。時計は既に午前様を迎えていた。復旧のメドがついたとのアナウンスが入ったのは24時15分、出発は24時半になるそうだ。という事は、順当にいけば25時くらいには京都駅か。そんな時間にホームに立てるというのはある意味貴重だな、等と考えつつ本を読む。

予告の時間より少し早く復旧の時は来た。車掌のアナウンスもちょっとテンションが高くて笑いそうになった。ドアが閉まり、発車。おお、この電車に揺られる感覚、いつ以来だ。たったこれだけの事でもスッキリする、という感覚が面白かった。やはり電車は走ってナンボなのだ。

個人記録。

京都駅で僕を出迎えてくれたのは、『遅れ約95分』という、かつて見た事が無い電光掲示板の表示だった。他の路線では『115分』なんて表示も出ているではないか。冷静に考えたら、当初から3桁表示出来るよう設計していたのか。地味に凄い。

25時台にホーム内。

車内アナウンスでも言っていたが、他社の乗り継ぎも出来ないような時間になっているので、JR側で代行タクシーを用意してくれるらしい。これはちょっとしたイベントだなと思いつつ、念の為に駐輪場にも顔を出した。当然の如く閉まっていた。仕方なくタクシー乗り場へ戻ると、そこは人の山だった。

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